会社経営者の肩書でよく目にするのが、「代表取締役」と「代表取締役社長」。
どちらも、とても堅そうな肩書なのですが、この2つ一体何が違うのでしょうか。
どちらの方が偉いのでしょうか。
「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いについて解説します。
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代表取締役と社長の違いをざっくり解説!
代表取締役 | 社長 | |
名称 | 会社法上の名称 | 会社内部の肩書き |
設置の義務 | 原則設置しなければならない | 自由 |
法律上の責任 | あり | なし |
性格 | 法律上の会社の代表者 | 職責上の会社のトップ |
もう少し詳しく解説します。
代表取締役とは
会社法上株式会社は、取締役会を設置しなければならない会社と、そうでない会社に分けられます。
取締役会を設置しなければならないとされた会社では、取締役会は取締役の中から「代表取締役(会社を代表する取締役)」を選定しなければならない、とされており、(会社法第362条)
さらに「代表取締役」は会社の業務を執行し、業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する、とも定められています。(会社法第363条)
要するに「代表取締役」というのは、会社法に規定する名称であり、会社を代表するものとして、対外的な責任を負うことを、法律で定められていることになります。
「代表取締役」=責任者です。
法律に従って商業登記をする必要があり、不祥事があったときに、真っ先に責任を取らされるのが「代表取締役」になります。
※取締役会を設置しない場合は、「代表取締役」を設置しないことも可能になります。その場合、各取締役が会社を代表することになります。逆に「代表取締役」を複数設置している場合もあります。
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社長とは
「社長」というのは、課長・部長・専務など同じように会社内部での職制上の地位(社内のポジション)を表す呼称であって、法律上は特別な権限も責任もありません。
文字通り、会社のトップであることを内外に表す肩書きなのですが、会社法上設置が義務付けられているわけではなく、社内の規定で自由に定められる役職になります。
会社の内情に詳しく、実際に統率している人が代表を兼ねた方が効率が良いため、
一般的には「代表取締役」は「社長」を兼ねている場合が多く、「代表取締役社長」としていることが多いです。
要するに「代表取締役」も「代表取締役社長」も、法律上の地位は同じになります。
中には「代表取締役会長」といったように、社長以外の人間が「代表取締役」を務める場合もあります。
家族経営の会社の場合では、奥さんが「代表取締役専務」の肩書きを持っている場合もありますね。
逆に「取締役社長」といったように、代表権のない社長も存在します。
なお、どれを名乗るのも自由ですが、登記上は「代表取締役」になります。
会社法上に定めがある役員とそれ以外の肩書き
会社法上に定めがある役員は、取締役・会計参与・監査役(会社法施行規則では執行役理事・監事・清算人なども含む)に限られています。
これら会社法上に定めがある役員は、株式譲渡制限会社か否か、取締役会設置会社か否か、大会社かそれ以外か、などの条件によって、会社法で設置が義務付けられていたりしています。
これら以外の会長・CEO・社長・副社長・専務・常務・部長・課長などの肩書は、法律上に規定されているわけではなく、会社が自由に名乗っている職務上の呼び名に過ぎません。
設置する義務もなければ、法律上特別の責任を負うこともありません。
まとめ
「代表取締役」も「代表取締役社長」も法律上の地位に違いはありません。
「代表取締役」は会社法で設置が義務付けられており、法律上の責任を負う必要があります。
「社長」は職務上の地位を表す肩書であって、法律上の責任はありません。
偉さには違いは無いみたいですね。
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