ドイツ語の月と曜日の読み方・覚え方を発音のルールと由来と共にまとめてみた!

Guten Tag (グーテンターク・こんにちは)!
Wie geht es ihnen (ヴィーゲートエスイーネン・お元気ですか)?
 
 
ドイツ語の「」と「曜日」は、英語とスペルが近いのが特徴です。その理由は元となった語源が基本的に同じだから。英語もドイツ語もインドヨーロッパ語族の「ゲルマン語派」に含まれる言語で、「キリスト教圏」に属するのですが、この「ゲルマン語派」では「」に関しては主に「ローマ神話」の神様などを語源としているのに対し、「曜日」に関しては主に「北欧神話」の神様を語源としています。
 
そのため英語とドイツ語ではスペルレベルで非常に近く、中には完全に一致するものも存在します。
 
 
今回はこのドイツ語の「」と「曜日」の読み方・覚え方を、カタカナ読みと発音のルール・由来とともにまとめてみました。
 
なおドイツ語では「」は「Mond(ーント・moːnt)」(男性)と、「曜日」は「Wochentag(ヴォッヘンターク・vɔxəntaːk)」(男性)と言います。
 
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1月〜12月

ドイツ語の単語にはアクセントと呼ばれる箇所があり、アクセント箇所を「強く、長く」発音することになっています。多くの場合第一音節がアクセント箇所になりますが、例外も多く存在するためアクセント箇所にをつけておきました。また英語では「月」や「曜日」は大文字で書き始めることになっていますが、ドイツ語では「月」や「曜日」に関係なく名詞はすべて大文字で書き始めることになっています。
なおドイツ語の「」はすべて男性名詞になるため、頭に定冠詞の「der(デア)」を付けてください。ただし「〜月に」と言う場合は「im(イム)」(前置詞in(に)と定冠詞demの融合系)を付けることになっています。
 
独語のスペル(略字)
発音
英語のスペル
備考
1月
Januar(Jan.)
ヌアール(jánuaːr)
January
独語の「j」は英語の「y」で日本語の「ヤ行」。
2月
Februar(Febr.)
フェーブルアール(féːbruaːr)
February
独語の「r」は「有声口蓋垂摩擦音」「口蓋垂ふるえ音」などと呼ばれる、うがいをするように喉をかすれさせる特殊な音。仏語の「r」に近く、日本語では「ラ行」よりも「ハ行」に近い。
3月
März(März)
ルツ(mɛrts)
Match
「ä」は「エーウムラウト」。「アの口でエ」と発音する感じ。
4月
April(Apr.)
アプル(apríl)
April
4月(April)は英語とスペルが同じだが読み方が異なる。独語の方がローマ字読みに近い。
5月
Mai(Mai)
イ(mai)
May
3,5,6,7月は略字を使わない。
6月
Juni(Juni)
ーニ(júːni)
June
6月,7月は英語の最後の文字を「i」に変えるだけ。ただし独語では「j」を「ヤ行」で読むため結構発音が変わる。
7月
Juli(Juli)
ーリ(júːli)
July
8月
August(Aug.)
アオスト(aʊgʊst)
August
8月(August)英語とスペルが同じだが読み方が異なる。ローマ字読みに近いが、独語では「au」の綴りで「アオ」と発音する。
9月
September(Sep.)
ゼプンバー(zɛptɛmbər)
September
9月も英語とスペルが同じだが読み方が異なる。独語では「s」の後ろに母音が続くと「z(ズ)」と濁る。
10月
Oktober(Okt.)
オクーバー(ɔktóːbər)
October
10月は逆で英語と発音が近いがスペルが異なる。2番目の文字が英語は「c」で独語は「k」。なお発音記号の「o」は口の開きが小さい「オ」だが、「ɔ」は「o」よりも口の開きが大きい「オ」。
11月
November(Nov.)
ェンバー(novɛmbər)
November
11月は英語とスペルが同じで発音も近い。独語では語末の「er」は「アー」と発音する。なお発音記号の「ə」は本来脱力した口で発する曖昧母音で「ウに近いア」のような音だが、「r」が付いて母音化する場合に「ər」と斜体で表記することになっている。
12月
Dezember(Dez.)
ェンバー(detsɛmbər)
December
英語とは一字違い。独語の「z(ツェット)」は「ズ」ではなく「ts(ツェ)」の音。なお発音記号の「e」は口の開きが小さい「イに近いエ」であるのに対し、「ɛ」は口の開きが大きい「アに近いエ」を表す。
 
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月曜日〜日曜日

ドイツ語では「曜日」も全て男性名詞になるため、頭に定冠詞の「der(デア)」を付けることになります。ただし「〜曜日に」と言う場合は「am(アム)」(前置詞an(に)と定冠詞demの融合系)を付けることになっています。
※ドイツ語で日時を表す前置詞はざっくり次のように分類されます。
um(ウム)…時刻
am(アム)…日付、曜日
im(イム)…月、年
 
曜日
独語のスペル(略字)
発音
英語のスペル
備考
月曜日
Montag(Mo.)
ーンターク(móːntaːk)
Monday
英語では「day」が「日」を表すのに対し、独語では「tag」が「日」を表す。独語では水曜日以外はすべて「tag」で終わる。
火曜日
Dienstag(Di.)
ディーンスターク(díːnstaːk)
Tuesday
独語では「ie」の綴りで「イー」と発音。なお「b,d,g」の後に母音が続かない場合は、「ブ,ドゥ,グ」と濁音化せず「プ,トゥ,ク」と清音になる。だから「ク」と発音する。
水曜日
Mittwoch(Mi.)
ットヴォホ(mítvɔx)
Wednesday
水曜日だけは「tag」で終わらない。「Mitte」が「真ん中」で、「Woche」が「週」を意味する。つまり「週の真ん中」。なお独語の「w(ヴェー)」は「ウ」ではなく英語の「v(ヴ)」の音。
木曜日
Donnerstag(Do.)
ンナースターク(dɔnərstaːk)
Thursday
「s」の後に母音が続かない場合は濁らず「ス」と発音する。
金曜日
Freitag(Fr.)
イターク(fráitaːk)
Friday
独語では「ei」の綴りで「アイ」と発音する。「r」はうがいをするように喉をかすれさせる特殊な音で「ラ行」よりも「ハ行」に近い。
土曜日
Samstag(Sa.)
ムスターク(zámstaːk)
Saturday
独語では「s」の後に母音が続く場合は「z(ズ)」と濁り、母音が続かない場合は濁らず「s(ス)」と発音する。なお「Samstag」は南部で多い言い方で、北部では「Sonnabend(ンアーベント・zɔn’aːbənt)」が多い。
日曜日
Sonntag(So.)
ンターク(zɔntaːk)
Sunday
独語では「Sonne(ンネ)」で「太陽」を意味する。つまり「Sonntag」で「太陽の日」。
 
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月の由来と語源!

ドイツ語と英語の「月」は確かにスペルレベルで近いですよね。これはゲルマン語派では「月」の語源を主に「ギリシャ・ローマ神話」としているからなのですが、ここでは具体的にどういったものを語源としてるのかを見てみたいと思います。ここは興味ある方だけで結構です。
 
由来と語源
1月
ローマ神話の出入り口と扉の守護神「ヤーヌス」が語源。前後反対向きの二つの顔を持つ神で、入り口の神でもあるため年の始まりの1月の神様となったと言われるが、古代ローマの最初期においては年の始まりは1月ではなく3月だった。ギリシャ神話には登場しない神様。
2月
古代ローマにおいて毎年2月に行われた慰霊祭「フェブルアーリア」の主神で、死と純化の神とされる「フェブルウス」が語源。元々畑仕事のできない1月と2月は、「死の季節」として暦に数えられていなかった。
3月
ローマ神話における戦闘の神「マールス」が語源。ギリシャ神話では「アレス」で英語名は「マーズ」。最高神「ユピテル(ゼウス)」と6月の神「ユーノー(ヘーラー)」の子供で、4月の「ヴェヌス(アプロディーテー)」とは恋人。古代ローマの最初期においては、農業の始まる3月が1年の始まりで、1月2月は空白期間だった。
4月
ギリシャ神話の愛と美の女神「アプロディーテー(ヴェヌス)」が語源。クロノスが切り落とした天空神ウラヌスの男根が海に落ち、その時の泡から生まれた神様とされる。オリュンポスの神に招かれ「ゼウス」と「ヘーラー」の子「ヘパイストス」と結婚するが、彼の兄弟で3月の神「アレス(マールス)」と浮気をする
5月
ローマ神話の春と豊穣の女神「マイア」が語源。彼女に供物が捧げられた5月1日は、ヨーロッパにおけるメーデー(五月祭)の由来になっている。本来ギリシャ神話の「マイア」とは別の神様だが、後に混同された。
6月
ローマ神話の出産と結婚の女神「ユーノー」が語源。ギリシャ神話では「ヘーラー」で、英語名は「ジュノー」。最高神「ユピテル」とは姉弟であり夫婦だが、自由奔放な「ユピテル」の浮気に度々嫉妬の癇癪を起こす。英語名の「ジュノー」が「ジューンブライド(6月の花嫁)」の語源にもなっている。この6月までがギリシャ・ローマ神話の神様が由来となっている。
7月
7月と8月は古代ローマに実在した人物の名前が由来。古代ローマ最初期の暦では、1月2月が空白期間で3月を1年の始めとしていたため、元々7月はラテン語で5番目の月を意味する「Quintilis」と呼ばれていたが、古代ローマの政治家「ユリウス・カエサル」が自分の名前を付けたため、「Juliusユリウス」に変更され、これが7現在の月の語源となっている。
8月
元々3月を1年の始まりと考えていたため、今の8月はラテン語で6番目の月を意味する「Sextilis」と呼ばれていたが、こちらも初代ローマ皇帝「アウグストゥス」が自分の名前を付けたため「Augustusアウグストゥス」に変更されて今に至る。
9月
9月以降は古代ローマで採用された番号が、そのまま現在の由来となっている。ただし元々3月を第1の月と考えていたため、ラテン語で7番目の月を意味する「September」が9月に採用されており、これがそのまま英語やドイツ語にも採用された。
10月
10月はラテン語で8番目の月を意味する「October」が元々採用されており、英語ではそのまま採用され、ドイツ語では少しだけ変更された。
11月
11月はラテン語で9番目の月を意味する「November」が採用されており、英語とドイツ語ではそのまま取り入れられた。
12月
12月はラテン語で10番目の月を意味する「December」採用されており、英語ではそのまま取り入れられ、ドイツ語では少しだけ変更された。
 
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曜日の由来と語源!

「曜日」は「月」と比べると少し違った印象を受けたのではないでしょうか。実は概ね同じ語源を採用しているのですが、少し違うものも混ざっているのです。「曜日」では主に「北欧神話」を語源としているのですが、英語にはローマ神話の神様が混ざっていたり、独語にも北欧神話に関係ない言葉が混ざっていたりと、やや統一性に欠けるところもあります。少し見てみましょう。
 
曜日
由来と語源
月曜日
北欧神話の月の神「Mániマーニ」が語源。ムンディルファリという巨人族の男が、自分の二人の子供があまりにも美しいことから、娘には「ソール(太陽)」、息子には「マーニ(月)」と名付けたが、神々の怒りを買い、2人は太陽をひく馬車の馭者にさせられた。以来「ソール」は太陽の運行を司り、「マーニ」は月を運行と満ち欠けを司ることになった。英語も独語も月曜日はこの「マーニ」が語源。
火曜日
英語も独語も北欧神話の軍神「Tyr(テュール)」が語源。元々は天空を司る北欧神話の最高神だったが、後にオーディンにその座を奪われたと考えられている。ローマ神話の軍神「マールス」と同一視されている。
水曜日
水曜日の語源は英語とドイツ語で異なる。英語では北欧神話の戦争と死を司る最高神「Odinオーディン」を語源としているのに対し、独語ではドイツ語で真ん中を意味する「Mitte」と週を意味する「Woche」が語源。
木曜日
英語も独語も北欧神話の雷神「Thorトール」が語源。「オーディン」と同じアース神族の一員で北欧神話最強の戦神と言われる。ローマ神話の「ユピテル」と同一視された。
金曜日
英語も独語も北欧神話の美と豊穣の女神「Friggフリッグ」が語源。最高神「オーディン」の妻にして最高位の女神。そして優れた予言能力を持つ。ローマ神話の「ヴェヌス」と同一視された。
土曜日
土曜日の語源は英語と独語で異なる。土曜日だけは英語では北欧神話ではなく、ローマ神話の土星を表す神「サトゥルヌス(ギリシャ神話ではクロノス)」が語源。それに対し独語ではラテン語で安息日を意味する「Sabbatum」が語源。つまりキリスト教に由来する言葉。
日曜日
英語も独語も北欧神話の太陽の女神「Sólソール」が語源。月曜日で紹介した通り月の神「Mániマーニ」とは兄妹で、太陽の運行を司る。
 
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おわり

お疲れ様でした。
 
冷静に考えてみると不思議な話ですよね。
 
「ローマ・ギリシャ神話」も「北欧神話」も「キリスト教」も、それぞれ別の宇宙の始まりを起源とする別の宗教になります。
 
英語圏もドイツ語圏も大半の方はキリスト教徒になるのですが、これだけいろんな神様を身近に取り入れて違和感はないのでしょうか。
 
信仰と先祖から受け継いだアイデンティティの両立を図った、ということなになるのでしょうか。
 
 
ちなみにフランス語やスペイン語などが属するロマンス語派においては、「月」と「曜日」がどちらもローマ神話由来の神様となっており、特に「マールス」と「アプロディーテー」は「」と「曜日」の両方に登場することになります。
 
この2柱の神様は惑星としても地球のご近所さんでしたけど……仲もとってもよろしかったみたいですね(笑)。
 
 
ここまで読んでくださってありがとうございました!
 
それではお元気で。
 
 
 
 
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