1月29日に不思議な夢を見ました。
 
布団の中から窓の方を見ると窓の外から誰かこちらを見ている。
 
一瞬ドキッとしましたがよく見ると父でした。日が昇っていて外は明るい。父は僕と目を合わせようとせず、何も言わず去って行きました。
 
目が覚めて時計を見ると夜中の3時ちょっと前。カーテンも閉まっていて外は真っ暗。
 
その瞬間「……もしかしてお父さん亡くなった?」と頭をよぎりました。
 
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父は現在肺がんのステージ4。2年近く前から入退院を繰り返しながら化学療法で実家で療養していましたが、半年ほど前から体力が低下してやたらと咳き込むようになり、3ヶ月近く前からは杖なしでの自力歩行が困難な状態で言葉もほとんど発っさなくなっていました。そして12月半ばについに入院。
 
年末とお正月の2回お見舞いに行きました。元気そうに振る舞ってはいましたが、明らかに痩せ細った上に呼吸が漏れているような喋り方で言っていることがほとんど聞き取れない。
 
いよいよ最後の時が近い。早ければ今月中だろうか。覚悟しておかなければならない。
 
そんなことを思いました。
 
 
少し経った1月10日、緩和ケアの病院へ転院。でも忙しくて病院に行ってる時間はない。
 
そして1月26日、母から父が危険な状態だと連絡が入る。でも忙しくて実家には帰れない。
 
 
 
父が夢に出てきたのはその数日後の1月29日でした。
 
大前提として僕は心霊現象やスピリチュアル的なことに否定的な人間です。僕は 聖書や仏典などをよく読みますが、読めば読むほど「これは人が作った世界に他ならない」という感想に至ってしまいます。心身の衰えた人生の最後にはこういったものにすがっているかもしれないですが、現状本気で信じてはいません。
 
 
それでも「もしかしてお父さんが亡くなった?」とよぎりました。
 
ですが次の日も朝早かったので、とりあえずトイレに行ってそのまま眠りました。
 
翌朝8時過ぎに母から電話がかかってきた時は、ドキッとして出る前に鳥肌が立ちました。
 
もしかして本当に……?
 
電話を取ると母も動揺しているのが伝わってきた。何でも今朝3時過ぎに父が亡くなったらしい……
 
……3時過ぎ……夢を見た直後だ。
 
 
 
最近父が夢に出てきた記憶はなく、夢に見たのはここ数年では初めてかもしれないです。
 
でもそれは少なくとも今月中は父がいつ亡くなってもおかしくないことを意識しており、特に2日前にかなり危険な状態であることを知らされていたことが大きいと思っています。
 
ただ時刻までほぼ一致していることがかなり気になりました。
 
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お葬式は2月1日。元気な頃の面影が見る影もなく痩せ細っていました。がんとの戦いで消耗しきったのだろう。冷たく動かなくなった父が原型をとどめない骨だけになった時、初めて父がいなくなったことを実感しました。覚悟はしていましたが、受け入れるには時間がかかりそうだ。
 
その晩実家に残って荷物を整理していると、父の寝室の枕元に古いアルバムが積まれているのを見つけました。
 
中を見てみると僕が見たことがない写真が結構ある。実家が建てられていく様子と母との新婚旅行、そして姉がまだ幼い頃の写真は今まで見たことがなかった。後ろに原爆ドームが見える。新婚旅行は広島へ行っていたらしい。この時代の父の写真を見るのも初めてだ。でも大半は見覚えのある僕が生まれた時から中学生頃までの写真だった。見覚えのある車と洋服、懐かしい風景。幼稚園での集合写真と愛犬とじゃれあう自分……
 
入院直前の死を間際にした父が、最後に時間を費やしたのがこれだったのかとわかった時、初めて涙がこぼれました。
 
真冬の寒さで手がかじかむ中時間を忘れてアルバムをめくり、全て見終わった時には下の畳に涙の染みが広がっていました。
 
そして同時に「……だからあの時僕のところに来たのか?」とちょっと分かった気がしました。
 
 
 
相変わらず僕は心霊現象やスピリチュアル的なことに否定的な人間なのですが、
 
あれだけは「死の間際まで僕のことを考えていたお父さんが、最後にお別れに来たんだ。」
 
今はそう信じています。
 
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