甲子園には春と夏の大会があります。
年に2回、全国ナンバーワンを決める高校野球の大会をやっているだけ。
と思っておられる方も少なくないのかもしれませんが、
実は、大会の主催者から出場校の選び方、そして試合の傾向まで春と夏では大きく異なります。
今回は甲子園の春と夏の違いを、できるだけ詳しく比較して解説してみたいと思います。
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目次
違いをざっくり解説!
春の甲子園 | 夏の甲子園 | |
正式名称 | 選抜高等学校野球大会 | 全国高等学校野球選手権大会 |
主催者 | 毎日新聞と高野連 | 朝日新聞と高野連 |
出場校 | 32~36校 | 49~55校 |
選び方 | 秋の大会の優秀校から選抜 | 夏の地区予選の優勝校 |
試合の組み合わせ | 最抽選なしのトーナメント | 再抽選ありのトーナメント |
日数 | 11日間 | 15日間 |
大会歌 | 今ありて | 栄冠は君に輝く |
試合の傾向 | 投手戦 | 打撃戦 |
優勝旗の色 | 紫紺 | 深紅 |
もう少し詳しく解説しますね。
正式名称が異なる
「春の甲子園」というのは正式名称「選抜高等学校野球大会」といいます。
通称は「春の大会」「春の高校野球」「春の甲子園」、あるいは「センバツ」とも呼ばれます。
一方「夏の甲子園」というのは正式名称「全国高等学校野球選手権大会」といいます。
通称は「夏の大会」「夏の高校野球」「夏の選手権」、あるいは「選手権」などとも呼ばれます。
主催者が異なる
「春の甲子園」の主催は、「毎日新聞社」と「公益財団法人日本高等学校野球連盟(高野連)」になります。
一方「夏の甲子園」の主催は、「朝日新聞社」と「高野連」。
要するに春と夏では、主催する新聞社が異なることになります。
出場校の数や選び方が異なる
春の甲子園
「春の甲子園」の出場校は、高野連の推薦校の中から、秋の地区大会の成績や地域的なバランス、さらには品位といったものまで総合的に加味して、選考委員会によって選ばれます。
成績は勝敗のみにこだわらず、試合内容や実力なども参考にすると言われています。
当然出場校が一校も出ない県も、毎回生まれることになります。
逆に成績が良ければ、1つの県から2校以上選ばれる可能性もあります(過去には最大4校選出されたことがあります)。
まず秋季大会の成績や地域性を考慮して、28校を「一般選考」で選びます。
2001年から始まった「21世紀枠」によって2〜4校を選考。
これは豪雪などの地域の特性や、ボランティアなどの地域貢献などを基準に選出します。
2003年からは「明治神宮大会枠」が儲けられ、11月の明治神宮大会の優勝校が所属する地域に出場枠が1つ与えられるようになりました。
2013年からは震災からの復興を目指す東北地方の学校に対して、「東北絆枠」という出場枠も与えられています。
なお、「春の甲子園」の出場校は通常32校になりますが、下一桁が5や0になる「記念大会」では34校 ・36校に増やされます。(第90回大会など)
夏の甲子園
「夏の甲子園」の出場校は、各都道府県の地方大会の優勝校になります。
すべてノックアウトトーナメント方式であり、一度負けたら終わりです。
もともと、1915年の第一回大会の出場校は10校のみでしたが、その後地区数(出場校)は増加を続けます。
1978年の第60回大会からは1県1代表制となり、出場校の多い北海道と東京都のみ2校が割り当てられ、合計49代表校(現在の出場校の数)となりました。
※東京は西東京と東東京の東西に分かれ、北海道は北北海道と南北海道の南北に分かれます。
なお、「夏の甲子園」も春同様、記念大会(100回記念大会など)においてのみ、出場校の多い6府県(埼玉・千葉・神奈川・愛知・大阪・兵庫)に出場枠が追加され、55代表校となります。
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試合の形式と日数が異なる
「春の甲子園」では最初の抽選会において、すべての組み合わせ表が決まり、トーナメントを戦います。
途中で再抽選は行いません。
大会は11日間で行われます。
これに対し「夏の甲子園」では、まず3回戦までの組み合わせを決定します。
そして準々決勝4試合と準決勝2試合は、その都度組み合わせを決定します。
シード制を採用していないため、初戦で強豪同士の対戦になることもあります。
なお、2013年から2016年までは全試合抽選方式を採用しました。
大会は15日間で行われます。
使用する音楽が異なる
「春の甲子園」の大会歌は「今ありて」ですが、
選手が入場する時の曲は毎年変わり、その時のヒット曲などが演奏されます。
「今ありて」は阿久悠さん作詞、谷村新司さん作曲。1993年から採用されています。
これに対し「夏の甲子園」では「大会行進曲」が演奏されます。
なお、夏の甲子園の大会歌は「栄冠は君に輝く」。
「栄冠は君に輝く」は高橋道子さんの歌詞、古関裕而(こせきゆうじ)さん作曲。1948年に作られた歴史ある曲になります。第30回大会から大会歌に制定。
夏の甲子園は出場校の実力にばらつきがある
「春の甲子園」は、選考委員会によって実力が認められたチームが選ばれるため、甲子園の出場校に大きな力の差は出ない傾向にあります。
ところが「夏の甲子園」では、すべての県から出場するため、実力の高い県と低い県の差も出やすく、また地区大会を運良く勝ち上がったチームも存在します。
さらに「夏の甲子園」では予選での疲労や怪我などもあり、肝心の甲子園でコンディションを落としてしまうチームも少なくないようです。
このため「夏の甲子園」では、出場校の実力にばらつきが大きく、大量得点差になることが多い傾向にあります。
投手戦の春と打撃戦の夏!
野球の戦力では、投手力と打撃力は別物になります。
3年生が引退し、秋の大会が終わると基礎的な練習がメインになるため、春の段階ではどこの学校も打撃の練習が少なく、好投手を打ち崩す事がなかなかできない傾向になります。
ところがこれが夏の大会なると、どこの学校も打撃練習を充分に積んできます。
さらに真夏の過酷な環境が、投手の体力を消耗するため、面白いように点が入ってしまうこともあります。
プロ野球では到底考えられないような、信じられないような大逆転劇は大抵「夏の甲子園」で起こります。
まとめ
これまで「春夏」の連覇や「夏春」の連覇を達成した高校はいくつかあります。
しかし、「春夏春」や「夏春夏」の3連覇を達成した学校はありません。
それだけ甲子園の連覇は難しいです。
※夏夏夏の3連覇だけはあります。1931年から33年にかけての、中京大学附属中京高等学校。(春春春の3連覇はありません)
ぜいたくな望みですが、できることならこの3連覇を、自分の目で見てみたいものです。
僕は負けたら最後の緊張感が漂う、夏の甲子園が好きです。
もしかした春と夏の一番の違いは「選手たちの思い」なのかもしれませんね。
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