帰れソレントへをイタリア語(ナポリ語)で歌ってみよう!【カタカナ歌詞と日本語和訳付き!】

帰れソレントへ(Torna a Surriento)」は1902年に作られた日本でも有名なカンツォーネ。ソレントの美しい海や風景を称え、自分を置いて去った愛する女性が戻ることを願った情熱的な歌です。なお「canzone(カンツォーネ)」は本来イタリア語で「歌」を表す言葉なのですが、一般的には19世紀後半から20世紀前半にかけてオペラ歌手によって歌われたイタリアのポピュラーソングを表し、中でも特にナポリ語で書かれたものを「ナポリ民謡」と呼ぶそうです。つまり正確にはこの曲は「ナポリ民謡」の「カンツォーネ」ということになりますね。
この「帰れソレントへ」に日本語和訳とカタカナ歌詞をつけてみました。歌の研究と解説です。
 
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まずは簡単な解説!

ここでは「帰れソレントへ」について簡単に解説しますが、お急ぎの方は飛ばしてもらって結構です。
 
 

「Torna a Surriento」の意味をちょっと解説!

この曲の正式なタイトルは「Torna a Surriento(るナ ア スッりント)」。イタリア語ではなくナポリ語です。tornaはイタリア語のtornare(帰る・戻る)の命令法2人称単数形tornaに相当すると思われます。そしてa (ア)が「に・へ」を意味する前置詞でSurriento(スッりエント)が「ソレント」を表すため、「帰れソレントへ」という意味になるのですね。
なおイタリア語版のタイトルは「Torna a Sorrento」(るナ ア ソッント)。日本では「ソレント」ですが、ナポリ語では「スッりント」、イタリア語では「ソッント」と発音することになっています。
 
 

作られた経緯!

実はこの歌その美しい描写と情熱的な内容とは裏腹に、ある政治的な意図を持って誕生したと言われています。
 
それが1902年9月にソレントを訪れたイタリア首相ザナルテッリと、下水道システムをはじめとする公共事業実行の約束を取り付けたいソレント市長グリエルモ・トラモンターノ。
 
市長は首相をもてなすにあたってナポリのデ・クルティス兄弟に楽曲制作を依頼し、この依頼のもとに作られたとされる曲が「帰れソレントへ」でした。
 
そして首相がソレントのホテルに滞在した際に披露され、この訪問をきっかけに首相の支援を受けソレントの街が発展したそうです。
 
要するに「町おこしソング」だったのですね。
 
 
 
ですが実際はもっと前に作られていたそうです。
 
デ・クルティス兄弟は兄ジャンバッティスタ(1860-1926)が作詞を、弟のエルネスト(1875-1937)が作曲を担当し、「忘れな草」「夜の声」など多くのカンツォーネを生み出しましたが、この「帰れソレントへ」については兄ジャンバッティスタが元恋人カルメーラ・マイオーネへの想いを歌に記したものとも言われています。
 
カルメーラさんというのはソレントの小作農の娘らしいのですが、彼女に恋をしたジャンバッティスタ兄さんは1890年に「カルメーラ」という曲を作って彼女に捧げ、さらに1892年に「Torna a Surriento(帰れソレントへ)」を書き上げて登録していたそうです(曲付けは弟で1894年)。
 
ただ正式に演奏されることはなく長い間お蔵入りになっていたようで、1902年の市長接待時にこれをアレンジして発表したようです
 
 
それにしても「カルメーラ」という曲まで作っていたとなると、彼女に相当熱を入れていたみたいですね。
 
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曲の内容をざっくり解説!

「帰れソレントへ」の歌詞の内容を要約すると概ね次の通り。
 
見てこの美しいソレントの海を、この庭を、そしてオレンジの花々を、心の中まで香りが染みわたるだろう。ここは奥深くに宝を秘めており、世界中を旅した人だってこのようなところは見たことがないだろう。
でも君は「さようなら!」と言って、私の心から離れていってしまう。私を置いて行かないで!ソレントへ帰ってくれ!
ソレントの海、風景、自然の美しさを称えながら、自分を置いてソレントを去っていった恋人へ「置いて行かないで!帰ってくれ!」と情熱的に懇願するちょっと切ない失恋の歌です。
 
 
要するにジャンバッティスタ兄さん、1892年には彼女に捨てられてしまっていたみたいですね……😅
 
 
かわいそうに。
 
 
でも名作を作って落とし前つけたのであれば、音楽家としては本望でしょう。
 
 
日本では93年のテレビドラマ「白鳥麗子でございます」に使われたりしたこともあって「セレブメロディ」のようなイメージも定着してしまっていますが、中身は「ソレントの賛美」と「失恋」の歌だったのですね。
 
 

「帰れソレントへ」を翻訳してみた!

「帰れソレントへ」はイタリア語ではなくナポリ語の歌です。ナポリ語というのは イタリア南部で話されている言葉で話者数は700万人ほど。イタリア語に非常に近くイタリア語の方言のような言葉なのですが、厳密には方言ではなくナポリ語という独立した言語だそうです。
 
僕はイタリア語が少しだけわかるのですが、ナポリ語は分かりません。正確に翻訳するには動詞の活用(誰のいつの行為なのかなどを表すもので直接法現在3人称単数形とか)などを確認する必要があるのですが、困ったことにナポリ語を直接日本語に訳す辞書や文法書が手に入らないのです。アマゾンでも見つからないのですよね。
 
そこで一旦対応するイタリア語の単語を推定して、動詞の活用などを確かめるという方法を取ることにしました。
 
 
実はこの間ナポリ語の「オーソレミオ」を翻訳してみたのですが、この曲に関しては日本語版のWikipediaにイタリア語版の歌詞があったので、これをナポリ語の歌詞に対応させて翻訳してみました。正直よくわからないところも多かったのですが。
 
今回の「帰れソレントへ」はイタリア語版の Wikipediaにイタリア語の歌詞が載っていたのでこちらを参考にしています。せっかくなのでこちらも歌えるようにしておきますね。
 
ただナポリ語がわからない上に僕の力不足のため正直自信がないです。いい加減な内容でごめんなさい。
 
 

おすすめ動画!

 
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おすすめはイケメンオペラ歌手・押川浩士先生の解説!
押川先生のオススメ順序はこちら
①歌詞を読む
②リズム読みをする
③音取りをする
 
※ナポリ語特有の読み方!
イタリア語というのはほぼローマ字読みで母音も日本語に近いのですが、押川先生によると次の点で発音がイタリア語と異なるそうです。
①「s」に子音がくっつくと「シュ」に近い音になるそうです。
例spira(スピーレ(イ語)→シュピーレ(ナ語))
②語末の母音が曖昧になるそうです。
例sentimento(センティメント(イ語)→センティメントゥ(ナ語))
ただこちらは具体的にどんな音になるのかよくわからなかったので、イタリア語発音でカタカナを表記しています。
 
またいきなりカタカナだけみて歌おうとすると、意味のわからないカタカナの羅列の暗記で終わってしまう可能性が高いです。それでも一応歌えるようにはなるのですが、歌っていて正直虚しいです。できるだけ単語の意味と発音のルールを分かった上で歌えるようにしてみてください。
 
 

「帰れソレントへ」ナポリ語歌詞+カタカナ歌詞+日本語和訳!

作詞:ジャンバッティスタ・デ・クルティス
作曲:エルネスト・デ・クルティス
 

1番前半

 
ヴィーデ オ ーレ クンテ ッロ !  シューラ ントゥ センティント
Vide ‘o mare quant’è bello,   spira tantu sentimento,
海を見て、なんて美しいのだろう 多くの感情が表れてくる
 
ンメ トゥ ア  ティーネ ンテ  カ シェート オ ファイエ スン
Comme tu a chi tiene mente,   Ca scetato ‘o faje sunnà.
君の夢を覚まさせる 君が心に想う人のように
 
るダ グ ストゥ チャるディーノ  スィンテ スィ スティ シューレ アンチェ
Guarda gua’ chistu ciardino;   Siente, sie’ sti sciure arance:
見て、この庭を 感じて、このオレンジの花を
 
ヌ プるーモ アックッスィ フィーノ  ディント オ ーレ セ ネ ヴァ
Nu prufumo accussí fino   ※Dinto ‘o core se ne va
そんな上質な香りが 心の中に染みわたる…
 
 

単語の意味とプチ解説①

Vide (ヴィーデ)「見て」※伊語のvedere(見る)の命令法2人称単数vedi?
‘o (オ)「男性単数定冠詞」※英語のtheで伊語ではil。
mare (ーレ)「海(男性名詞)」
quant’è (クンテ)「いくつの・なんと」※quanto(なんと)+è(essereです・あるの3人称単数)の短縮。
bello (ッロ)「美しい・綺麗な」
spira (シューラ)「吹く・表れる」spirareの直説法現在形3人称単数形。※伊語の発音では「スピーラ」ですが、ナポリ語では「シュピーラ」と発音するそうです。
tantu (ントゥ)「たくさんの」※イタリア語では「tanto」。
sentimento (センティント(ゥ))「気持ち・感情(男性)」※イタリア語とスペルは同じ。伊語の発音では「センティメント」ですが、ナ語では「センティメントゥ」と発音するそうです。ただよくわからないのでイタリア語発音でカタカナを書いています。
 
Comme (ンメ(ム))※伊語のcome(コーメ・〜のように)。
tu (トゥ)「君は」
a (ア)「〜に・へ」
chi ()「誰・〜である人」疑問詞または人を表す関係代名詞。先行詞を含んでおり、主語や補語になります。ただちょっと正しい解釈がわからないです。ごめんね。
tiene(ティーネ(ヌ))「(君が)持つ」※tenere(テネーレ持つ)の2人称単数形。
mente (ンテ(トゥ))「頭脳・精神・知識・記憶(女性)」
Ca (カ)※伊語のche(ケ)に相当するようです。cheには接続詞「ということを・するように・だから」の意味もありますが、ここでは関係代名詞「〜であるところの・それは」?なおcheの先行詞は人でも物でもよく、関係節において主語・直接目的語・補語として働くことができます。
scetato (シェート)※伊語のscuotere(スクオーテレ・揺する・目を覚まさせる)の直説法現在1人称単数形scuoto?または伊語のsvegliare(スヴェッリャーレ・目覚めさせる・起こす)の1人称単数sveglio?
‘o (オ)「定冠詞男性単数」※伊語のil
faje (ファイエ)「する・作る」※fare(する・作る)の2人称単数形fai。
sunnà (スン)※伊語のsognare(ソンニャーレ・〜の夢を見る)の原形?※語末にアクセントがあるときはアクセント記号を置くことになっています。
※この行はちょっと自信ないです。
 
Guarda (グるダ)「(君が)見て」※guardare(見る)の命令法2人称単数。
gua’ (グ)「(君が)見て」※guardaの省略だそうです。
chistu (ストゥ)※伊語のquesto(この・これ)らしい。
ciardino (チャルディーノ(ヌ))※伊語のgiardino(ジャルディーノ)「庭(男性)」。※ナポリ語は語尾が曖昧になるそうです。
Siente (スィンテ)「(君が)感じて」?※伊語のsentire(センティーレ・感じる)の命令法2人称単数形senti?
sie’ (スィ)「(君が)感じて」?※たぶんSienteの省略。
sti (スティ)「これらの」※伊語のquesti(このquestoの複数形)の省略形。
sciure(シューレ)※ナポリ語のscióreやciurがイタリア語のfiore(フィオーレ・花(男性))を意味するそうです。少しスペルが違いますけどたぶん「花」です。
arance (アンチェ)「オレンジ(女性)」※arancia(オレンジ)の複数形。
 
Nu (ヌ)「ある・1つの」※不定冠詞男性(英語のa・伊語のun)
prufumo (プるーモ(ム))※伊語のprofumo「香り(男性)」。
accussí (アックッスィ)※伊語のcosì(コズィ・このような・とても・同様に)に相当するみたいです。
fino (フィーノ(ヌ))「鋭利な・上質な・純粋な」
Dinto (ディント)※伊語のdentro(デントロ・〜の中に)。
‘o (オ)「定冠詞男性単数」
core (ーレ)※cuore(クオーレ・心臓・心(男性))の俗語・詩語みたいです。
se (セ)「3人称単数の人称代名詞」
ne (ネ)「代名小詞と呼ばれるもの」
va (ヴァ)「行く・到達する」※andare(アンダーレ・行く・到達する・届く)の3人称単数形。
se ne vaで「到達しきる・染みわたる」※動詞の前にse ne を置くのは3人称単数形の代名動詞の表現。自動詞としての意味を強調するもので人称代名詞としての意味はないです。
 
イタリア語の文法をちょっと解説!
イタリア語の文法を少しだけ説明します。英語の動詞の現在形は3人称単数現在の時にsがつくという変化(例I have→He has)しか起こりませんが、イタリア語では主語に応じて6つの形に変化します。例えば歌詞に登場する「tenere(持つ)」「fare(する)」は次の通りに活用することになっています。
〈イタリア語の動詞の活用〉
人称代名詞
tenere
fare
io
tengo(テンゴ)
faccio(ファッチョ)
tu
tieni(ティエーニ)
fai(ファーイ)
lui
tiene(ティエーネ)
fa(ファ)
私達
noi
teniamo
facciamo
君達
voi
tenete
fate
彼ら
loro
tengono
fanno
この動詞の活用を見れば誰の行為かが分かるため、イタリア語では特に強調する場合を除主いて語を省略することが多いです。実際歌詞の中でも動詞の前にこれらの人称代名詞をほとんど置いていないですよね。これを知っていると歌詞が理解しやすいです。
しかしナポリ語の動詞は活用が少し異なるようです。調べてみたところ次のように活用することになっていました。
 
〈ナポリ語の動詞の活用〉
人称代名詞
téne,tènere(tenere)
fà(fare)
io
tengo(テンゴ)
faccio(ファッチョ)
tu
tiéne(ティエーネ)
faje(ファイエ)
isso
tène(テーネ)
fa(ファ)
私達
nuje
teniammo
facimmo
君達
vuje
tenite
facite
彼ら
isse
tèneno
fanno
※tené,fàは不規則動詞です。
両者を比較してみると、同じところもありますが、異なるところもあります。特に気をつけたいのがtenere。伊語では2人称単数形がtieni「(君が)持つ」で3人称単数形がtiene「(彼が)持つ」であるのに対し、ナ語では2人称単数形がtieneになっています。紛らわしいので注意してください。
 
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1番後半

 
エ トゥ ディーチェ ーオ るト アッディーオ !  タッルンーネ ダ ストゥ ーレ…
E tu dice: “Io parto, addio!”   T’alluntane da stu core…
そして君は「私は行く、さようなら!」と言って 私の心から離れていってしまう…
 
ダ スタ ッら デッランーレ…  ティーネ オ ーレ エ ン トゥる
Da sta terra dell’ammore…   Tiene ‘o core ‘e  nun turnà?
この愛の地から… 帰らないつもりなのか?
 
マ ン  ラッ  ン るメ ストゥ トゥるミント !
Ma nun me lassà,   Nun darme stu turmiento!
でも私を置いて行かないで 私に苦しみを与えないで!
 
るナ ア スッりント  ファンメ カン !
Torna a Surriento,   Famme campà!
帰れ、ソレントへ 私を生きさせてくれ!
 
 

単語の意味とプチ解説②

E (エ)「そして・と・それから・ところが」
tu (トゥ)「君は」
dice (ディーチェ)「言う」※伊語のdire(ディーレ・言う)の2人称単数形dici?伊語では3人称単数形がdice。
Io(ーオ)「私は」
parto (るト)「出発する・離れる」※伊語のpartire(出発する・離れる)の1人称単数形parto。
addio (アッディーオ)「さようなら」※決定的な別れに使う言葉だそうです。
T’alluntane (タッルンーネ(ヌ))「君を遠ざける」※ti(君を・再帰代名詞) + alluntanare(遠ざける) ※伊語のallontanare(アッロンタナーレ・遠ざける・離す)の2人称単数形allontani?再帰代名詞(ti)+動詞(alluntane)で「自分自身を〜する」といった意味合いの再帰動詞として働きます。
da (ダ)「〜から・で」
stu (ストゥ)「この・これ」※questo(この・これ)の省略で伊語ではsto。
core (ーレ)「心臓・心(男性)」
 
Da (ダ)「〜から・で」
sta (スタ)「この」※伊語のquesta(questo・この・これの女性単数形)の省略。イタリア語の形容詞は修飾する名詞の性と数によって名詞と同じように形が変わります。男性単数がoで終わる場合、男性複数はi(questi)、女性単数はa(questa)、女性複数はe(queste)、と語尾が変化します(名詞の語尾も同じように変化します)。ただナポリ語は少しルールが違うみたいですね。
※staではなくla(定冠詞)を使う歌詞もあるそうですが、意味合いとしてはほぼ同じです。
terra (ッら)「地球・大地(女性)」
dell’ (デル)「〜の」※di(〜の・のために)+l’(定冠詞単数の母音前の形)の結合形
ammore (アンーレ(ル))「愛・愛する人(男性)」※l’(男性定冠詞)+ammore(愛) ※伊語ではamore(アモーレ)ですがamoreとなっている歌詞もあるみたいです。
tiene (ティーネ(ヌ))「持つ」※伊語のtenere(テネーレ・持つ)の2人称単数形tieni。伊語では直説法現在2人称単数形がtieniで3人称単数形がtiene。
‘o (オ)「定冠詞男性単数」
core (ーレ)「心(男性)」
※Tiene ‘o coreで「~するつもりである」
‘e (エ)伊語の定冠詞複数形かdi(の)?
nun (ン)※伊語のnon(ノン・〜ではない)らしいです。
turnà (トゥるナ)「帰る・戻る」※伊語のtornare(トルナーレ・帰る・戻る)の原形tornare?伊語のturnare(トゥルナーレ・振り向く)かもしれないです。ちょっと自信ないです。
 
Ma (マ)「だが・しかし」
nun (ン)「〜ではない」
me ()「私に」
lassà (ッサ)「置いてくる・別れる」?※伊語のlasciare(ラッシャーレ・置いてくる・別れる・のままにする・残す)の原形?
nun (ン)「〜ではない」
darme (るメ)「私に与えて」?※dare(与える)+me(私に) ※伊語のdare(ダーレ・与える)の原形。
stu (ストゥ)「この」
turmiento (トゥるミント)※伊語のtormento(トるメント・苦痛・苦悩)だと思います。
 
Torna (るナ)「帰れ」※伊語のtornare(トルナーレ・帰る・戻る)の命令法2人称単数torna?
a (ア)「に・へ」
Surriento (スッりント)「ソレント」※伊語ではsorrento(ソッれント)。
Famme (ファンメ)「私にさせて」※伊語のfa(fareする・させるの命令法2人称単数)+me(私に)
campà (カン)「生きる」?※伊語のcampare(カンパーレ・生き延びる・養う)の原形?
ここもちょっとわからないです。
 
イタリア語の発音は基本ローマ字読み!
あくまでイタリア語の話ですが、イタリア語の母音字は「i,e,a,o,u」の5つです。正確にはくちの開きの小さい「エe(e)」と「オo(o)」、口の開きの大きい「エè(ɛ)」と「オò(ɔ)」があるため、母音は全部で7つ存在します。例えば1番1行目のquant’èの「è(です)」は口の開きの大きい「エ(ɛ)」であるのに対し、1番後半出だしの「e(そして)」は口の開きの小さい「エ(e)」で発音します。ただイタリアでも明確に区別されていないそうなので、あまり意識する必要はないと思います。要するに日本語の「アイウエオ」とほとんど同じです(正確にはuは日本語のウよりも口を丸くすぼませる)。
また英語のように「a」の発音が「æ」「ei」「ə」「ɪ」などと変わるようなことはありません。「a」は「ア」としか発音しません。他の母音も同じです。ですのでイタリア語はほぼローマ字読みでOKです。ただナポリ語はよくわかりません。調べた限りではイタリア語と母音が異なるとは書いてありませんでした。
 
アクセントに注意!
あくまでイタリア語の発音のルール なのですが、イタリア語の単語にはアクセントがあります。多くの場合後ろから2番目の母音に置かれますが、絶対ではありません。特に単語末にアクセントが置かれる時(例accussí・アックッスィ・このような)は必ずアクセント記号をつけることになっています。ちなみにイタリア語のアクセント記号は上で紹介した「è,ò」以外に「í,é,á,ó,ú」の5つがありますが、これらはアクセント箇所であることを表します。
なおイタリア語のアクセントは原則的には「強く長く」です(例・mare・ーレ・海)(例・Vide・ヴィーデ・見て)。ただし2重母音や後ろに子音が2つ続く場合、そして単語末のアクセントは「強く」のみで発音することになっています(例・Torna・るナ・帰れ)(例・Guarda・グるダ)。アクセント箇所を「太字」にしておきましたので意識して歌ってみてください。
 
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2番前半

 
ヴィーデ オ ーレ デ スッりント  ケ テーロ ーネ ンンノ
Vide ‘o mare de Surriento,   che tesoro tene nfunno:
見て、ソレントの海を そこは奥深くに宝を秘めている
 
  ジート トゥット オ ンノ  ン  ヴィスト ンマ ッ
chi ha girato tutto ‘o munno   nun l’ha visto comm’a ccà.
世界中を巡った人も ここのような場所を見たことがなかった
 
るダ アットゥるノ スティ スィーネ  カ  グアるーノ ンカンーテ
Guarda attuorno sti Sirene,   ca te guardano ‘ncantate,
周りを見て セイレーン達が君を魅惑的に見つめている
 
エ  ヴォンノ ントゥ ーネ…   ヴッセロ ヴァ
e te vonno tantu bene…   Te vulessero vasà.
そして彼女(セイレーン)たちは君にとても君をとても愛していて… 君にキスしたかったのだろう
 
 

単語の意味とプチ解説③

Vide (ヴィーデ)「見て」伊語のvedere(見る)の命令法2人称単数vedi?
‘o (オ)「男性単数定冠詞」※英語のtheで伊語ではil。
mare (ーレ)「海(男性名詞)」
de (デ)「の」※伊語のdi(ディ・〜の)に相当するそうです。
Surriento (スッりント)「ソレント」
che (ケ)「〜であるところの・それは」※ここではソレントの海を先行詞とする関係代名詞。
tesoro (テーロ)「宝(男性)」
tene (ーネ)「持つ」※伊語のtenere(テネーレ・持つ)の三人称単数形tiene。主語はソレントの海。
nfunno (ンンノ)※伊語のprofondo(プロフォンド・深い・低い)、またはin(イン・〜の中に・に・で)+fondo(フォンド・底・奥)?
 
chi ()「〜である人」関係代名詞
ha ()※avere(アヴェーレ・持つ)の3人称単数形だがここでは助動詞。※avere+過去分詞で、過去に完了した動作や状況・過去の経験を表します(近過去)。※なお伊語では「h」はどんな場合も発音しません。
girato (ジート)「回った・巡った」※伊語のgirare(ジラーレ・回る・巡る)の過去分詞girato。※ha giratoで巡った。
tutto (トゥット)「すべての・全部」※伊語もtutto。
‘o (オ)「定冠詞男性単数」
munno  (ンノ)「世界・世間(男性)」※伊語ではmondo(モンド・世界・世間)。
nun (ン)「〜ではない」
l’ha (ラ)※lo(それを)+ha(avereの3人称単数形)。avere+過去分詞で過去に完了した行為や状況・経験を表す近過去。
visto (ヴィスト)「見た」※伊語のvedere(ヴェデーレ・見る)の過去分詞visto。
※ha vistoで「見た」。
comm’a (ンマ)※comme(コンメ・〜のように・のような)+a(ア・に・へ)?伊語ではcome(コーメ・〜のように・のような)。
ccà (ッカ)※伊語のquaやqui(ク・ク・ここに・ここで・これ)を表すそうです。
 
Guarda (グるダ)「見て」※guardare(見る)の命令法2人称単数。ここがVide (ヴィーデ)「見て」になっている歌詞もあるみたいです。
attuorno (アットゥるノ)※伊語のattorno(アットルノ・付近に・周りに)。
sti (スティ)「これらの」
Sirene (スィーネ)「セイレーン達(女性)」※sirena(スィレーナ・セイレーン)の複数形。美声で船乗りを誘惑し難波させたとされるギリシャ神話に登場する半人半鳥の妖精。人魚を表すこともあるらしいです。伊語の発音ではシレネでもセレネでもなくスィレーネ。
Ca (カ)※伊語のche(ケ)に相当。cheには様々な役割がありますが、ここではSireneを先行詞とする関係代名詞「〜であるところの・それは」?
te ()「君に」
guardano (グアるーノ)「(彼女たちは)見る」※伊語のguardareの3人称複数形guardano(グアるダーノ・見る)。主語はセイレーン達。
‘ncantate (ンカンーテ)※伊語のincantato(インカンタート・並外れて美しい・魔法にかかった)の女性複数形incantate?
 
e (エ)「そして」
te ()「君に」
vonno (ヴォンノ)「欲しい・したい」※伊語のvolere(ヴォレーレ・欲しい・したい・必要だ)の3人称複数形vogliono。
tantu (ントゥ)「たくさんの」
bene (ーネ)「うまく・よく・とても」
te ()「君に」
vulessero (ヴッセロ)「〜したかったのだろう」※伊語のvolereの接続法半過去volessero(ヴォレッセロ・〜したかったのだろう)?直接法が事実を客観的に述べる表現であるのに対して、接続法は想像や希望などを主観的に述べる表現。また半過去は継続中の過去の状態・習慣的・状況などを表します。
vasà (ヴァ)「〜にキスをする」?※伊語のbaciare(〜にキスをする)の原形?
 
「r(エッレ)」の発音に注意!
イタリア語の「r」は日本語の「ラ行(歯茎弾き音)」とも英語の「r(歯茎接近音)」とも異なり、基本的には「巻き舌のr」で発音することになっています。
正確には「歯茎震え音(しけいふるえおと)」と言いますが、これも少し条件があって語頭の「r」や前後のいずれかに子音が来る場合は「巻き舌」で発音するのに対し、前後を母音に挟まれた時は通常巻かないとされています。
例えばTorna(るナ・帰れ)Surriento(スッりント・ソレント)は前後のいずれかに子音があるため 「巻き舌で発音するのに対し」、mare (ーレ)「海」は母音に挟まれているため巻かずに通常の「ラ行」でいいようです。「巻き舌のr」を「ひらがなのら行」で記載しています。なおスペイン語の巻き舌は結構激しく巻きすが、イタリア語は一般的に激しく巻きません。2回ほど「るるっ」と巻けば十分だと思います。
それから「l(エッレ)」に関しては英語と同じで、舌先を上の前歯の裏側に付けたまま発音する「歯茎側面接近音(そくめんせっきんおん)」です。
 
日本語でも歌えます!
「帰れソレントへ」は日本語のカバー曲が複数作られているため日本語で歌うことができます。せっかくなのでこれらの日本語版を比較してどの歌詞が一番原曲に近いのかを検証してみました。
 
空耳版が面白かった件!
この「帰れソレントへ」について色々調べていたらYouTubeで空耳版を発見しました。歌詞を吟味してみるとこれがまた面白いのですよ😁。ぜひ一度見ておいてほしいです。
 
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2番後半(1番と同じ)

 
エ トゥ ディーチェ ーオ るト アッディーオ !  タッルンーネ ダ ストゥ ーレ…
E tu dice: “Io parto, addio!”   T’alluntane da stu core…
そして君は「私は行く、さようなら!」と言って 私の心から君を遠ざけてしまう…
 
ダ スタ ッら デッランーレ…  ティーネ オ ーレ エ ン トゥる
Da sta terra dell’ammore…   Tiene ‘o core ‘e  nun turnà?
この愛の地から… 帰らないつもりなのか?
 
マ ン  ラッ  ン るメ ストゥ トゥるミント !
Ma nun me lassà,   Nun darme stu turmiento!
でも私を置いて行かないで 私に苦しみを与えないで!
 
るナ ア スッりント  ファンメ カン !
Torna a Surriento,   Famme campà!
帰れ、ソレントへ 私を生きさせてくれ!
 
 

プチ解説④

イタリア語とナポリ語の活用の違い!
イタリア語の動詞の直接法現在の活用は動詞の語尾によって大きく3つに分かれます。ただし例外もあります。
語尾が①-are②-ire③–ere
①-are(tornare・帰る)
②-ere(vedere・見る)
③-ire(sentire・感じる)
io私
-o(torno)
-o(vedo)
-o(sento)
tu君
-i(torni)
-i(vedi)
-i(senti)
lui彼
-a(torna)
-e(vede)
-e(sente)
noi私達
-iamo(torniamo)
-iamo(vediamo)
-iamo(sentiamo)
voi君達
-ate(tornate)
-ete(vedete)
-ite(sentite)
loro彼ら
-ano(tornano)
-ono(vedono)
-ono(sentono)
※fareやdareは不規則変化です。
これに対しナポリ語の直接法現在の規則変化には大きく2通りあるそうです。イタリア語版のWikipediaによると語尾によって次のように分かれることになっていした。例外もあるみたいですけど。
語尾が①-à②-é,-ì,-ere
①-à(parlà・話す)
②-é,-ì,-ere(sentì・sentire・感じる)
io
–o(parlo)
–o(senco)
tu
–e(parle)
–e(siente)
isso/essa
–a(parle)
–e(sente)
nuje
–ammo(parlammo)
–immo(sentimmo)
vuje
–ate(parlate)
–ite(sentite)
isse/lloro
–ano(parleno)
–eno(senteno)
なんか微妙に違ってるね😅。ごめんね僕もよくわかってないです。とにかくイタリア語の活用に非常に近いけど若干異なるみたい、と思っておいてください。
 
不定冠詞(英語のa)のルールをちょっと解説!
イタリア語で使う 不定冠詞は上の表記の通りですが、ナポリ語では下の表になるそうです。
〈イタリア語の不定冠詞〉
子音の前
母音の前
男性名詞
un
un
女性名詞
una
un’
〈ナポリ語の不定冠詞〉
 
子音の前
母音の前
男性名詞
nu
n’
女性名詞
na
n’
 
定冠詞(英語のthe)のルールをちょっと解説!
イタリア語で使う定冠詞は上の表の通りですが、ナポリ語では下の表になるそうです。
〈イタリア語の定冠詞〉
単数
複数
男性名詞
il
i
女性名詞
la
le
〈ナポリ語の定冠詞〉
単数
複数
男性名詞
o
’e
女性名詞
’a
e
ただし母音の前では「l’またはll’ 」になるそうです。
 
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個人的な感想!

冒頭でお話しした通りこの歌は、ソレント市長が1902年の首相接待にあたってデ・クルティス兄弟に曲の製作を依頼し、その依頼に基づいて作られたとされているのですが、その際1892年に兄ジャンバッティスタが元恋人カルメーラさんへの想いを綴ったらしい「Torna a Surriento」を急遽アレンジして仕上げたと言われています。
 
「帰れソレントへ」は、ソレントの海や風景の美しさを称えながら、こんなに素晴らしい場所なのに私を置いてソレントを去らないで!ソレントへ帰って!と愛しい人に懇願する内容なのですが、どうやらそこにはジャンバッティスタ兄さんのカルメーラさんへの想いが盛り込まれているみたいですね。
 
 
 
ただちょっと気になったのが2番の歌詞に突然登場するセイレーン
 
セイレーンというのはギリシャ神話に登場する上半身が女性で下半身が鳥の姿をした妖精(怪物)のこと。その魅力的な歌声に惑わされた船乗りはセイレーンの島に上陸して死んだとされ、神話では英雄イアソンやオデュッセウスを苦しめたエピソードもあります。
 
そんな恐ろしいセイレーン達がなぜ君に見とれてキスをしたがっていたのだろう?
 
 
……と思って調べてみたところ、
 
 
神話によるとどうやらナポリ湾の隣に浮かぶイスキア島やカプリ島あたりがこのセイレーン達の島だったようです。つまりセイレーンというのはナポリ・ソレントの「ご当地妖精」だったということになるみたいです。
 

 
「死を呼び込む恐ろしいセイレーン達たちでさえ君が好きでにここ(ナポリ・ソレント)にいて欲しいのだよ……お願いだから私を置いて行かないで……ソレントへ帰っておくれ……」
 
こういう意味合いだったのですね。
 
 
 
……でもなにか不自然な気がするのですよ。フラれた男が「ほら地元のセイレーンたちが君にキスしたがってるんだよ。だから帰ってきて!」とか言いますかね🤔?
 
自分がフラれておいて「オレ地元で君のことが大好きで君にキスしたいヤツ知ってんだよ😏だから帰ってきて😭」
 
……って文脈おかしいでしょ😅
 
 
 
長年お蔵入りだったこの曲を首相接待に際してアレンジした、というのはもしかしてこの部分なのかなぁ?
 
なんか町おこしのために地元キャラを無理やりねじ込んだ感じしません……?😅
 
 
そんなことを僕は思いました。
 
あなたはどう思われましたか?
 
 
 
それでは元気で^^
 
 
ハク
 
 
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