【10分で孫子の兵法】名言・要約・解説・内容・あらすじ【孫武】

孫子(そんし)」は、紀元前515年頃、中国春秋時代の兵法家・孫武(そんぶ)によって書かれた書物。中国で最も古く、最も優れた兵法書であり、現在の戦争分析をすることも、ビジネスやスポーツにも応用することもできる最強の兵法書と言われています。ナポレオンはこの本を座右の書とし、第1次世界大戦で敗北したドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は、戦う前にこの本を読みたかったと嘆いたそうです
この「孫子の兵法書」について、内容と要約・名言と解説を書いてみました。

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まずはざっくりとした内容と解説!

中国を代表する兵書に「七書」と呼ばれるものがあります。「孫子」「呉氏(ごし)」「司馬法(しばほう)」「尉繚子(うつりょうし)」「李衛公問対(りえいこうもんたい)」「黄石公三略」「六韜(りくとう)」の7つになりますが、中でも「孫子」が最も古く、かつ内容も最も優れており、中国歴代の兵書の総元締めという位置づけになっています。

孫子の兵法書」は十三編からなる論理的で整然とした構成となっていますが、最初からこの形ではなかったようです。原型となるものが記されたのは紀元前515年頃で、記したのは中国春秋時代の兵法家の孫武(そんぶ)。呉に仕えて楚を破った人物で、三国志で有名な孫堅(そんけん)・孫権(そんけん)のご先祖にあたるとされています。その後加筆・修正が繰り返され、紀元200年頃三国志の曹操(そうそう)の編纂により、現在の十三編の形になりました。

十三編の内容を簡単に表すと概ね次の通り。

(最初の①②③が全体の総論になります。)
①計篇 戦争の前によく熟慮しろ!全編の序論に当たる(兵は詭道なり)。
②作戦篇 戦争前の準備、やるなら短期決戦!
③謀攻篇 謀略による攻撃、戦わずして勝て!(彼を知り己を知れば百戦して危うからず)

(④⑤⑥は戦争の一般的な構造規定を述べた戦術原論といったもの。)
④形篇 攻守の態勢について。
⑤勢篇 その態勢から発動する軍の勢いについて。
⑥虚実篇 それを受けての戦争の主導権の把握について。

(以下⑦〜⑬は各論で、実践的で有益な戦術について。)
⑦軍争篇 やるなら短期決戦、風林火山
⑧九変篇 敵を追い詰めすぎないなどの攻撃の原則論。
⑨行軍篇 敵情をよく探索し、油断を戒める。
⑩地形篇 状況が有利な時は自己責任で意思決定せよ。
⑪九地篇 9種類の地形について説明し、それに応じた戦術を述べる。
⑫火攻篇 火攻めについて述べる。
⑬用間篇 情報収集(スパイ)が最重要任務。
(※全部は書けませんので、ここでは重要度の高い①②③⑦⑬の一部だけをご紹介します。)

このように「孫子の兵法書」は、非常に整った構成となっています。ちなみに同時代の中国の古典の「論語」や「老師」などは、ほぼ言葉を羅列しているだけで構成に統一性がありません。全文で漢字五千字程とボリュームはそれほど多くはありませんが、全体を通しての特色といったものもあり、おおむね次のような傾向があります。

①決して好戦的な内容ではない(戦争は最後の手段)。
②現実主義で合理的。
③主導権を把握することを重視する。
④個人ではなく集団で臨機応変に戦うことを理想とする。

ここからは①計篇から順番に、名言や重要な点をピックアップしてご紹介していきます。

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名言の解説と要約!

①計篇 戦争の前によく熟慮しろ!全編の序論に当たる。

①計篇一 兵とは国の大事なり

孫子曰(いわ)く、兵(へい)とは国の大事なり。
死生の地、存亡の道、察せざるべからずなり。

孫子は言う。戦争とは国の一大事である。国民の生死が決まり、国家の存亡が分かれる道であるから、よくよく熟慮しなければならない。

これは「孫子」冒頭の有名な名言。ここで言う「兵(へい)」とは、戦争を意味します。冒頭で述べる「孫子」のとても重要な思想が「戦争する前によく考えろ!軽々しく始めると取り返しがつかないことになるぞ!」と安易な開戦を戒める非好戦的な思想
戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのがとにかく難しいと言います。ナチスがポーランドに侵攻して始めた第2次世界対戦は、世界で5000万人が亡くなり、枢軸国が壊滅するまで終わらせることは出来ませんでした。戦勝国となったアメリカも、ベトナム戦争では終わりの見えない泥沼に引きずり込まれ、国力を消耗しました。戦争は最後の手段だ。本当に他に道がないのかよく考えろ。と「孫子」は訴えています。

 

①計篇一 五事七計

故にこれを計るに五事を以ってし、これを比ぶるに(七)計を以ってして、その情を求む。

それゆえ五つの事柄ではかり考え、(七つの)目算で比べ合わせて、その時の実情を求めるのである。

これは上の冒頭の言葉の続きの言葉。つまり敵と味方について五つの事柄、七つの目算を比較・検討することによって、勝敗は自ずと見えてくる。ということを言っています。その比較すべき五事と七計はこちら。

五事
①道 為政者と民の心を一つにする者。
②天 寒暑などの自然条件や時制。
③地 自国からの距離の遠近。地形の有利不利。
④将 才智、誠信、勇敢、などの将軍の能力。
⑤法 軍隊や官職の規則。
これら五事をより深く理解している者が勝つことができる。

七計
①主、いずれか有道なる 君主はどちらが人身を掌握しているか。
②将、いずれか有能なる 将軍はどちらが有能なのか。
③天地、いずれか得たる 近隣の情勢や自然界のめぐり、地形はどちらが有利か。
④法令、いずれか行なわる 法令はどちらが厳守されているか。
⑤兵衆、いずれか強き 軍隊はどちらが強いのか。
⑥士卒、いずれか練(なら)いたる 兵士はどちらがよく訓練されているか。
⑦賞罰、いずれか明らかなる 賞罰はどちらが公正に行われているか。
これら七計を比べて情報を分析する。

この五事と七計を比較・検討することによって、勝敗は自ずと見えてくる。戦争は国家の一大事であるから、この五事・七計で熟慮した上で決めるように、ということを言っています。要するに戦争の勝敗を決するのは、将軍の能力や軍隊の強さ・練度だけではない。法令や賞罰の厳正さ、時勢や地形などあらゆることを比較検討する必要がある、と主張しています。

中でも特に興味深いのが、七計の①「君主はどちらが人心を掌握しているか」。現在で言うと「大統領などの支持率」ということになるのでしょうか。現代の戦争においては兵器の質や兵力・練度・将軍の能力(具体的な作戦立案能力・指揮能力など)などが重視され、君主(指導者)の能力(人心掌握力)が語られることはあまりありませんが、とても重要であると感じます。
例えば日露戦争を見てみると、兵器の質・兵力・経済力ともにロシアの方が圧倒的に上でした。しかしいざ戦ってみると、ロシアの上級将校たちはちぐはぐな行動が多く、旅順要塞に至ってはまだ戦える戦力がありながら降伏してしまいます。これに対して日本は、上級将校から下級将校・末端の兵士たち・そして一般国民までもが心を一つに団結します。そして一丸となって戦い抜いた日本は、圧倒的不利を覆してギリギリの勝利をもぎ取りました。もちろん勝因は複合的なもので一概には言えませんが、少なくとも人心掌握力についてはニコライ二世よりも明治天皇の方が優れており、それが勝敗を分けた決定的な要因の一つになったと言えるのかもしれません。
またロシアとウクライナの戦争においても、正義のない戦争を始めたプーチンさんとキエフに残って徹底抗戦を唱えたゼレンスキーさんの人心掌握力(支持率)の差が、両軍の士気に決定的な影響を与えたようです。
君主の人心掌握力」は、現在においても戦争の勝敗を決する決定的な要因の一つであることを痛感させられます。孫武は2500年前からその重要性に気付いていたのですね。

 

①計篇三 兵は詭道なり

兵(へい)は詭道(きどう)なり。

戦争とは騙し合いである。

これも「孫子」の有名な名言で現実主義的な側面と主導権を把握することの重要性を説いた思想とされています。「兵」とは戦争のことで、「詭道」とは人を欺く方法や正しくない手段のこと。戦争とは騙し合いである。だから、本当は強くても弱く見せかけろ。本当は勇敢でも臆病に見せかけろ。本当は遠くても近く見せかけろ。といったことを主張しています。

三国志では多くの敵将が諸葛亮(しょかつりょう)の詭道(きどう)に踊らされますが、中国においては古代から当たり前の考え方だったようです。なお、「孫子」は戦国時代には日本でも読まれていましたが、正義を重視する日本の伝統的な武士道と相反するところがあり、この「詭道」(騙し合い)の考え方はあまり浸透しなかったようです。国民性でしょうか。僕も個人的には詭道(騙し合い)よりも武士道の方が好きです。

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②作戦篇 戦争前の準備、やるなら短期決戦!

②作戦篇一 城を攻むれば則ち力尽き国用足らず

城を攻むれば則(すなわ)ち力尽き、久しく師を曝(さら)さば則ち国用足らず。
〜中略〜
故に兵は拙速なるを聞くも、未だ恒久なるを見ざるなり。それ兵久しくして国を利する者は、未だこれ有らざるなり。

敵の城に攻めかけることになれば戦力も尽きてなくなり、だからといって長い間軍隊を露営させておければ国家の経済が困窮する。
〜中略〜
だから戦争に拙速(まずくても素早く切り上げる)ということはあるが、恒久(うまく長引く)という例はまずない。そもそも戦争が長引いて国家に利益があるということは、あったためしがないのだ。

これも非好戦的な思想を表す言葉。戦争は五事・七計を踏まえた上で慎重に判断するのだが、もし開戦に踏み切るとしたら可能な限り短期決戦を目指さなければならない。長引けば必ず兵力・経済力・国力・共に消耗することになるから。ということを主張しています。
アメリカのベトナム戦争のように、何年も兵力をだらだらと投入し続けて国力を消耗するのが最悪。だからそんなことになる前にきちんと検討しなさい。そしてやると決めたからには短期で一気にカタをつけなさい。「孫子」に言わせるとそういうことになるようです。ケネディさんがこの本を読んでいたら、歴史は変わったでしょうか。ウクライナに侵攻したロシア軍にも同じことが言えますね。

 

③謀攻篇 謀略による攻撃、戦わずして勝て!

③謀攻篇一 百戦百勝は善の善なる者にあらざるなり

孫氏曰く、おおよそ用兵の法は、国を全(まっと)うするを上となし、国を破るはこれに次ぐ。
〜中略〜
これゆえに百戦百勝は善の善なる者にあらざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。

孫氏はいう。おおよそ戦争の原則としては、敵国を傷つけずにそのまま降伏させるのが上策で、敵国を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。
〜中略〜
こういうわけだから、100たび戦争して100たび勝利を得るというのは、最も優れたものではない。戦争しないで敵兵を屈服させるのが、最も優れたことである。

これも非好戦的な思想を表す代表的な名言。「百戦百勝は最善の策ではない。」と言っているのは、戦えばこちらも疲弊するし相手も疲弊する。その結果たとえ勝つことができて疲弊しきった都市を手に入れても実利は少ない、ということ。また戦争で人を殺せば、後に禍根を生みます。逆に「敵国を傷つけずに降伏させるのが上策。」というのは、こちらの損害なしに相手の戦力をそのまま味方に引き入れることができる、ということ。
つまりロシアはウクライナに攻め込む前に、戦わずに屈服させる方法をもっと熟慮すべきだった、と言えそうです。しかも攻め込んだ結果世界中から激しい経済制裁を受け、世界からも孤立し、国家としての損失は計り知れないものになりました。プーチンさんも「戦争する前にこの本を読みたかった」と後で嘆くのでしょうか。

 

③謀攻篇ニ 攻城の法はやむを得ざるが為なり

故に上兵(じょうへい※よい戦争の意味)は謀(ぼう)を打つ。その次は交(こう)を打つ。その次は兵(へい)を打つ。その下(げ)は城(しろ)を攻む。攻城の法はやむを得ざるが為(ため)なり。

そこで最上の戦争は敵の陰謀を破ることであり、その次は敵の外交関係を破ること(または外交で解決すること)であり、その次は敵の軍を打つことであり、最もまずいのは敵の城を攻めることである。城を攻めるという方法は、やむを得ずに行うものなのである。

これは上の百戦百勝の抜粋の続きになります。「敵の陰謀を破ることが最上の策である」と言っていますが、例えば敵軍が味方の将や同盟軍に裏切り工作を仕掛けてきたとしましょう。もしその謀略に気付くことができたのであれば、その裏切りそうな将に偽の情報を与えておく、あるいはわざと騙されたふりをして敵を撃つことも可能になります。要するにこちらの損害無しで相手に甚大な損害を与えられる可能性が生まれます。この敵軍の謀略を見抜くことが、最も優れた策だと言っています。しかし敵の謀略を見抜くには精度の高い情報が必要であるため、情報収集(つまりスパイの活用)が非常で重要であることも「孫子」は強調しています。これについてはまた後で説明します。
そして「二番目に良い策が外交で解決すること」だと言っています。外交は交渉ですからギブアンドテイクが基本です。こちら側が望む条件と相手が望む条件を天秤にかけて、利益があると見たら成立させればいいということになります。確かに外交力や背景となる軍事力などが問われますが、基本的には血が流れることはなく、仮に失敗しても通常であれば戦力や国力の低下も限定的です。
そして「三番目が敵の軍を打つ」。これは城や都市ではなく野戦で敵兵だけを打つことを想定していると思われます。勝てば敵戦力を大きく減らすことができ、負ければこちら側の戦力を大きく失います。勝っても負けてもこちら側の戦力はある程度消耗しますが、こちら側の城は基本的には無傷のため、国力自体が激しく低下することはありません。
一番まずい策が敵の城を攻めること」と言っています。攻城戦は長期戦になりやすく、攻める側も守る側も兵糧・軍事物質・兵力・共に激しく消耗します。そして仮になんとか勝てたとしても、手に入るのは完全に疲弊して焦土となった相手の城であるうえに、人を殺せば禍根を生み、後の和解も難しくなります。さらにその間は味方の城は手薄になるため、第三国に取られてしまうリスクもあります。利益よりも損害の方が大きくなる可能性が高いと言えそうです。上でも書きましたが、敵を傷つけることなく降伏させられれば、それは丸ごとこちらがの戦力になります。だから「戦争しないで敵兵を屈服させるのが最も優れた策だ」と言っているのですね。
ウクライナ全体を一つの城と考えた場合、プーチンさんは膨大な量の兵力と戦費を消耗して、廃墟同然となった焦土とウクライナ国民の恨みを手に入れることになります。「ロシアのウクライナ侵攻は最悪の策である」と「孫子兵法」は言ってるように聞こえます

 

③謀攻篇五 彼を知り己を知れば百戦して危うからず

彼を知り己(おのれ)を知れば、百戦して危(あや)うからず。

敵情を知って味方の事情も知っていれば、百回戦っても危険はない。

これは誰もが聞いたことのある超有名な名言。敵の情報を徹底的に調べてこちら側の戦力と比較すれば、勝てる見込みがあるのかないのか、勝つためにはあと何が必要なのか、が見えてきます。上で述べた五事七計で戦力分析を行い、戦争に踏み切るか否かの判断をより正確に下すことも出来ますし、敵の謀略を事前に打ち破り、戦わずして勝つことも可能になります。「孫子兵法」は一貫して情報収集(スパイの活用)の重要性を説いていますが、それを最もよく表した言葉になるかもしれません。また「孫子」の現実主義的な側面と主導権を握ることの重要さを表す言葉でもあります。
そしてこの名言は、軍事以外のいろんな局面で応用が可能な言葉でもあるため、企業の生き残りや商品開発、受験の予備校などでも頻繁に引用されています。最も目にすることが多い「孫子」の名言かもしれません。座右の銘とされておられる方も多いようですね。

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⑦軍争篇 やるなら短期決戦、風林火山!

⑦軍争篇三 風林火山

故(ゆえ)に兵は詐(さ)を以って立ち、利を以って動き、分合を以って変を為(な)す者なり。
故に其(そ)の疾(はや)きことの如(ごと)く、その静かなることはの如く、侵略することはの如く、知りがたきことの如く、動かざることはの如く、動くことはの震うが如くにして…。

戦争は敵の裏をかくことを中心とし、利のあるところに従って行動し、分散や集合で変化の形をとっていくものである。
だから風のように迅速に進み、林のように息を潜めて待機し、火の燃えるように侵略し、闇のように分かりにくくし、山のようにどっしりと動かず、雷鳴のように激しく動き…。

これも誰もが知る非常に有名な名言。日本では武田信玄が軍旗に記した「風林火山(ふうりんかざん)」が有名ですが、これは「孫子」の抜粋だったのですね。「孫子」の原文によると「」「」が加わり「風林火陰山雷(ふうりんかいんざんらい)」となるはずなのですが、恐らく「」「」と意味合いが重なるため削除されたと思われます。
動く時はスピードが大事だ。でも敵に気づかれないように静かに備えろ。攻め込む時は炎のような勢いが大事だが、無駄に動くことはするな。といったことを主張していますが、それは戦争で敵の裏をかくため、分散や集合で変化の形を取るため、と言っています。集団で臨機応変に戦うこと・主導権を握ることを重視した思想を表した言葉になります。
あくまで戦争の戦略として書かれた本ですが、この言葉はあらゆる競争に応用可能であるため、企業やアスリートの世界においても頻繁に引用されています。ボディビルダーの山岸秀匡(ひでただ)さんはこの名言を背中に刻んでいます。確かにチームプレーだけでなく、爆発的なトレーニングを伴う競技においても最適な言葉かもしれません。


山岸秀匡さんの「風林火山」4分25秒

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⑬用間篇 情報収集(スパイ)が最重要任務!

(※⑬用間篇は抜粋ではなく全体の要約です)
君主や将軍が、敵に勝ち、人並外れた成功を収めることができるのは、あらかじめ敵情を知ることによってである。だからこそ全軍の中で最も手厚い恩賞を受け取るべきは間諜(かんちょう・スパイのこと)であり、丁重に扱うべきである。この間諜の情報を分析できる知性のないもの、間諜を大切に扱わないものは間諜を使う資格がない。間諜こそ戦争の要であり、全軍がそれに頼って行動するものである。もしも敵の間諜に気付いたら、有益な敵情を得られるため、ぜひ利益を与えてこちら側につかせろ。逆に万が一情報漏洩があった場合は、疑わしいものは全員死罪としなければならない

⑬用間篇で主張していることは概ねこのような内容になります。このように「孫子」は情報収集(つまりスパイの活用)の重要性を一貫して主張しています五事七計で戦力分析を行い戦争に踏み切るか否かの判断をするのも、敵の謀略を事前に打ち破り戦わずして勝つことも、全ては間諜の情報収集能力にかかっている。だから間諜(情報収集)こそが最重要任務である、と「孫子」は言っています。
ロシアでは裏切ったスパイが暗殺されたといった話をたまに聞きますが、「孫子」は裏切った間諜は殺せと言っています。KGB上がりのプーチンさんは、スパイの扱いを熟知していたということなのでしょうか。
それから日本は、憲法の制約により基本的には防衛のための戦争しかできないことになっています。しかし「間諜こそが戦の要である」と「孫子の兵法書」は言っています。専守防衛であっても戦争をする可能性があるのであれば、自前の諜報機関を持って、きちんと情報収集できる体制を整えるべきではないのか。僕は「孫子」にそう言われた気がしました。

 

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まとめと感想

今回は「孫子の兵法書」の中でも名言・重要な点・個人的に興味があるところなどに絞ってご紹介しました。

「孫子」は、集団で臨機応変に戦うこと、主導権を握ること、そして情報の収集と活用を重視した、合理的で最強の兵法書です。ですが、戦争には国家の存亡がかかっており、勝っても負けても国力を消耗するから熟慮して慎重に判断しろと訴え、決して好戦的な内容にはなっていません。「孫子」には広く長い視点で国家運営を捉えた戦略が説かれています。

僕は今までに、読んだだけで鳥肌が立った本が何冊かありますが、その内の一冊がこの「孫子」です。日本がまだ文字すら持たない2500年も昔に、ここまで戦争の本質を捉らえた書物が既に存在していたことに正直驚かされました。確かに出陣するか否かを神のお告げに頼っている人たちでは勝てるわけがないと感じます。

ですが、古代中国においてこのような詭道(きどう・騙し合い)を重視する最強の兵法書が生み出されたのは、中国大陸が歴史的に戦争が絶えない地域で、詭道の文化だったからに他ならないと思います。

僕は正義を重んじる日本の武士道と、平和と協調性を愛する日本の国民性の方が好きです。

それでは。

 

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