イギリス国歌を歌ってみよう![カタカナ歌詞和訳付き!]

イギリスの国歌は 「God Save the King(ゴッド・セイブ・ザ・キング):神よ国王陛下を守りたまえ」と言います(※2022年9月8日までは「God save the Queen」)。

非常に古く、誰もが一度は聞いたことがある有名なメロディーの歌なのですが、君主が男性になると、タイトルが「God Save The King」になり、君主が女性になると、タイトルが「God Save The Queen」 になる珍しい国歌になります(歌詞もQueenKingが入れ替わる)。

この英国国歌「God save the King」 の歌詞にカタカナの読みをつけてみました。

おそらく外国の国歌の中では最も覚えやすい部類になると思われますので、練習して歌えるようにしてみてください。

まずはその前に、国歌成立の歴史や予備知識を簡単に説明します。

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英国国歌成立をざっくり解説!

イギリス国歌は古すぎて、誰が最初に作詞作曲したのかわからないそうです。

メロディー自体は、1515年のフランス国王の戴冠式讃歌に使われた記録があり、その後も複数の君主を称える歌がありました。

1745年、ジャコバイト(1688年の名誉革命で追放されたスチュアート朝ジェームズ2世の直系男子を正当な国王であると主張する反革命勢力)がイングランド王位奪還のため、スチュアート朝の王位継承者とされる「チャールズ・スチュアート」を担ぎ、スコットランドからイングランドへ攻め込みました。

このジャコバイトたちがロンドンを目指して南下する途中、「トマス・アーン」が君主と国家の安寧を祈って「神よ国王陛下を守り給え」を編曲します(作曲したわけではないと見られている)。

結局ジャコバイトは破れ王位奪還は失敗に終わりますが、以後ロンドンの劇場などでこの曲が度々演奏されるようになり、19世紀に国歌として定着しました。

従ってこの歌の起源は、正当な英王室側ではなく、あくまで破れたジャコバイト側の王室賛美の歌だったということになります。

 

イギリスだけの曲ではない!

チャールズ国王は、イギリスだけの君主ではありません。

カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど、かつてイギリスの植民地だった地域の君主も兼ねており、これらの国々を総称して英連邦王国(現在の加盟国16カ国)と言います。

このうち「God save the King」は、現在イギリスとニュージーランドの国歌となっている他、多くの英連邦の国々が王室歌として採用しています。

さらにこのメロディー、著作権がないことをいいことに世界中で引用されまくっています。

現在リヒテンシュタインが同じ旋律を使った国歌を採用していますが、 過去にはドイツ、ロシア、アメリカもこのメロディーを国歌に採用していました。

 

バッハ、ベートーベン、ドビュッシー、リストまでもが、このメロディーを自分の曲に引用しています。

世界一有名なメロディーの国歌と言っていいです。

おそらくほとんどの人が、どこかで聞いたことがあると思います。

 

君が代との共通点!

「God save the King」を日本の「君が代」と比べてみると、いくつかの共通点があることが分かります。

1番の歌詞を見てみると「神よ国王陛下をお守り下さい、長生きさせてください」といった内容の歌詞になります(2番以降はやや戦争や謀略の雰囲気があります)。

そして詩自体も短く、メロディーもゆったりしています。

「君が代」に雰囲気が似ていますよね

 あえて違いを挙げると、

君が代」は、「千世代も八千世代も、さざれ石が岩となるくらい、そして苔がむすくらいの長い間、天皇陛下長生きしてください。」と比喩を多用して文学的なのに対し、

God save the King」は「 神よ国王をお守りください、長生きさせてください、治世を長くしてください。」など短くストレートな表現を連発するところ。

結論を急ぐ英国人と、言葉の一つ一つを噛み締める日本人の国民性の違いでしょうか。

 

また、英国は900年以上の歴史を持つ世界屈指の古い国ですが、「God save the King」の成立も非常に古く1745年とも言われます。

それに対し、日本の建国は1700年前とも2000年前とも言われ、「君が代」の歌詞は1100年以上昔のものになります。

「君が代」の歌詞は、西暦905年編纂の「古今和歌集」に集録されている詠み人知らずの和歌(5,7,5,7,7)になりますが、「詠み人知らず」というのは905年当時、既に古すぎて誰が最初に作ったのか分からなくなっていることを意味します。

つまり作詞は905年よりもさらに古いということになります(作曲は1880年)。

両国ともに国家も国歌も世界屈指の歴史を誇りますが、特に日本は建国も国歌も桁違いに古く、いずれも世界最古になります

「歌詞の内容」といい「歌の古さ」といい、一つの王朝を長く守ってきたが故の共通点なのかもしれません。

そしてどちらも美しいです

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God save the Kingの歌詞と和訳!

出典:ウィキペディア

God save our gracious King,
Long live our noble King,
God save the King:
Send him victorious,
Happy and glorious,
Long to reign over us,
God save the King.
神よ我らの優しい国王を守りたまえ
我らの高潔な国王を長生きさせてたまえ
神よ国王を守りたまえ
彼に勝利と
幸福と栄光を与えたまえ
国王の時代を長く続かせたまえ
神よ国王を守り給え
save: 救う、守る(セイブ)
gracious: 優しい、恵み深い(グレイシャス)
noble: 高潔な、高貴な、気高い(ノウブル)
Send: 送る、与える(センド)
victorious: 勝利の(ヴィクトリアス)
Happy: 幸福な(ハピ)
glorious: 栄光ある(グロリアス)
reign: 在位期間、治世(レイン)
reign over: 統治する

(国王陛下の住むバッキンガム宮殿)

God save the Kingを歌ってみよう!

こちらは2022年9月8日まで採用された「God Save the Queen」(旧バージョン)。

こちらが新しい「God Save the King」(新バージョン)。

動画に合わせて練習してみてくだい。
一つ注意していただきたいのが「æ」の発音です。この音はイギリスとアメリカでは少し異なります。アメリカ発音では日本語の「」に近くなりますが、イギリス発音では「」に近くなります。and」は「ンド」ではなく「ンド」に近い発音を意識してみてください。

1745年の初期の楽譜
出展:commons.wikimeddia.org 

 

ゴッド・セイブ・ザ・キング・楽譜1

God Save the King・楽譜2

※こちらは新しい「God Save The King

下のカタカナは楽譜を元に音符ごとに区切ったものになります。

God・ save・ our・ gra・cious・ King,
 ゴッド・            セイ・             ヴァー・          グレイ・         シャス・              キング
Long・ live・ our・ no・ble・ King,
  ロング・        リヴ・           アワ・           ノー・         ブル・          キング
God・ save・ the・ King:
 ゴッド・           セイヴ・           ザ・            キング
Send・ him・ vic・to・ri・ous,
  センド・          ヒム・         ヴィク・        トー・      リ・       アス
Hap・py・ and・ glo・ri・ous,
  ハッ・       ピー・         アンド・          グロー・       リ・       アス
Long・ t・o・ rei・gn・ o・ver・ us,
   ロング・       トゥ・     ウ・        レ・      イン・          オー・       ヴァ・       アス
Go・d・ save・ the・ King.
 ゴッ・     ド・         セイヴ・           ザ・            キング

ゴッド・セイブ・ザ・クイーン・楽譜
※こちらは旧バージョンの「God Save The Queen
 
 
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