聖書
世界の歴史上最も読まれた本ってご存知ですか。
 
実は「聖書」なんです。
 
世界で累計50億部以上発行され、人類の歴史上最も読まれた本と言われています。
 
そして世界の歴史を作ってきた本だとも言われています。
 
 
今回は世界最大の名著「旧約聖書」の内容・登場人物・あらすじ・そして宗教上の意味について、要点を絞ってご紹介します。
 
なお、お急ぎの方は目次で「あらすじと登場人物」まで飛んで行ってください。飛ばしても問題はありません。
 
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ざっくり解説!旧約聖書ってどんな本?

紀元前のユダヤ人の歴史と、神とユダヤ人の契約を綴った書物になります。
 
全39巻の書物から構成されており、作者は多数のユダヤ人。紀元前11世紀から紀元前4世紀頃にかけて成立したと考えられています。
 

構造

 
旧約聖書は神との古い約束であり、ユダヤ教・キリスト教・の共通の聖典になります。
 
旧約聖書は、5つ文書に分類され、全39巻から成り立っています。
 
(1) 「モーセ五書」と呼ばれる律法書  創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記
(2) 「歴史書」 ヨシュア記・士師記・ルツ記・サムエル記・列王記上下・歴代誌 上下・エズラ記・ネヘミヤ記・エステル記
(3) 「詩書」 ヨブ記・詩篇・箴言・コヘレトの言葉・雅歌
(4) 「大預言」 イザヤ書・エレミヤ書・哀歌・エキゼエル書・ダニエル書
(5) 「小預言書」 ホセア書・ヨエル書・アモス書・オバデヤ書・ヨナ書・ミカ書・ナホム書・ハバクク書・ゼファニヤ書・ハガイ書・ゼカリヤ書・マラキ書

聖書の目次はこのようになっています。上の画像は旧約聖書の目次。下の画像は途中から新約聖書の目次になります。目次」が上の表の「モーセ五書」 「歴史書」「詩書」「大預言」「小預言書」の順番に並んでいるいるのが分かりますか?

旧約聖書の目次

旧約聖書の目次

 
この中でも特に重要なのが「創世記」「出エジプト記」になりますが、後の文学との絡みもあり「ヨブ記」も大切です。
 
旧約聖書の構造については、こちらの動画がわかりやすいので、まずはこちらをご覧になってみてください。この先の解説が理解しやすくなると思います。 
 ※このページの出典動画はすべて「世界ミステリーch様」になります。 
 

旧約聖書全体のおおざっぱな流れ

「絶対神ヤハウェ」が、世界を創造し人間を作ります。
 
エジプトでの奴隷状態を脱したユダヤの民が、預言者モーセを通じて、「神ヤハウェ」との間に「神の戒めを守る代わりにパレスチナの地を得る」契約を結びます。
 
 
そして契約通り、パレスチナの地にユダヤ王国を建設しました。
 
 
しかしやがて、「神ヤハウェ」への信仰は薄れ、ユダヤ王国は分裂し、他国から占領されてしまいます。
 
 
ユダヤ人たちは、自分たちが神との契約を破り、信仰を忘れたことに対して、神が罰を与えたのだと考えました。
 
 
この信仰を忘れた者たちに対して、預言者たちが次々に警告を発するようになります。
 
 
「悔い改めて神の戒めを守れ」と
 
 
しかしユダヤ人は、他民族から迫害を受け続きます。
 
 
 
するとユダヤ人たちには、やがてこの世の終わりが来るという「終末思想」が蔓延します。
 
 
罪に満ちたこの世は、神によって一旦滅ぼされる。
 
 
そして神は、新しい善なる理想的の世界を作り、選ばれた人のみが導かれるだろう。
 
 
そして神は、そのための「救世主」を遣わすはずだ。
 
 
その救世主は英雄「ダビデ王」の末裔から現れるだろう
 
 
ユダヤ人たちは、このように考えるようになりました。
 
 
その考えは神の言葉として、旧約聖書の預言書に刻まれていくことになります。
 
 
…そして紀元前4年頃、本当に救世主(イエス)が現れる(新約聖書)。
 
 
このような流れになります。
 
 

あらすじと登場人物

このページでは、動画(世界ミステリーch様)を交えて旧約聖書の解説を行っていきますが、動画は必ずしも最初から全部ご覧にならなくても結構です。
 
まずは個別の深いエピソードよりも、重要な人物と、聖書の構造・全体の流れを掴むことを優先してください。
 
聖書を理解するためにはそちらの方が大切です。
 
 
重要な人物に要点を絞って、あらすじをご紹介します。
旧約聖書を読むにあたって、特に注意しておいていただきたいのが、アダムからイエスに至るまでの血筋です。
アダム(初代)から生まれた血筋は、ノア(10代目)の時代に、他の血筋が一度全滅します。
そしてアブラハム(20代目)の子孫から、ユダヤ人とアラブ人に分かれます。
さらにユダヤ人の血筋であるダビデ王(34代目)の子孫から、救世主(イエス62代目)が誕生します。
これは新約聖書・コーランにも関連する、とても重要な流れになります。
この流れを意識しながら「あらすじと登場人物」を読んでみて下さい。

創世記【重要】

アダムとエバ

ミケランジェロ・システィーナ礼拝堂・アダムの創造

 
神は6日間で天地を創造し、最後に自分をかたどって、アダム(土の意味)エバ(命の意味)を創造しました。しかし蛇にそそのかされたエバは、神に禁じられた「知恵の実」を食べて、エデンの楽園を追放されます。さらに女は「子を生む苦しみを大きくされ」、男は「生涯食べ物を得ようと苦しむ」という罰を与えられました。
これ以後に登場する聖書の登場人物(すべての人類)はすべてアダムの子孫になります。人類最初の殺人が行われたとされるカインアベルは、アダムの子(2世代目)になります。なお、旧約聖書によるとアダムが作られたのは紀元前4000年頃になり、彼は930歳で亡くなります。
 
 こちらは天地創造神話とアダムとエバの誕生の物語になります。興味のある方はどうぞ。(見なくてもこの先の理解には問題ありません)
※日本の古事記にも共通することですが、旧約聖書初期の人物は非常に長生きの人が多いのが特徴です。
※ 旧約聖書には紀元前のユダヤ人の系図が細かく記載されており、初代アダムまで系図を遡ることができます。
 
 

ノア

ノアはアダムから数えて10代目の子孫にあたり、紀元前3000年頃の人物になるようです。有名なノアの箱舟の説話の登場です。人口が増え、悪がはびこる人間たちに対し、神が洪水の罰を与えます。神は、神を信じる正直者のノアに対してのみ、箱舟をを作って災いを切り抜けるよう命令します。神の言いつけを守ったノアとその家族は、大雨と大洪水を箱舟でさまよって生き残ります。旧約聖書によると、この時ノア600歳。ノアの家族以外の人類は全滅し、これ以後のすべて登場人物(すべての人類)はノアの子孫になります。その後ノアは950歳まで生きました。
 
こちらは有名なノアの箱舟の詳しいお話になります。お話を忘れてしまった方はどうぞ。
預言者とは「神の言葉を授かる人」を意味し、このノアが最初の預言者とされています。
大洪水の説話については、「ギリシャ神話」や世界最古の文学とされる「ギルガメシュ叙事詩」にも、ほとんど同じ説話が残っています。考古学的にも紀元前2900年頃のイラク南部において、大洪水の形跡が認められており、この洪水が説話の元になった可能性が指摘されています。
 
 

アブラハム

アブラハムはアダムから数えて20代目の子孫で、紀元前2,000年頃の人物で175歳まで生きたとされています。神の声に従い、現在のイラクからカナン(パレスチナ)へ移り住んだ人物で、すべてのユダヤ人とアラブ人の父(すべてのユダヤ人とアラブ人はアブラハムの子孫)になります。アブラハムには異なる妻のもとにイシュマエルイサクという子供を設けますが、イシュマエルから後のアラブ人が生まれ、イサクからからは後のユダヤ人が生まれていくことになります。アブラハムは、神の命令により息子のイサクを生贄に捧げようとしたことで、神の信頼を獲得し、子孫繁栄を約束されます。上の絵画はその場面を描いたものになりますが、創世記には次のように記されています。
アブラハムは神に命じられた場所に祭壇を築き、息子イサクを縛って祭壇の上に乗せた。
 
そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。
 
その時、天から主の御使いがアブラハムに呼びかけた。
 
御使い「アブラハム、その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れるものであることが今わかったからだ。あなたは自分の息子すら、私に捧げることを惜しまなかった。」
 
中略
 
御使い「あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。…地上の諸国民は、全てあなたの子孫によって祝福を得る。あなたが私の声に聴き従ったからである。
 
 こちらはアブラハムについてさらに詳しく解説した動画になります。パレスチナの根深い問題が理解できるいい動画です。お時間のある方は1度ご覧になってみてください。
このような経緯により、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教、これら3つの宗教は「アブラハムの宗教」とも呼ばれています。いずれの宗教においても、アブラハムのことを「神」が人類救済のために選んだ預言者として尊敬しています。
イスラム教では「ノア・アブラハム・モーセ・イエス・ムハンマド」を5大預言者としています。
 
神の御使いによって命を救われた「イサク」の子「ヤコブ」は、神と格闘して勝利することによって「イスラエル」の名を授かります。
 
「イスラ・エル」とは「神と戦う人」の意味になります。
 
この「ヤコブ」には12の息子がおり、彼らが「イスラエル12部族」の長となっていきます。
 
 
「イスラエル12部族」
ルベン族、シメオン族、レビ族、ユダ族、ダン族、ナフタリ族、ガド族、アシェル族、イサカル族、ゼブルン族、ヨセフ族、ベニヤミン族
 
※後に登場する「ダビデ王」も「イエス・キリスト」も、この中の「ユダ族」に属します。
 
この「ヤコブ」とその息子たちが、肥沃な土地を求めてエジプトへ下っていくところで、この「創世記」は終わりになります。
 
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出エジプト記【重要】・レビ記・民数記・申命記・ヨシュア記

「出エジプト記の内容」
12部族に分かれてエジプトに移住したアブラハムの息子たち(ユダヤ民族)は、そこで徐々に人口増やしていきます。しかしやがてエジプトではユダヤ人は警戒され、奴隷状態となり約400年の月日が流れます。
 

モーセ

預言者モーセ
紀元前14世紀頃(諸説あり)モーセは神から授かった奇跡の力で、ユダヤの民を奴隷状態から救い出し、エジプトを脱出します。そしてユダヤ人たちを率いたモーセは、シナイ山において「神ヤハウェ」と、「神の戒めを守る代わりにパレスチナの地を得る」契約を交わします。有名な「十戒」はこの時に授かりました。モーセはパレスチナの地を得る前に亡くなりますが、120歳ほどまで生きたとされています。モーセの意思は弟子のヨシュアに引き継がれ、ヨシュアによってカナン(パレスチナ)の攻略が行われていきます。
 
モーセの話を忘れてしまった方は復習にどうぞ。
※動画で紹介した「十戒」の内容も載せておきます。
 
1 あなたには、私を置いて外に神があってはならない。
 
2 あなたはいかなる像も作ってはならない。
 
3 あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
 
4 安息日を心に留め、これを聖別せよ。
 
5 あなたの父母を敬え。
 
6 殺してはならない
 
7 姦淫してはならない。
 
8 盗んではならない。
 
9 隣人に関して偽証してはならない。
 
10 隣人の家を欲してはならない。
 ※2 あなたはいかなる像も作ってはならない」とありますよね。イスラム教の偶像崇拝禁止は有名ですが、ユダヤ教でも禁止されており、ユダヤ人は今でも宗教画を描かないそうです。キリスト教もこの「十戒」を守らなくてはならず、偶像崇拝は原則禁止なのですが、カトリックだけは聖書の解釈を捻じ曲げ、宗教画を描いてしまっています。このページでも神を描いた宗教画を載せていますが、本当はだめなんですよ。カトリックにおいてのみ、偶像崇拝禁止の戒めが破られた経緯については、こちらに解説がありますので、興味のある方はどうぞ。
 ※3 あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」とあるため、ユダヤ人は今でも「ヤハウェ」とはまず口にしないそうです。「アドナイ(ヘブライ語で我が主)」や「ハシューム(ヘブライ語でお名前)」などと言うそうです。なお、ユダヤ教のヤハウェ」、「キリスト教のイエス・キリスト」、「イスラム教のアッラー」は、原則として同じ神様を指しています。

 
 
「レビ記  」「民数記 」「 申命記  」では、シナイ山において、神がイスラエルの人々に示した「戒め」の内容が記されています。捧げものや刑罰、割礼の儀式や祝日に関する規定。人口調査や食べ物に関する規定。偶像崇拝の禁止や祭祀の決まりなど、ユダヤ人が守るべき「戒律」が繰り返し述べられます。イスラエルの民はシナイ山で40年ほど過ごしたことになっています。
 
古代ユダヤ人の移動
 
「ヨシュア記」では、モーセの後継者である「ヨシュア」による、カナン(パレスチナ)攻略の様子が描かれます(ユダヤ人たちは、パレスチナの先住民たちを、ほぼ根絶やしにするほどの殺戮も行っています)。その様子を少しご紹介します。

エリコ占領時
…(ユダヤの)民は、(エリコの)町に突入し占領した。彼らは男も女も、若者も老人も、また牛、羊、ロバに至るまで、町にあるものはことごとく剣にかけて滅ぼし尽くした。
アイの滅亡
…イスラエルは追ってきたアイの全住民を、野原や荒れ野で殺し、1人残らず剣にかけて倒した。全イスラエルはアイにとって返し、その町を剣にかけて撃った。その日の敵の死者は男女合わせて12,000人、アイの全住民であった。
 
約3500年前の話になります。後に数々の迫害を受けるユダヤ民族ですが、彼らもまた、神との契約という建前のもと、パレスチナの先住民族をほぼ皆殺しにしてしまうという、過ちを犯してしまっています。
 
 
「創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記」までの5つを、ユダヤ人たちは「律法」もしくは「モーセ五書」などと呼び、神がモーセに与えた聖なる啓示の書として尊んでいます。(ヨシュア記も入れて「モーセ6書」とする場合もあります)
 
 

士師記・ルツ記・サムエル記

士師(しし)というのは、イスラエルの軍事的・政治的な指導者を指します。「士師記」「ルツ記」はカナン(パレスチナ)を平定した「ヨシュア」死後の時代。イスラエルにまだ王が現れる前の時代の話で、移民族の侵略からイスラエルの民を守る士師たちの活躍などが語られます。
 
「サムエル記」では、預言者「サムエル」に選ばれて、イスラエルに初代王「サウル」が誕生します。預言者に選ばれたということは、神に選ばれたことを意味します。しかし「サウル」は、神の言葉に背き、人望を失い失脚します。そして「サムエル」が次の王に選んだのが、有名な「ダビデ」でした。
 

ダビデ

ダビデ像と投石
ダビデ(紀元前1040年〜961年)は、アダムから数えて34代目。イスラエル2代目の王。もともと羊飼いでしたが、身長3mもあったとされる、ペリシテの「ゴリアテ」を投石で倒すほどの武勇を持ち、神に選ばれ王位に着きます。以後40年も王位につき、彼の時代にイスラエル大繁栄の礎を築きました。預言者「ナタン」は次のように預言します。ダビデが主の家を建て、主はダビデの王国をとこしえに永らえさせる。主はダビデから出る子を後継者とし、王国を揺るぎないものにするだろう」。このような預言が、後にダビデの末裔から人々を救済する救世主が現れるだろう、と解釈されていったようです。
※ダビデと言えば、ケランジェロのダビデ像↑」が有名ですよね。この像はゴリアテとの決戦の直前を描いたものですが、ダビデがすっ裸な理由は、旧約聖書に「戦いの直前にダビデが鎧を脱いだ」と記述があるからなんです。聖書を読むときは注意して見つけてみてください(鎧を脱いだとは書いてありますが、素っ裸になったとは書いてないですけどね…)。この角度からは見えませんが、左手には投石の道具を持っています。
 
 

列王記 上下  歴代誌  上下

「列王記」では、ダビデの死後のソロモンの統治(紀元前971年頃)から、紀元前587年のエルサレム陥落(バビロン捕囚)までの、南北ユダヤ王国(ソロモン王の後、北イスラエル王国と南のユダ王国に分裂します)のかなり長い歴史が語られます。
 
「歴代誌」では、初代アダムからバビロン捕囚までのユダヤ人の系図の他、ダビデからソロモンの統治の様子が語られます。
 
 

ソロモン(紀元前1011年〜931年)

ダビデの息子の3代目「ソロモン王」の時代、エルサレムに神殿の建設を行い、イスラエル王国は栄華を極めます。ソロモンの統治は40年続き、700人の王記と300人の側室がいたとされています。ソロモンは神から知恵を授かった聡明な王としても名を馳せました。旧約聖書には遠い国の「シヴァの女王」が、ソロモンの知恵を求めてやってくる様子も描かれています。しかしソロモンは晩年、国の繁栄のため「ヤハウェ」以外の異教の神を崇めることを許してしまいます。旧約聖書ではソロモンのこの行いが神の怒りを買い、以後のイスラエルの衰退の原因になったとしています。
 
こちらはソロモン王の物語。お時間に余裕のある方はどうぞ。
 
ソロモン王以後、ユダヤ民族は「北イスラエル王国」と「南のユダ王国」に分裂し、同じ民族同士で何百年も争いを繰り返すことになります。神の教えに背き争い続けた結果、紀元前722年、「北イスラエル」はアッシリアに滅ぼされ滅亡。紀元前587年には「南ユダ」もバビロンに滅ぼされ、ユダヤ人は奴隷となります(バビロン捕囚)。
 
旧約聖書では、イスラエルにこのような苦難が続く原因は、「ユダヤ人たちが神ヤハウェの戒めを守らず、異教の神を崇めたからだ」と考えます。
 
 

エズラ記・ネヘミヤ記・エステル記

「エズラ記」「ネヘミヤ記」「エステル記」の内容は、バビロン捕囚時のユダヤ人の苦悩と、エルサレム復興への努力の様子になります。紀元前537年、ユダヤ人たちは約半世紀続いた奴隷生活が終わり、エルサレムへの帰還と復興が認められました。
 
 

ヨブ記【重要】

ヨブは「ヨブ記」にのみ登場する人物になります。ヨブは神を畏れ、悪を避けて生きる無垢な富豪。そのヨブに対して、サタンは神をそそのかし様々な苦難を与えます。ヨブから財産を奪い、家畜を殺し、病気で苦しめます。自分に罰が降ることについて心あたりのないヨブは、友人に自分のえん罪を主張し、友人と「人と神と罪」について熱い議論を交わします。ところが突然「神ヤハウェ」が議論に割り込み、ヨブに一方的に裁きを与えてしまいます。神について正しく語ったヨブは財産を2倍にされ、140歳の長寿を与えられました。
 
※神が突然議論に参加して一方的に裁きを与えるという、かなり強引なお話になりますが、「ヨブ記」はゲーテのファウストやカラマーゾフの兄弟など、後の文学に深く影響を与えた重要な書物になります。カラマーゾフの兄弟についてはこちらで紹介しています。興味のある方はどうぞ。→【5分でカラマーゾフの兄弟】
 
 
 

詩篇・箴言・コヘレトの言葉・雅歌

「詩篇」ダビデ作とされる神の賛美詩。
 
「箴言(しんげん)」はソロモン作の戒めの格言や教訓など。
 
「コヘレトとの言葉」はソロモン作の知恵文学。優れた知恵を持つと言われたソロモン名言集。
 
「雅歌」はソロモン作の男女の恋の歌。
 
※いずれも学問的には、ダビデやソロモンの作ではないとされています。
 
 

イザヤ書・エレミヤ書・哀歌・エキゼエル書・ダニエル書

 「イザヤ書」「エレミヤ書」「エキゼエル書」は、バビロン捕囚前後に3人の預言者(神の言葉を預かる者)によって書かれた預言の書(要するに神の言葉)で、「三大預言書」と呼ばれます。
 
いずれも次のような思想が色濃く反映され、預言書内で繰り返し述べられることになります。
神はイスラエルの民族を選んで育ててくれた。それにもかかわらず、ユダヤ民族は神との約束を忘れ、戒めを守ろうとしない。他の神を崇めている。神は怒っておられる。悔い改めなければわれわれは滅びるだろう。
 
なお、「哀歌」はエレミヤ作のエルサレム陥落を嘆く歌。
 
「ダニエル書」は未来を暗示する黙示文学という位置づけになります。
 
 

ホセア書・ヨエル書・アモス書・オバデヤ書・ヨナ書・ミカ書・ナホム書・ハバクク書・ゼファニヤ書・ハガイ書・ゼカリヤ書・マラキ書

これらは「12の小預言書」と呼ばれます。これらの預言書にも「悔い改めよ。神の戒めを守れ。さもなければわれわれは滅びる。」といった預言が繰り返し述べられることになります。しかしユダヤ人に厳しい現実が続くと、この世は一旦神に滅ぼされ、神によって新しい世界が作られるという終末思想が強まります預言書の内容も「我々を救うメシア(ヘブライ語で救世主を意味します)がやがて到来するだろう。それはダビデの末裔から生まれ、ベツレヘムに誕生するだろう」といった、救世主の到来を望む内容のものになっていきます。
 
旧約聖書全体の構造は、このようになっています。ユダヤ人たちは自分たちの現状を嘆き、新たな世界へ導いてくれる救世主の登場を待ち望みます。そして紀元前4年、ダビデの末裔から本当に救世主(メシア)が現れる。
このようにして新約聖書につながっていきます。
 
 

イエス

イエス・キリスト
 
旧約聖書の登場人物ではありませんが、重要な人物なのでご紹介しておきます。イエスが誕生したのは紀元前4年。「聖母マリア」を通して「神ヤハウェ」の子として生まれたとされています。アダムから数えて62代目、ダビデから数えて28代目の子孫であり、旧約聖書でその出現が預言されていた「救世主(キリスト=メシア)」であるとされています。つまりイエスはユダヤ人でユダヤ教徒、そしてダビデの末裔ということになります。
イエスは数々の奇跡と、愛と赦しの教えで、多くの人を救済しましたが、権力者の反感を買い処刑されます。「その後、彼が復活・昇天したことで死後の新たな世界(天国)が開かれた」「神を信じるものは平等に救われる」といった「キリスト教の教義」が、後に弟子たちによって作られていきました。

 

重要な人物の整理

重要な人物を少しまとめておきます。

名前 世代 誕生 特徴
アダム BC4000年頃 神に作られ楽園を追放
ノア 10 BC3000年頃 全ての人類の共通の祖先
アブラハム 20 BC2000年頃 ユダヤ人とアラブ人の共通の祖先
モーセ ? BC14世紀頃 エジプトを脱出し、神と契約を結ぶ
ダビデ 34 BC1040~961年 ダビデの末裔から救世主が誕生するだろう
ソロモン 35 BC1011~931年 異教の神を認めて神の怒りを買う
イエス 62 BC4~AD30年 預言通り現れた救世主

 

ここまでが旧約聖書のあらすじと、登場人物についての解説です。引き続き、各宗教の成り立ちや宗教上の意味などを解説します。お時間のある方は続きもどうぞ。

 

 

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ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の成り立ちをざっくり解説!

ここでユダヤ教・キリスト教・イスラム教の成立の違いを簡単にご紹介しておきます。
 

ユダヤ教

モーセとユダヤの民
旧約聖書によると、ユダヤ民族と「神ヤハウェ」が、モーセを通じて契約を結びます。(紀元前14世紀頃)
 
 
「神の戒律を守る代わりに、パレスチナの地を与える」といった契約です。
 
 
ユダヤ教では、ユダヤ人こそが神ヤハウェに選ばれた特別な民族であると考えるため、最終的に神に救われるのもユダヤ民族だけと考えます。
 
 
あくまでユダヤ人だけが救われる「民族宗教」であるため、世界中に広まる事はありませんでした。
 
 
 

キリスト教

 イエス・キリスト
これに対しユダヤ人であるイエスは、「神を信じさえすれば誰でも平等に救われる」と説きました。(紀元30年頃)
 
 
後に、このイエスの言行録などを記録したものが「新約聖書」となります。
 
 
キリスト教では、「ユダヤ教のヤハウェとイエス・キリスト、そして精霊」を合わせて神とする三位一体という考えを取ります。
 
 
なお、イエスは名前、キリストはギリシャ語で救世主を意味します。
 
 
「神(イエス・キリスト)」を信じさえすれば誰でも救われるため、場所や民族を問わず世界中に広まり、世界宗教となりました。
 
 
 

イスラム教

 コーラン
これに対し預言者ムハンマド(マホメット)は、さらに神の言葉を預かります。(紀元610年頃)
 
 
モーセやイエスがもたらしたメッセージは、それ自体は確かに正しかった。
 
 
しかしユダヤ教徒もキリスト教徒も、神の言うことを全く聞いていない。
 
 
だからこそ預言者ムハンマドを通じて、神(ヤハウェ=アッラー)の言葉を伝える。
 
 
そしてムハンマドが受けた預言を、後に編集したものが「コーラン」になります。
 
 
これらの宗教はこのような位置づけになります。
 
 
 
 
なお、それぞれ神の呼び名は異なりますが、原則として同じ神様(ユダヤ教のヤハウェ)を指します。
 
いずれの宗教も世界は神が作ったものであり、世界最後の日は必ずやってくる…という終末思想を持ってます。
 
 

救世主をめぐる解釈の違い

イエスの磔刑と十字架
「ユダヤ教」「キリスト教」では救世主をめぐる解釈に大きな違いがありますので、少し整理をしておきます。
 
「キリスト教」では、「イエス」は「キリスト(ギリシャ語で救世主の意味)」であり神でもある、としています。
 
これに対し「ユダヤ教」では、「イエス」はただの預言者であり神ではない
 
「メシア(ヘブライ語で救世主の意味)」はまだ到来していないとしています。
 
したがって新約聖書を聖典とは認めてません。
 
聖書の内容に関する解説はここまでになります。ここからは聖書のボリュームや、実際に旧約聖書を読むためのポイントなどをご紹介します。お時間のある方は、もう少しだけお付き合いください。
 
 

聖書を読むための準備!

聖書のボリューム

旧約聖書
聖書はボリュームがあります。
 
数えてみたところ、ページ数では旧約と新約を合わせた聖書全体では1,982ページ旧約聖書は約4分の3の1,502ページになりました。
 
ただ聖書は、1ページあたりの字数が多いです。
 
計算してみると、1ページの文字数が1104字もあり、一般的な文庫本の2倍近くの文字数があります。
 
単純計算をすると旧約聖書の文字数
1,104字 × 1,502ページ= 1,658,208文字
 
聖書全体では
1,104字 × 1,982ページ= 2,188,128文字
 
となりました。(あくまで隙間なく文字が埋まっていたと仮定した場合の計算です。)
 
仮に1日中読み続けたとしても、旧約聖書だけで6日間聖書全体では8日間ほどはかかることになると思います。
 
 
 
 これから聖書を購入されるのであれば、小型聖書をおすすめします。少し字が小さいですが、通常サイズは大きくて持ち運びが不便な上、読んでいて手が疲れます。
 
 

できれば通して読みたい!

聖書は必ずしも通して読む必要はありません。
 
ただ、時間のある方には、一度通して読んでみることをおすすめします。
 
通して読んでみて、初めて見えてくる「全体像」というものがあると思います
 
また、1度通して読んでしまえば、どこにどんなことが書いてあるのか大体わかるようになるので、
 
思い出したいとき、確認したい時、もう一度読み直したいときなどに、
 
いつでも自由に必要な箇所に戻ってくることができるようになります。
 
 

漫画版での予習がオススメ!

聖書には文字しか書いてありません。
 
これだけでイメージを膨らませるのは大変ですし、記憶にもあまり残りません。
 
特に聖書は登場人物も非常に多く、細かいエピソードも多いため、読むのが大変です。
 
 
そこで、漫画なので予習をしたり、同時並行で読んでみるといいと思います。
 
おすすめなのがイーストプレスの「漫画で読破 旧約聖書」
この「漫画で読破シリーズ」は、本によって当たり外れが大きいのが特徴ですが、この「旧約聖書」は原作を崩すことなく、とてもわかりやすく表現してくれています。
 
挫折のリスクも低くなり、理解もグッと深めてくれると思います。
 
 

 創世記、出エジプト、ヨブ記が重要

ユダヤ人の出エジプト
そうは言っても忙しい社会人が、聖書を全て読み通すのはかなり厳しいです。
 
重要な箇所だけに絞って読むのであれば、創世記」「出エジプト記」「ヨブ記」の3つから読むことをおすすめします。
 
「創世記」は神による天地創造からノアの箱舟、ユダヤの民がエジプトに入るまで。
 
「出エジプト記」では迫害を受けたユダヤ人がエジプトを脱出し、シナイ山でモーセが十戒を受ける様子などが語られます。
 
「ヨブ記」では善良なヨブが友人と神について語り合います。「カラマーゾフの兄弟」や「ファウスト」などその後の文学に深い影響を与えました。
 
 

おわり

「旧約聖書」のあらすじと内容を、重要な論点に絞ってご紹介しました。
 
 
しかし、これだけ膨大な量の聖書を、たった10分や20分で理解するというのはそもそも無理な話です。
 
 
まずは、個別の深いエピソードよりも、大雑把な概要と流れを掴むことを意識してみて下さい。
 
 
 
聖書を理解するためにはそちらの方が大切です。
 
 
特にアダムからノア、アブラハム、ダビデ、そしてイエスへと続く血筋が大事です。
 
 
何度かこのページを訪れていただければ、きっと理解が深まると思います。
 
 
よろしければブックマークして、いつでも戻ってこれるようにしておいてください。
 
 
そしてもし余裕があるのであれば、実際に読んでみることをおすすめします。(実際に読んでいただくことを前提に解説しています)
 
 
 
 
「新約聖書」や「ダンテの神曲」についてはこちらで紹介しています。全体像を把握してみたい方、これから読んでみようと思っておられる方にオススメです。
 
 
 
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