ヤハウェ・イエス・アッラーは実は同じ神様!違いを徹底比較!

ユダヤ教とキリスト教、イスラム教の神様は、実は同じ神様だってご存知ですか?
 
 
 
ユダヤ教ではヤハウェ(エホバ)。
 
 
 
キリスト教ではイエス・キリスト
 
 
 
イスラム教ではアッラー(アッラーフの方が本来の発音に近いそうですが、ここではアッラーで統一します)。
 
 
 
 
それぞれ呼び名が違いますが、実は同じ神様です。
 
 
 
ここではヤハウェ、イエス、アッラーとは、そもそもどんな神様なのか、旧約聖書、新約聖書、コーランに基づいて、その違いを徹底的に比較してみたいと思います。
 
 
 
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ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の成り立ちをざっくり解説!

 

ユダヤ教

モーセとユダヤ人
旧約聖書によると、紀元前14世紀頃、ユダヤ民族と「神ヤハウェ」が、モーセを通じて契約を結びます。
 
 
 
神の戒律を守る代わりに、パレスチナの地を与える、といった契約です。
 
 
 
ユダヤ教では、ユダヤ人こそが神ヤハウェに選ばれた特別な民族であると考えるため、最終的に神に救われるのもユダヤ民族だけと考えます。
 
 
 
あくまでユダヤ人だけが救われる民族宗教であるため、世界中に広まる事はありませんでした。
 
 
 
 

キリスト教

イエス・キリスト・十字架
これに対しユダヤ人イエスは、神を信じさえすれば誰でも救われる、神の前ではすべての人が平等であると説きました。(紀元30年頃)
 
 
 
後に、このイエスの言行録などを記録したものが新約聖書となります。
 
 
 
キリスト教では、ユダヤ教のヤハウェとイエス・キリスト、そして精霊を合わせて神とする三位一体という考えを取ります。
 
 
 
なお、イエスは名前、キリストはギリシャ語で救世主を意味します。
 
 
 
「神(イエス・キリスト)」を信じさえすれば誰でも救われるため、場所や民族を問わず世界中に広まり、世界宗教となりました。
 
 
 
 

イスラム教

これに対し預言者ムハンマド(マホメット)は、さらに神の言葉を預かります。(紀元610年頃)
 
 
 
モーセやイエスがもたらしたメッセージは、それ自体は確かに正しかった。
 
 
 
しかしユダヤ教徒もキリスト教徒も、神の言うことを全く聞いていない。
 
 
 
だからこそ預言者ムハンマドを通じて、神(ヤハウェ=アッラー)の言葉を伝える。
 
 
 
そしてムハンマドが受けた預言を、後に編集したものがコーランです。
 
 
 
このようにそれぞれ神の呼び名は異なりますが、原則として同じ神様(ユダヤ教のヤハウェ)を指します。
 
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3つの宗教の神様の呼び名を正確に知っておこう!

実は「ヤハウェ」、「イエス・キリスト」、「アッラー」というのは固有名詞になります。
 
 
 
つまり神様の名前のことです。
 
 
 
日本で言うと「アマテラス大御神」、「イザナキ」、「イザナミ」、などが神様の名前であり、固有名詞ということになります。
 
 
 
 
これに対し普通名詞というものもあります。
 
 
 
つまり日本語で言う「神」
 
 
 
「神」はユダヤ教では「エロヒム」
 
 
 
英語では「ゴッド」と言いますが、
 
 
 
イスラム教(アラビア語)においては、普通名詞も「アッラー」になります。
 
 
 
つまり「アッラー」普通名詞でもあり、固有名詞でもあることになります。
 
 
 
日本では「イザナキという名前の神様」になりますが、
 
 
 
イスラム教の神様は「神という名を持つ神様」ということになります。
 
 
 
少しややこしいので表にまとめておきます。
  ユダヤ教 キリスト教 イスラム教
主な聖典 旧約聖書(ヘブライ語) 新約聖書(ラテン語) コーラン(アラビア語)
神の固有名詞 ヤハウェ(エホバ) イエス・キリスト アッラー(アッラーフ)
神の普通名詞 エロヒム ゴッド アッラー(アッラーフ)
名前のルール みだりに唱えてはならない 特になし 頻繁に唱えさせる
偶像崇拝 禁止

カトリックはOK

プロテスタントは禁止

禁止
 
もう少し詳しく解説していきます。 
 
 

ユダヤ教の神の特徴

 

神の名をみだりに唱えてはならない

聖書
ユダヤ教の神(ヤハウェ)は、世界の創造主でもありますが、あくまでユダヤ民族の神様です。
 
 
 
シナイ山において、モーセを通じてユダヤ民族に対し、パレスチナの地を与える代わりに、十戒という10の戒めを与えます。
 
 
 
その十戒の1つにこのような戒めがあります。
 
 「神の名をみだりに唱えてはならない」
 
 
 
ユダヤ人たちは3000年以上もこの戒めを守り続けており、
 
 
 
現在でも「ヤハウェ」または「エホバ」とは、まず口にしないそうです。
 
 
 
ただ、「みだりに」と言っているため、絶対に口にしないわけでもないようです。
 
 
 
代わりに「アドナイ」(ヘブライ語で「我が主」の意味)、もしくは「ハシューム」(ヘブライ語で「お名前」の意味)などと呼ぶそうです。
 
 
 
 

なぜみだりに唱えてはいけないの?

古代社会では「名前」と言うのは霊的な力、呪術的な力を持ち、恐ろしいものと考えられていました。
 
 
 
日本でも言葉に魂が宿る「言霊(ことだま)」という文化がありますよね。
 
 
 
そのため人の名前ですら、むやみに呼ぶことをあまりしなかったようです。
 
 
 
まして「神様の名」を口にするということは、大変恐れ多いと考えられていたようです。
 
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ヤハウェ・エホバどちらが正しい?

旧約聖書
ヘブライ語の旧約聖書には、ヤハウェは「YHWH」と表記されているそうです。
 
 
 
しかしこれは子音のみしか表記されておらず、古代ユダヤ人が実際なんと呼んでいたのかユダヤ人にもわからないそうです。
 
 
 
「ヤハウェ」もしくは「エホバ」と読んでいたらしいのですが、はっきりしたことはわかりません。
 
 
 
ただ現在は、「YaHWeH」と母音を入れて、「ヤハウェ」と読む方が有力と見られているようです。
 
 
 
いずれにせよユダヤ人は、めったなことではこの名前を口にしません。
 
 
 
 
 

偶像崇拝の禁止

システィーナ礼拝堂・ミケランジェロ
神(ヤハウェ)から授かった十戒の中には次のような戒めもあります。
 
 
「あなたはいかなる像も作ってはならない」
 
 
これは偶像崇拝を禁止するものであり、旧約聖書を聖典とする宗教はユダヤ教に限らず、原則として偶像崇拝をしてはならないことを表しています。
 
 
 
つまりユダヤ教は、神の名前を唱えてはいけないし、像を作って崇めてもだめということになります。
 
 
 
偶像崇拝を禁止する理由は、信仰の対象が像に移ってしまうからとも、新たな神を生み出してしまうからとも言われています。
 
 
 

キリスト教の神の特徴

 

キリスト教の神は三位一体

イエス・キリスト
キリスト教の神の特徴といえば「三位一体」です。
 
 
 
一般的にキリスト教の神といえば「イエス・キリスト」を指すと考えられますが、
 
 
 
正確にはユダヤ教の「神ヤハウェ」と、その神の子とされる「イエス・キリスト」、そして「精霊」を合わせて「神様(ゴッド)」とする、「三位一体」という考えを取ります。
 
 
 
なお、キリスト教ではイエスを「神の子」としていますが、
 
 
 
ユダヤ教徒やイスラム教徒は、イエスを「神の子(神)」とは認めておらず、神の言葉を預かる預言者の一人であるとしています。
 
 
 

キリスト教はカトリックのみ偶像崇拝OK

最後の晩餐
旧約聖書の偶像崇拝禁止の規定は、原則としてキリスト教徒も守らないといけないとされています。
 
 
 
新約聖書で禁じられているわけではありません。
 
 
 
キリスト教初期においては、この教えを守り偶像崇拝を禁止していましたが、787年のニケーア会議により偶像崇拝が認められるようになります。
 
 
 
以後カトリックにおいてのみ、連綿と偶像崇拝の文化が続き、多くの宗教画を生み出すことになりました。
 
 
 
なお、宗教改革で生まれたプロテスタントでは、偶像崇拝を禁止しており、神の絵は描きません。
 
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イスラム教の神の特徴

 

コーランはムハンマドを通した神の言葉

コーラン
イスラム教では「神(ユダヤ教のヤハウェ=アッラー)」が、ユダヤ教徒もキリスト教徒も神の教えを守っていない、として、
 
 
 
神(アッラー)が預言者ムハンマド(マホメット)に対して、最後の預言として神の言葉を授けます。
 
 
 
そのため、旧約聖書や新約聖書はいろんな人が書いた文書の寄せ集めになりますが、
 
 
 
コーランはすべて預言者ムハンマドが口にした、神(アッラー)の言葉になります。
 
 
 
ムハンマドの口にした言葉を側近が書きとめ、ムハンマドの死後数十年後に編集したものがコーランとなります。
 
 
 
つまり厳密にはムハンマドが書いたわけではありません。
 
 
 
 

イスラム教の神は99の名を持つ

コーラン
実はイスラム教の神様は、神学的には99の名を持つとされています。
 
 
 
わかりやすく言うと、コーランの中で神(アッラー)を「形容する言葉」が、そのまま「神の名前」ということになるようです。
 
 
 
少し例を挙げてみます。
 
 
 
これは「開扉(かいひ)の章」と言って、コーランの冒頭の、一番大事な部分になります。
 
 
「慈悲深く、慈愛あまねき、神(アッラー)の御名(みな)において」
 
 
この中の「慈悲深く」「慈愛あまねき」というアッラーを形容する言葉自体が、「神の名前」でもあるということになり、
 
 
 
コーランの中に99個の名前が登場すると言われています。
 
 
 
この99の名前は、すべて「美しさ」と「威厳」の2つの系統に別れ、そのいずれにも属さない最大の名前として「アッラー」の名前があるとされています。
 
 
 
「アッラー」はすべての神名を包含する、総合的な神名という位置づけになります。
 
 
 
つまりイスラム教の神様は、厳密には99 +1 で、合計100個の名前を持っているとされています。
 
 
 

ユダヤ教の逆でやたらと名前を唱えさせる

イスラム教の祈り
「アッラー」というのはアラビア語になりますが、ユダヤ教と大きく異なるのが、神の名を唱えることを頻繁に求められることです。
 
 
 
旧約聖書の十戒の「神の名をみだりに唱えてはいけない」の戒めは、コーランにはありません。
 
 
 
イスラム教徒は1日に何度もお祈りをしますが、お祈りのたびに神の名を唱えています(唱えることを求められています)
 
 
 
そして徹頭徹尾、神の賛美を求められるのがイスラム教の特徴です。
 
 
 
これはイスラム教においては、コーランの中で天国と地獄の概念が明確に描かれており、
 
 
 
神(コーラン)の教えに反すると地獄行きになってしまうという考えが、神の賛美へつながっていると言われています。
 
 
 
(ユダヤ教では天国と地獄の概念がはっきりしていません)
 
 
 
 

イスラム教が偶像崇拝NG

 
旧約聖書とは別にコーランに偶像崇拝禁止の規定があります。
 
 
 
イスラム教は神の名前を頻繁に唱えさせますが、偶像は完全にNGです。
 
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まとめ

アダムとエバ
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教では神の呼び名は異なりますが、同じ神様を指しています。
 
 
 
なぜこんなことになったのか?
 
 
 
一言で言ってしまえば、聖書の解釈が異なるから。
 
 
 
ユダヤ教に対する宗教改革としてキリスト教が生まれ、さらなる宗教改革としてイスラム教が生まれてきました。
 
 
 
その結果、同じ聖典を持ちながらも、同じ神様に複数の人格ができてしまいました。
 
 
 
 
 
 
コーランによると、ムハンマドの後にはもう預言者は現れないとされています。
 
 
 
ですが、本当にニーズがあって、多くの人を救おうと本気で行動する人が出てきたとき、
 
 
 
この神様に、また新たな人格が生まれることも、ありえるのかもしれません。
 
 
 
 
こちらで聖書やコーラン・古事記のあらすじや内容について解説しています。全体像をざっくり捉えてみたい方におすすめです。
 
 
 
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