下の親知らずを抜いてきた!【口腔外科での抜歯体験談①】

今年の1月5日、市内大病院の口腔外科で下の親知らずを取ってきました

長年口の中に居座った厄介者についにおさらばしたわけなのですが、今回はその抜歯の体験記を書いてみたいと思います。

抜歯に至る経緯もありますので、まずはその昔抜歯した上の親知らずの話から説明させてください。

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かなり昔の上の親知らずの抜歯の話

最初に親知らずを抜歯したのは、今から7・8年昔のこと。近所の歯医者で歯の治療をしていたところ、上の親知らずが2本とも虫歯になっていることがわかりました。

そもそも親知らずは、必ず抜かなければならない、というものでもありません。親知らずが歯茎に完全に埋まっている状態であれば抜歯する必要はないことが多いそうですが、既に歯茎の外に出ており、かつ傾いて生えている場合は、汚れがたまりやすく虫歯になりやすいため、他の歯に悪影響を及ぼす前に早めに抜歯した方がいいそうです

この時はまだ痛みはありませんでしたが、上の親知らずは2本とも明らかに虫歯になっており、いずれ痛みを伴う可能性が高く他の歯に悪影響を及ぼす可能性もあったため、その歯医者さんですぐに抜歯してもらいました

親知らずの抜歯って、麻酔打って力で強引に引っこ抜くんですよね。初めてだったのでその荒業にびっくりしました。…でも麻酔打っても正直痛かった…というか怖かった。それでも麻酔のある時代に生まれたことに感謝です……。昔は地獄絵図(鬼がペンチで舌を抜くようなやつ)のような治療をやっていたのでしょうね。

出典:地方に移住します

実はその時、下の一番奥に親知らずが歯茎からちょっとだけ顔を出しており、その歯医者さんに言われたことがこんなこと。

「これどんなに気をつけて歯を磨いても、いずれかなり高い確率で虫歯になるよ。そのうちもっと出てきて、食べかすが引っかかってちゃんと磨けなくなるから。そして治療がほとんど無理だから抜く以外にないよ。70歳まで今のまま維持できるケースはほとんどないと思っていい。」

レントゲン写真を見せてもらうと、下の親知らずが2本とも横を向いている

そして鏡で口の中を見てみると、下の歯の一番奥に白い親知らずが顔を出している。

「まだ虫歯にはなっていないんですよね?いつか抜かなければならないのであれば、早めに取ってもらいたいのですが…」と僕がお願いすると、

歯医者さんはこんなことをおっしゃいました。「この親知らずはここじゃ無理。専門の口腔外科行かないとね。今はまだ虫歯は確認できないから急ぐ必要はないんだけど、周りの歯に悪い影響を与える可能性があるから早い方がいいよ。その時は紹介状書いてあげる。」

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上下の親知らずの抜歯の難易度の違いと一般歯科と口腔外科の違い!

この歯医者さんの説明を受けた時点では、なぜ下の親知らずが一般の歯医者で抜歯することができないのかよく理解できていませんでした。後で調べてわかったことなのですが、上の親知らずと下の親知らずではでは抜歯の難易度も痛みも異なるようです。上顎は骨が柔らかく抜歯が比較的短時間で終わる傾向にありますが、下顎は骨が硬く歯根と頑強に結びついているため抜歯に時間がかかる傾向があるとされいます。特に下の親知らずは周辺の骨が固いがゆえに麻酔が効きづらく、手術中の痛みが大きいと言われています。さらにこれも下の親知らずでよく見られるそうですが、完全に横向きに生えているケースがあり、この場合上の肉を切開したり骨を削る必要があって抜歯の難易度はさらに上るとされています。なお難易度が高いほど術後の痛みや腫れが出やすいそうです。

この親知らずについては、抜歯の難易度によって普通の歯医者さんで対応できるケースとできないケースがあり、難易度の高い抜歯は基本的に口腔外科で対応してもらうことになるそうです。

口腔外科というのは、口やその周辺の外科処置の専門家。事故による口周辺の怪我の治療や、顎周辺にできた腫瘍の除去などを行なっており、一般的な歯医者(一般歯科)さんのような虫歯の治療を目的としているわけではありません。

この時点ではよくわかっていなかったのですが、緊急性のある話ではなかったし、忙しかったし…口腔外科の予約には時間かかるみたいだし、遠いし、怖いし、めんどくさいし……とりあえずこの話は封印して一旦忘れた(^^;)。

 

それ以来年を追うごとに親知らずの露出が増え、引っかかった食べかすの除去と奥歯の歯磨きに、毎日結構な時間を取られるようになっていきました。

いつかは取らなくてはいけないという考えはあったのですが…忙しかったし…まだ虫歯じゃないし…力尽くで抜くの怖いし、…色々と言い訳を考えて、しばらくの間は一生懸命歯磨きすることで対応していました。

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下の親知らずに虫歯!抜歯を決意!

そして昨年の10月

久しぶりに近所の歯医者さんに行って治療してみると、下の右奥の親知らずに虫歯があることが発覚。「これ以上は逃げられない。取るしかない!」と覚悟を固めて親知らずを抜くことを決意。するとその歯医者さんは「口腔外科に紹介状を書いてあげるから、日程の都合ついたら教えて。」とおっしゃる。

どうやら大病院の口腔外科に自分で勝手に行くと、初回診察料として5000円かかるらしい。それを近所の歯医者さんに750円払って紹介状を書いてもらうと無料になるみたい。なぜそんなシステムになっているのか分からないのですが、余計にお金を払いたくないのでその行きつけの歯医者さんに紹介状をお願いしました。

 

ちなみに口腔外科での治療は次のようなプロセスになります。
1 初診 親知らずの状態を確かめて、抜歯の具体的な日時を決める。
2 1回目の抜歯
3 2回目の抜歯 抜歯後2週間程は抜いた側のサイドで物を噛みづらくなるため、1回目の抜歯から最低でも2週間開ける必要があるそうです。

なお紹介状を書いてくれた近所の歯医者さんで、各抜歯の翌日に消毒一週間後に抜糸をすることになっています。

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口腔外科での初診で2ヶ月待ち!

そして昨年の11月上旬

その紹介状を持って市内の大病院の口腔外科へ初診に行ってくる。行きつけの歯医者さんでもレントゲン写真はすでに撮っており、紹介状に添付してくれていたみたいなのですが、不鮮明という理由でレントゲンを取り直すことになりました。初診の費用も含めて2790円。結構高い。そして一回目の抜歯は約2ヶ月待ち。

「えっ!そんな先なんですか?」っと、驚いて口腔外科の先生に聞き返してしまいました。なんでも大きな病院の口腔外科では2ヶ月3ヶ月待ちは当たり前らしい。(口腔外科ってそんなに需要あるんだ……)

先生の話によると、親知らず(下)の根元の近くに大きな血管や神経がある場合、大量出血やしびれまどの後遺症が残る可能性があるそうです。その場合特殊な麻酔(静脈内鎮静法や全身麻酔)を使ったり入院が必要になることもあるそうなのですが、幸い僕は入院の必要はないとのことでした。とは言え親知らずの抜歯は強制的に骨折させるようなものなので、低確率ながら痺れが残るなどの後遺症が残ることがあるそうです。(下の親知らずの抜歯ってそんなに大変だったんだ……)

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口腔外科での1回目の抜歯

そして年をまたいで今年の1月5日

市内大病院の口腔外科に右下の親知らずの抜歯に行ってきた。予約を入れたのは午前11時半。でもこの病院ほとんど行ったことなくて迷子になりそうだから、ちょっと早めの10時40分に到着。10時50分には口腔外科の窓口で手続きを済ませて着席。

廊下の椅子には、僕と同じ黄色いファイルを持った人が10人ほど座っている。まだ時間があるので、どんな手術を行うのか、昨年11月(初診時)にもらった説明書を確認してみることにした。

「①まず麻酔して、②歯茎を切り開いて骨と歯を露出させる。③歯の出口を広げるため骨を削り、④歯を小さく分割して歯を抜く。⑤抜いたところを綺麗に掃除し、⑥糸で縫う……」(随分と荒々しい…想像したら怖くなってきちゃった…)

「193番の方、193番の方いらっしゃいますか?」突然看護婦さんの声が聞こえた。

(今10時55分予約は11時半。まだ自分の番ではない。)と思いながら念のためファイルの自分の番号を確認してみると、(…193番は…自分だ…ホントに?…。)

「ちょっと早いですけど、今からやりますので来てください。」

(あれ?周りにこんなに人が待ってるのにいきなり俺?もしかして前の人がドタキャンしたのかな?というか心の準備がまだ……)と考える余裕もなく、緑のシートに座らされる。執刀医は背の高い若い先生だ。

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抜歯ってどんな感じ?痛いの?何分かかるの?

いくつか質問をされた後、「少しチクッとしますよ。」と言われて麻酔を打たれる。右奥の親知らず周辺に何回か打ったみたい。1、2分で麻酔が効いてきて、感覚がなくなってくるのがわかった。そして「痛かったら右手を上げてください。」という言葉とともに手術が始まる。

時計を見ると11時ちょうど

事前に説明書を読んだおかげで何をやってるのか概ね想像できる。まずは親知らずの上の肉を、ブツっと豪快に切ったみたい。そして先端の尖ったドリルが高い機械音を上げて迫ってくる。見えると怖いのでその時点で目をつぶった。そして感覚のなくなった右奥の親知らずに激しい振動を加える。となりの女医さんが、口の中の何かを丁寧に吸い取る。それでも口の中に血の味が広がった気がした。かすかに右奥に痛みを感じる。でも手をあげて知らせるほどでもない。(これ以上痛くなりませんように)と密かに祈る。どうやら器具を頻繁に変えているらしい。この先生はこの手術を専門にしてるだけあって、相当手際がいいみたい。そして時折顎が沈むほど体重をかけて圧迫してくる。力ワザで砕いて引っこ抜いてるらしい。(そんなに固く尖ったものにそんなに体重かけて…滑ったら喉に刺さってえらいことになるんじゃないのか…?)と、想像すると恐ろしい…お腹の上で組んでいた自分の手の指先に、力が入っていることに気がついた。
「ガリ、ガリ、バキッ」という音とともに、何かが取れた感触があった。何回かそんな感触があった後、「取れましたよ。縫いますね。」と言って、黒くて長い糸で縫い始める。それが終わると止血のためにガーゼの束を噛ませられた。

 

こうして無事に右下の親知らずを抜くことができました。

(もう取れたんだ。早いな。怖かったけど…無事終わってよかった。)と思って時計を見てみると、まだ11時10分。縫合まで含めて10分で終わったことになる

生え方にもよると思うのですが、こんなに早く終わるんですね。熟練した先生に処置してもらうと。(2ヶ月も待たされたのに…10分で終わるんだ…。)恐怖から一転して、ちょっとした感動を覚えました。

後ろを見ると銀色の容器に、三つに分断された血まみれの歯が転がっていました。

「ブログに載せたいので写真を撮らせてもらえませんか?」

と言おうとしたら…言えない。麻酔が効きすぎて口がうまく動かない。正確に言うと、言おうと思えば言えるのだけれども、血まみれのよだれを垂れ流してしまいそうなのだ。
そこで女医さんに対して、写真を撮るジェスチャーをしてみた。すると女医さんは

「あっ写真?いいですよ。」

とジェスチャーに気付いて許可してくれたので、写真を撮ってきました。その写真がこちら。

お口の厄介者なのだが、長年連れ添ってきたのでちょっと名残惜しい。(一般的に邪魔者の親知らずですが、条件さえ整えば他の歯の代用として移植することもできるそうです。)

よだれが溢れないように「ありがとうございました。」と二人の先生に挨拶をして部屋を出る。

自分の足で普通に歩いていると、ほんの数分前まで骨を削って歯を引っこ抜いていたことがちょっと信じられない。

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費用と抜歯後

この日は傷が開かないように慎重に歩いて帰りました。3時間ほど経って麻酔が切れてくると、やや鈍い痛みを感じる。あれだけの力ワザをやったわけだから、痛くて当然なんだけど…

食事は柔らかいものを左側だけを使って少しだけ噛んで飲む。熱いお茶は飲めない。何か硬いものが食べ物の中に混ざっていると思ったら、親知らずの破片がまだ口の中に残っていた。傷口が開くので、親知らずの手術の後はうがいができない。つまり引っこ抜いて縫ってそのままの状態なのだ。

ちなみにこの日の抜歯費用は、3割負担で5190円。前日のコロナ検査費用(唾液を少量採取して提出する検査)が980円痛み止め(ロキソプロフェン)と化膿止め(アモキシシリン)が490円。初診時のレントゲン代2790円紹介料750円を合わせてここまで合計10200円

 

ここからは1日ごとの状態を簡単に記載しておきます。

次の日、近所の行きつけの歯医者で消毒をしてくる。170円。痛み止めを飲んでいる限り痛みはあまり感じない。夜中に痛みで目が覚めることもなかった。ただちょっと腫れてきたみたい。触るとさすがに痛い。食べ物は全て左側経由で流し込む。歯は右下以外は磨けるが、傷口が開くのが怖いので、うがいも左側だけ。

2日後になると、痛み止めを飲んで安静にしている限り痛みが気になることはほとんどなくなるが、たまに鈍い痛みを感じる。1日目よりも腫れが大きくなり、明らかに顔の輪郭が崩れている。でもアザにはなっていない。

3日後、腫れが少し引いてきた。口も動かしやすくなってきたが、まだ右側では食べ物を噛めない。薬を飲んでいる限り痛みはほとんど気にならないが、完全になくなったわけでもない。

どうやら今回の抜歯は、痛みも腫れも軽かったみたい。横向きではあったけど、そんなに難しい生え方ではなかったのかもしれない。先生が手馴れていて10分程でさっさと終わらせてくれたことも大きいと思う。

4日後、腫れはほとんど消えた。でもまだ口の中に血の味を感じる瞬間がたまにある。安静にしている限り違和感はほとんどないが、油断して無理をしてしまうと、まだ痛みが走る感じ。

5日後、6日後、外見上腫れはもうない。油断するとまだ痛みが走る瞬間があって、血生臭い味を口の中に感じることがまだある。

7日後、痛みはほとんどなく、食事で右側も使えるようになってきた。でも調子乗ってベンチプレスをしたら傷口から血が出てきた。

8日後、近所の歯医者で縫った糸を抜糸してもらう。170円。親知らずの後にかなり大きな穴が開いてるみたいで、傷口から食べかすが大量に出てくる。

9日後、そこそこ激しいトレーニングをやったが、もう血は出てこなかった。痛みはもうないが、食事のたびに傷口に食べカスが溜まってうっとうしい。

 

こんな感じで一本目の抜歯(親知らずの右下)は、手術時間が急遽繰り上がってちょっとびっくりしましたが、手術も抜歯後も比較的順調にいきました。

そして2週間後に左下の親知らずを抜歯するわけなのですが、これが後遺症(三叉神経麻痺)の残る大変な事態になりました。費用に関しては、1本だけ抜歯するよりも、続けざまに2本抜歯した方がどうやらお得なようです。トータル費用の話も書いてありますので、よろしければ読んでみてください。

 

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