富士山の笠雲とつるし雲の意味を教えて!本当に雨は降るの?

富士山の吊るし雲
富士山は傘をかぶることで有名です。
 
 
 
富士山のふもとでは「富士山が傘をかぶると、翌日雨が降る」といった話もあります。
 
 
 
本当なのでしょうか?
 
 
なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
 
 
 
 
ここでは富士山に「笠雲」と「つるし雲」が発生するメカニズムを、ご紹介します。
 
 
そして本当に雨は降るのか、天気の予測はできるのか、これについても検証してみたいと思います。
 
 
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富士山の笠雲のできかた

 

「笠雲」(かさぐも)とはレンズ雲の一種で、山頂付近に現れる帽子をかぶったような形の雲のこと。
 
 
気流が山を越えるとき、強制的に上昇することにより、冷却され雲が発生します。
 
 
気流が山頂を越えて山麓に降りてくる時は逆に温度が上がり雲が消滅します。
 
 
そのため山頂付近では雲が止まって見えますが、常に新しい雲に入れ替わっています。
 
 
 
 
主に富士山のような孤立峰でよく発生します。
 
 
図で説明するとこのようになります。
富士山のかさ雲のでき方
 
こちらの動画を見ると、実際に雲が入れ替わっている様子がよくわかると思います。
投稿者:beaphoto1
 
 
 
 

富士山に笠雲ができやすい理由

上空から見た富士山
富士山はきれいな円錐形をした単独峰です。
 
 
 
日本列島に低気圧が接近し、暖かく湿った空気が入ってくると、
 
 
湿気を含んだ風は、周りの山に遮られることなく、富士山に直接ぶつかります。
 
 
富士山にぶつかった湿気を含んだ風は、その時の気象条件により、様々な形の雲に姿を変えます。
 
 
その富士山に発生する代表的な雲が、「笠雲」と「つるし雲」です。
 
 
 
 
富士山にぶつかって強制的に冷やされた湿気を含んだ風は、山頂付近にのみ「笠雲」となって現れます。
 
 
この時山頂を通り過ぎた上昇気流が、ロール状に回転して、風下に雲を作ることがあります。
 
 
これが「つるし雲」になります。
 
 
こちらの動画を見ていただいた方が、分かりやすいと思います。
投稿者:AQUA Geo Graphic
 
 
「つるし雲」は、巨大な凧(たこ)が空高く舞いあげられたように同じ場所に浮かぶ雲で、円筒状、楕円状、翼状など、さまざまな姿を見せてくれます。
 
 
このつるし雲が観測されるのは平均で月1回程度、発生する時間も長くて数分程度と言われています。
 
 
麓の方でもあまり見られないそうです。
 
 
出典:富士山測候所御殿場基地事務所
 
 
 
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笠雲の天気への影響

 富士山のかさ雲
富士山の周辺では、こんな言い伝えがあります。
 
 
「富士山が傘を被れば明日は雨」
 
「1つ傘は雨」「二重傘は風雨」
 
 
つまり富士山が傘を被れば、近いうちに雨が降ることをほのめかしているわけですが、
 
本当にその通りなるのでしょうか。
 
 
 
実際このような統計が残っているそうです。
 
「笠雲」がかかった場合 24時間以内に雨が降った確率は70〜75%。
「笠雲」「つるし雲」が同時に現れた場合 24時間以内に雨が降った確率は80〜85%
 
 
信頼性はかなり高いようです。
 
 
 
 
統計的に気象庁発表の天気予報の的中率は約80%と言われています。
 
 
天気予報といい勝負みたいですね。
 
 
 
 
この信頼性の高さから、富士山にかかる雲は、古来より「観天望気」(かんてんぼうき)の指標として使われてきました。
 
 
 
「観天望気」というのは、風や雲など大気の状態を観測して、天気を予測すること。
 
 
富士山に発生する雲は、とても珍しい現象を示すため、地元の住民たちは、富士山の雲を見て天気を予測しました。
 
 
なお、富士山のふもとでは「笠雲」は大変縁起の良いものとされています。
 
 
高い確率で雨が降ってしまうんですけどね…
 
 
 
 
 
 
 

地震雲との噂も…

赤富士
「富士山に笠雲が発生すると地震が起きる」
 
 
どこかでこんなことを聞いたことはありませんか?
 
 
東日本大震災の5日前に富士山で傘雲見た
 
北海道で起きたM6.5の地震の何週間か前に富士山で笠雲を見た
 
といったようなお話です。
 
 
 
つまり富士山の傘雲は「地震雲」なのではないか、とする説です。
 
 
 
これに関してはいろんな説がありますが、よくささやかれているのが、
 
 
「地震の直前は断層に圧力がかかり、その圧力で電磁波が発生して、何らかの雲が発生するのではないか
 
 
といったものになります。
地震なまず
 
本当にそんなことがあり得るのでしょうか。
 
 
 
現在地震の予兆と雲の発生については、科学的に根拠は認められていません。
 
 
それどころか「地震雲」という言葉すら、気象学にはありません。
 
 
 
特に富士山の傘雲については、既にここでもご説明したように、気象的に説明ができるので、地震とは関係ないと考えるのが一般的です。
 
 
 
 
 
…でも100%否定しきれているわけでもないのも事実ですよね。
 
 
 
今後どうなるのでしょうか。
 
 
 
近い将来、巨大地震の予測のため、富士山の「観天望気」(かんてんぼうき)が行われる日は来るのでしょうか…
 
 
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