アラビア語の月と曜日の読み方・覚え方を発音のルールと由来とともにまとめてみた!

!السلام عليكم(アッサラーム・アライクム・こんにちは)
كيف الحال؟(カイファルハール・ご機嫌いかがですか)
 
 
今回はアラビア語の月と曜日の読み方・覚え方を、発音のルールと由来とともにまとめてみました。
 
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1月〜12月

アラブ世界には「イスラム(ヒジュラ)暦」と「西暦(グレゴリオ暦)」の二つの暦が存在します。「イスラム暦」というのは、ムハンマドがメッカからメディナに移住(ヒジュラ)した西暦622年を元年とする太陰暦の暦で、イスラム世界独自の暦のこと。これに対し「西暦」は、西洋で長い間使われてきた太陽暦の暦で、現在我々日本人も使用している「グレゴリオ暦」のことになります。
 
実は「イスラム暦」というのは1年が354日で我々の「グレゴリオ暦」よりも11日短いのですが、閏月を設けないため月と季節がどんどんズレてしまう暦になります。「イスラム暦」の9月は日の出から日の入りまで食事をしてはならないという断食月(ラマダン)になりますが、真夏の「ラマダン」もあれば真冬の「ラマダン」もあるということになります。
 
しかしこの暦は農業に不向きな上に、太陽暦の「グレゴリオ暦」を使う欧米各国との日程調整も困難であるため、現代のイスラム世界では「イスラム暦」と「西暦」の両方を併用しており、「西暦」の方を公式の暦とする国も少なくありません。
 
ここではこの「西暦の月」の呼び名を紹介していきます。なお月は全て男性名詞になります。
 
スペル
発音
備考
1月
يَنَايِر
ーイル
yanāyir
アラビア語の「ر(ラー)」は巻き舌の「ラ行」。「نَا(ファトハ+アリフ)」で長母音「ā(アー)」を表す。
2月
فِبْرَايِر
フィブーイル
fibrāyir
長母音を含む単語ではその長母音上にアクセントが置かれることが多い。アクセント箇所を太字にしてあります。
3月
مَارِسُ
ーリス
mārisu
「س(スィーン)」は「s」の音で日本語の「サ行」。
4月
أَبْرِيلُ
アブール
’abrīlu
「أَ(ハムザ)」は「声門破裂音」と呼ばれる声門を一旦閉じて開く時の弾く音。単独で「ء」と書かれることもあるが、「ي،و،ا」のいずれかを土台に書かれることもあり、特に語頭では「ا(アリフ)」を土台とすることになっている。「أَإِأُ」で一旦息を止めてから発する「ア,イ,ウ」。「’」と表記される。
5月
مَايُو
ーユー
māyū
「يُو(ダンマ+ワーウ)」で長母音「ūウー」を表す。
6月
يُونِيُو
ーニユー
yūniyū
7月
يُولِيُو
ーリユー
yūliyū
8月
أَغُسْطُس
ストゥス
’aghusṭus
「غ(ガイン)」は後舌と軟口蓋(なんこうがい・口腔内奥の上部)をこすらせるようにして発する「ガ行」の音で「有声軟口蓋摩擦音」と呼ばれ、「gh」と表記される。「ع(アイン)」が喉の奥にある咽頭蓋(いんとうがい)を摩擦させるのに対し、「غ(ガイン)」は口の奥の上部の軟口蓋を摩擦させる。「ط(ター)」は舌を奥に引いて口の中でくぐもらせるように発音する「タ行」の音で、「ṭ」と表記される。
9月
سِبْتَمْبِر
スィブムビル
sibtambir
英語では9月は「September」だが、基本的にアラビア語には「p(プ)」の音がないため「b(ブ)」が使われているらしい。「ت(ター)」は「t」の音で日本語の「タ行」。
10月
أُكْتُوبِرُ
ウクトゥービル
’uktūbiru
アラビア語の母音は基本的には「ア,イ,ウ」の3つ。
11月
نُوفَمْبَرُ
ヌーファムバル
nūfambaru
英語では11月は「November」だが、アラビア語には「v(ヴ)」の音がないため「f(フ)」が使われているらしい。
12月
دِيسَمْبُر
ディームブル
dīsambur
9月から12月までは単語末が「بر」の形を取りますが、参考資料によって「بَرバル」「بِرビル」「بُرブル」の3つのパターンがあり、統一性がありません。ここでの表記は三省堂のデイリー辞典を参考にしています。
 
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日曜日〜月曜日

曜日は西洋ではローマ神話や北欧神話を語源することが多いですが、アラビア語では日曜日を始め(1の日)として数字を用いて曜日を表記することになっています。実は中国語もロシア語も曜日は数字を用いて表記するタイプなのですが、いずれも月曜日を1番として数えています。日本人の感覚からすると少し変わっていますが、これは土曜日の「サブト」が「安息日」を意味し、土曜日から一週間が始まると考えるため、日曜日を「1の日」としているそうです。
なお曜日も全て男性名詞になります。
 
曜日
スペル
発音
備考
日曜日
يَوْمُ ٱلْأَحَدِ
ウムル ハディ
yaumu al’aḥadi
「يَوْمُ(ヤウム)」が「日」を表し全体では「1の日」の意味。アリフの上の記号「ٱ」は「ワスラ」で無音(ハムザと母音の消失)であることを表す。「ح(ハー)」は息を震わせずにハーとを吹きかける音で「ḥ」と表記される。3つある「ハ行」のうちの1つ。
月曜日
يَوْمُ ٱلْإِثْنَيْنِ
ウムル イスイン
yaumu al’ithnaini
「نَيْスクーンとヤー」で二重母音「ayアイ」を表す。「لإ」と「تلاَ」は「ل(ラーム)+ا(アリフ)」を表す。「ث(サー)」は舌先を少し出して上前歯につけて息を遮断する音。英語の「th(θ)」の音で日本語の「サ行」とは少し異なる。
火曜日
يَوْمُ ٱلتَّلاَثَاءِ
ウムッ サラーーウ
yaumu althalāthā’i
「ء(ハムザ)」は声門を一旦閉じて再び開く際の音で「声門破裂音」と呼ばれる。「أَإِأُ」で一旦声を止めてから発する「ア,イ,ウ」の音を表し、「’,ʔ」などと表記される。「ء」は単独で書かれることもあるが、「ي،و،ا」を土台とすることもあり、特に語頭では「ا(アリフ)」を土台とすることになっている。
水曜日
يَوْمُ ٱلْأَرْبِعَاءِ
ウムル アルビーウ
yaumu al’arbi‘ā’i
「ع(アイン)」は喉を締め付けて搾り出すように発する「ア行」の音。「有声咽頭摩擦音」と呼ばれ、「‘,ʕ」などと表記される。「غ(ガイン)」が口の奥の上部の軟口蓋を摩擦させる音であるのに対し、「ع(アイン)」は喉の奥にある咽頭蓋を摩擦させる音。
木曜日
يَوْمُ ٱلْخَمِيسِ
ウムル ハース
yaumu alkhamīsi
「خ(ハー)」は口の奥をうがいをするように摩擦させる音。正式には「無声軟口蓋摩擦音(むせいなんこうがいまさつおん・x・kh)」と言い、軟口蓋と後舌を摩擦させることによって起こす音を表す。3つある「ハ行」の1つ。
金曜日
يَوْمُ ٱلْجُمْعَةِ
ウムル ジュムア
yaumu aljum‘ati
金曜日は「6の日」ではなく「集合の日」の意味合い。金曜日はイスラム教徒がモスクに礼拝に集まる日であるためこの呼び名になっている。
土曜日
يَوْمُ ٱلسَّبْتِ
ウムッ ブト
yaumu alsabti
土曜日も数字ではなく「安息日」の意味。イスラム世界では土曜日から一週間が始まると考える。「سَّ」の上の「w」は「シャッダ」といい子音を2つ重ねることを意味する。
※アラビア語の数字とアルファベットについてはこちらでもう少し詳しく解説しています。
 
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発音のルールをちょっと解説!

1 母音は補助記号で表記

アラビア語の母音は、大きくは「ア,イ,ウ」の3つに集約されますが、正確には短母音「a,i,u」、長母音「ā,ī,ū」、2重母音「ay,aw」の8つがあります。この母音はアルファベットではなく補助記号によって表記することになっていますので、この補助記号の表記のルールを少し説明しておきます。
母音の表記に関する補助記号には、aアの母音を表す「ファトハ(اَ)」、iイの母音を表す「カスラ(اِ)」、uウの母音を表す「ダンマ(اُ)」、そして母音なしを表す「スクーン(اْ)」があります。
また長母音については、āアーは「ファトハ+アリフ(بَا・bāバー)」、īイーは「カスラ+ヤー(بِي・bīビー)」、ūウーは「ダンマ+ワーウ(بُو・būブー)」で表記することになっています。
 
 

2 アラビア語のアクセント

アラビア語のアクセントは、長母音を含む単語の場合はその長母音上に置かれ、長母音が2つある場合は2番目の長母音上に置かれることになっています。また3音節の単語(アラビア語の単語は基本的に3つの子音から構成される)で第2音節が閉音節(子音で終わる音節)でなければ最初の音節に置かれる、とされていますが、これらはおおよその原則であって絶対的なものではありません。
 
 

月の由来をちょっと解説!

今回紹介した「西暦の月」は、紀元前735年に古代ローマで作られた「ロームルス暦」を起源とするものになります。この暦にはギリシャ・ローマ神話の神様やラテン語の番号などが月名として当てられていたのですが、ここではこの西洋の月の語源・由来を簡単に紹介します。
ざっくり言うと次のようになります。
1月から6月までがギリシャ・ローマ神話の神様
7月と8月が人名
9月から12月までがラテン語の番号
語源と由来
1月
ローマ神話の扉と出入り口の神「ヤーヌス」が語源。始まりと終わりも司ることから1月の守護神となったとされる。ギリシャ神話には登場しない神様。紀元前735年に作られた「ロームルス暦」では現在の3月から12月までの10ヶ月間しかなく、農耕を行わない現在の1月と2月は空白期間だった。
2月
ローマ神話の死と純化の神「フェブルウス」が語源。古代ローマで毎年2月に行われた慰霊祭の主神。紀元前700年頃に作られた「ヌマ暦」によって1月と2月が追加され1年が12ヶ月となった。
3月
ローマ神話の戦争と農耕の神「マルス(ギリシャ神話ではアレス)」が語源。最高神「ユピテル(ゼウス)」と6月の女神「ユノ(ヘラ)」の子で、4月の「ヴェヌス(アプロディテ)」とは恋人。ローマ神話では主神に近い位置づけとなり、ローマ建国者である「ロームルス(最初の暦を作った人)」の父親とされる。その「ロームルス暦」では3月が1年の始まりだった。
4月
ギリシャ神話の愛と美の女神「アプロディテ(ローマ神話ではヴェヌス)」が語源。「サトゥルヌス(クロノス)」によって切り落とされた天空神「カイルス(ウラヌス)」の男性器から生まれた神様で「マルス」の恋人。
5月
ローマ神話と春と豊穣の女神「マイア」が語源。彼女に供物が捧げられた5月1日は、ヨーロッパにおけるメーデーの由来になっている。
6月
ローマ神話の結婚と出産の女神「ユノ(ヘラ)」が語源。「サトゥルヌス」と「オプス」の子で最高神「ユピテル」とは姉弟であり夫婦でもある。また英語名は「ジュノ」で6月の花嫁「ジューンブライド」の語源にもなっている。この6月までがギリシャ・ローマ神話の神々が語源。
7月
7月と8月は古代ローマの人名が語源。元々紀元前735年に作られた「ロームルス暦」では3月を1年の初めとしていたため、現在の7月はラテン語で5番目の月を意味する「Quintilis」と呼ばれていた。しかし古代ローマの政治家「ユリウス・カエサル」が自分の誕生月である7月に自分の名前をつけたため「Juliusユリウス」に変更され、これが語源となっている。
8月
8月も元々「ロームルス暦」ではラテン語で6番目の月を意味する「Sextilis」と呼ばれていたが、ローマ帝国初代皇帝「アウグストゥス」が同じように自分の誕生月である現在の8月に自分の名前を付けたため「Augustusアウグストゥス」に変更された。
9月
9月から12月まではラテン語の番号が語源。ただし紀元前735年に作られた「ロームルス暦」では3月を1年の初めとしていたため、9月はラテン語で7番目の月を意味する「September」と呼ばれており、これが語源となっている。なお英語ではスペルがそのまま受け継がれた。
10月
「ロームルス暦」時代からラテン語で8番目の月を意味する「October」と呼ばれており、これが語源となっている。なお9月から12月まではラテン語のスペルがそのまま英語へと取り込まれている。
11月
ラテン語で9番目の月を意味する「November」が語源。
12月
ラテン語で10番目の月を意味する「December」が語源。
ギリシャ・ローマ神話の主要な神様たちの関係を図で表すとこのような形になります。
※ギリシャ神話は紀元前15世紀頃から成立していったと考えられておりこちらが元祖になるのですが、古代ローマではローマの神々をギリシャ神話の神々と同一視するシンクレティズムが行われてきたため、ギリシャ神話とローマ神話は名前だけ変えてほとんど同じような内容になっています。
※左側がローマ神話、右側がギリシャ神話での名前になります。
 
 
 
 
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