プレスリーの「Surrender(サレンダー)」を歌ってみよう!【カタカナ歌詞と日本語和訳付き!】

今回紹介するのは1961年に発表されたエルヴィス・プレスリーの「Surrender(サレンダー)」。全米だけでなく英国でもナンバー1を記録したプレスリーのヒット曲です。「Surrender」には「降伏する・身を任せる・おぼれる」などの意味がありますが、ここでは「身を任せる」といった意味合いになると思います。愛し合うカップルの熱い夜を「サレンダー(身を任せて)」をキーワードに情熱的に歌い上げた曲で、メロディには有名なカンツォーネ「帰れソレントへ」を採用しています。聞いたことありますよね?
この「Surrender(サレンダー)」にカタカナ歌詞と日本語翻訳をつけてみました。また以前ブログで「帰れソレントへ」を紹介したので、原曲との比較もちょっとしてみたいと思います。歌の研究と批評です。
 
スポンサードリンク
 
 

原曲「帰れソレントへ」ってどんな曲?

 
帰れソレントへ」は1902年にデ・クルティス兄弟によって発表されたカンツォーネ。イタリア・ソレントの海や自然の美しさを称えながら、自分を置いてソレントを去っていった恋人へ「置いて行かないで!帰ってくれ!」と懇願する情熱的でちょっと切ない失恋の歌です。
 
正確にはイタリア語ではなくナポリ語で書かれたナポリ民謡です。世界的なヒットを記録し各国で引用されたそうですが、日本においても複数のカバー曲が作られています。美空ひばりさんが歌った「日本語版帰れソレントへ」が有名ですよね。
 
また最近では「帰れソレントへ」の「空耳版」も作られているのですが、歌詞を吟味してみるとこれがなかなか面白かったですよ。お時間のある方は是非一度見ておいてください。オリジナルが発表されてから100年以上立ちますが、未だに派生作品を生み出しているのですね。
 
スポンサードリンク
 
 

プレスリーの「サレンダー」!英語歌詞+カタカナ歌詞+和訳!

 
作詞:ジャンバッティスタ・デ・クルティス
作曲:エルネスト・デ・クルティス
改作:ドク・ポーマス/モルト・シューマン
 

歌詞前半

ウェン ウィー キス マイ ハーツ オン ファイア  バーニン ウィ ザ ストゥレインジ ディザイアー
wén wíː kís mɑɪ hɑɚts ɔːn fɑɪɚ   bɚːnɪŋ wɪð ə stréindʒ dɪzɑɪɚ
When we kiss, my heart’s on fire   Burning with a strange desire
僕達がキスすると、僕の心が炎に包まれる 不思議な欲望に燃えている
 
アンド アイ ノウ イーチ タイム アイ キス ユー  ザット ユア ハーツ オン ファイア トゥー
ænd ɑɪ nóu íːtʃ tɑɪm ɑɪ kís júː   ðæt jɚ hɑɚts ɔːn fɑɪɚ túː
And I know, each time I kiss you   That your heart’s on fire too
そして僕は知ってる、君にキスするたびに 君の心も燃えることを
 
ソウ マイ ダーリン プリーズ サレンダー  オール ユア ラヴ ソウ ウォーム アン テンダー
sóu mɑɪ dɑɚlɪŋ plíːz səréndɚ   ɔːl jɚ lʌv sóu wɔɚm ənd téndɚ
So, my darling, please surrender(surrender)   All your love so warm and tender(surrender)
だからねえ君、どうか僕に身を任せて とても暖かく優しい君の愛のすべてを
 
レット ミ ホウルド ユー イン マイ アームズ ディア  ホワイル ザ ムーン シャインズ ブライト アバヴ
lét mi hóuld júː in mɑɪ ɑɚmz díɚ   wɑɪl ðə múːn ʃɑɪnz brɑɪt əbʌv
Let me hold you in my arms, dear   While the moon shines bright above
ねえ、僕の腕に君を抱かせて 月が上で光り輝いている間に
 
 

単語の意味①

Burning (バーニング・bɚːnɪŋ)「燃えている」
with (ウィズ・wɪð)「一緒に・で」
strange (ストゥレインジ・stréindʒ)「奇妙な・不思議な」
desire (ディザイアー・dɪzɑɪɚ)「願望・欲望」
 
each time(íːtʃ tɑɪm・イーチ タイム)「毎回・いつも・〜のたびに」
 
So (ソウ・sóu)「だから・とても」
darling (dɑɚlɪŋ・ダーリン)「最愛の人・かわいい人・ねえ君(かけ言葉)」※日本では女性が彼氏を表す言葉の意味合いが強いですが、夫婦や恋人の間で男女を問わずお互いを呼びかける時に使います。
surrender (サレンダー・səréndɚ)「降伏する・身を任せる・おぼれる」
warm (ウォーム・wɔɚm)「暖かい」
tender (テンダー・téndɚ)「優しい・親切な・柔らかい・感じやすい」
 
Let o doで「oに〜させる」
hold (ホウルド・hóuld)「手に持つ・つかむ・維持する」
dear (ディア・díɚ)「あなた・ねえ君」※dearには「親愛な・大切な」という形容詞の意味もありますが、ここでは「あなた・君」という呼びかけの名詞。
shines (シャインズ・ʃɑɪnz)「輝く・光る・照らす」※shineの三人称単数形。
bright (ブライト・brɑɪt)「明るく・輝いて」
above (アバブ・əbʌv)「上に」
 
スポンサードリンク
 
 

歌詞後半

オール ザ スターズ ウィル テル ザ ストーリ  オ ヴァウワ ラ ヴァン オール イツ グローリ
ɔːl ðə stɑɚz wíl tél ðə stɔːri   ɑv ɑuɚ lʌv ənd ɔːl ɪts glɔːri
All the stars will tell the story   Of our love and all its glory
全ての星が語ってくれるだろう 僕たちの愛とその栄光の物語を
 
レッ タス テイク ディス ナイ タヴ マジック  アンド メイ キ ツァ ナイ タヴ ラヴ
lét əs téɪk ðɪs nɑɪt əv mædʒɪk   ænd méɪk ɪt ə nɑɪt əv lʌv
Let us take this night of magic   And make it a night of love
この夜に魔法かけて 愛の夜にしよう
 
ウォウン チュー プリーズ サレンダー トゥ ミー  ユア リプス ユア アームズ ユア ハートゥ ディア
wóunt júː plíːz səréndɚ tu míː   júɚ lɪps júɚ ɑɚmz júɚ hɑɚts díɚ
Won’t you please surrender to me (surrender)   Your lips, your arms, your heart, dear (surrender)
どうか僕に身を任せて 君の唇、君の腕、君の心を、ねえ君
 
ビー マイン フォーエバー  ビー マイン トゥナイト
bíː mɑɪn fərévɚ   bíː mɑɪn tunɑɪt
Be mine forever   Be mine tonight
永遠に僕のものになって 今夜は僕のものになって
 
 

単語の意味②

glory (グローリ・glɔːri)「栄光・誉れ・栄華・絶頂」
 
magic (マジック・mædʒɪk)「魔法・魔術」
 
Won’t (ウォウント・wóunt)「will notの短縮」
Won’t you で「〜しませんか」の勧誘の意味
 
Be mine foreverはbe動詞を使った命令文
 
英語の発音についてはこちらのページにまとめてあります。
 
スポンサードリンク
 
 

個人的な感想!

メロディは確かに「帰れソレントへ」なのですが、内容は完全に別の歌です。ちょっと歌詞を比較してみますね。
 
 
原曲「帰れソレントへ」の歌詞を要約すると概ね次の通り。
 
見てこの美しいソレントの海を、この庭を、そしてオレンジの花々を、心の中まで香りが染みわたるだろう。ここは奥深くに宝を秘めており、世界中を旅した人だってこのようなところは見たことがないだろう。
でも君は「さようなら!」と言って、私の心から離れていってしまう。私を置いて行かないで!ソレントへ帰ってくれ!
 
 
これに対し「サレンダー」の歌詞を要約すると概ね次の通り。
 
僕達がキスすると僕達は不思議な欲望に燃える。僕に身を任せて、君の唇、君の腕、君の心を、そして君の愛の全てを。僕の腕に君を抱かせて、月が光り輝いている間に。今夜は僕のものになって、永遠に僕のものになって。
 
 
帰れソレントへ」の内容は故郷ソレントの賛美と自分を置いて出て行った恋人へ帰郷を懇願する失恋の歌であるのに対し、「サレンダー」の内容は愛し合うカップルの熱い夜。どこかの土地に言及することもなく徹頭徹尾愛し合うハッピーエンドな歌です。
 
 
一応どちらも男女間を情熱的に歌ってはいるのですが、内容が大きく異りますよね。歌い方も異なりますし。
 
実は「帰れソレントへ」は1902年のイタリア首相のソレント訪問の際に首相接待のために作られた「町起こしソング」だったと言われています。ただそれをゼロから作ったのではなくデ・クルティス兄弟がすでに作ってあった失恋の曲を急遽改作して仕上げたみたいなのです。その結果自分を振った相手に「帰ってくれ!」と訴えながら、一方で半分ソレント市を宣伝するというような、やや趣旨の不明確な歌になっていると感じます。
 
僕は原曲を読んでみて少し違和感を感じるところがありました。その意味においてはこの「サレンダー」の方が趣旨が明確で親しみやすいと思います。
 
「帰れソレントへ」もいい曲なのですが、個人的には「サレンダー」の方が好きですね。
 
あなたはどちらが好きですか?
 
 
 
ちなみにプレスリーは同じく有名なカンツォーネ「オーソレミオ」のメロディを下敷きにした曲を発表しています。それが1960年にリリースした「It’s now or never(イッツ・ナウ・オア・ネヴァー)」。「すぐそばに君がいる。ついにその時が来た。今しかない(It’s now or never)。今夜は僕のものになって」と情熱的に愛しい人にアプローチする歌です。こちらも「オーソレミオ」とは内容が変わっていますが、なかなかいい歌でしたよ。
 
 
それでは元気で。
 
 
スポンサードリンク