下の親知らずを抜歯したら激痛が走って痺れの後遺症が残った!(三叉神経麻痺)【口腔外科での抜歯体験談②】

今年の1月に親知らずを抜いてきたので、その体験記を書いてみることにしました。なおここでのお話は、下側の親知らずの2本目(左側)の抜歯。痺れの後遺症が残る大変な事態になってしまいました。
一本目の抜歯と、抜歯に至る経緯はこちらのページに書いています。上の親知らずと下の親知らずの抜歯の難易度の違いや、一般歯科と口腔外科の違いなども書いていますので、よろしかったら読んでみてください。
下の親知らずを抜いてきた!【口腔外科での抜歯体験談①】
今回はその続編です。

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2回目の抜歯

1月19日 1回目の抜歯から14日後

今日は9時半に手術の予約だったが、8時50分に大病院に到着。トイレに行って口腔外科前で黄色いファイルを提出。8時55分。まだ開業前なのに既に20人程待っている(なぜ朝早くからこんなに混んでいるんだろう?)。問診票を記入して血圧を測って9時5分。帽子とマフラー、上着をバッグに入れてスタンバイ。しばらくトレーニングできなくなるので、おとといと昨日は多めに筋トレしてきた。やりすぎて実はちょっと筋肉痛です…(^^;)。

そしてほぼ9時半ちょうどに呼ばれる。今日は予定通りだ。少し慣れたせいか前回ほど恐怖は感じない。前回と同じ背の高い若い先生だ。荷物をカゴの中に置くと先生から「体調はどうですか?」と尋ねられる。「体調はいいです。おかげさまで腫れも痛みも小さかったです。」と僕が答える。すると「そうですか。よかったです。でも今日はちょと大変になりそうですよ。」レントゲン写真をみせながら「左側はちょっと生え方が難しいんですよ。」と。(え、そうなの?知らなかった……)とちょっと青ざめる。

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抜歯は20分かかったうえに激痛が走った!

靴を脱いで緑色のシートに座って口をゆすぐ。「ちょっとチクッとしますよ。」と言って先生が注射器を口の中に射し込む。前回もそうだったけれど、これが結構痛い。かなり深いとこまで力入れて射し込んでる感じがするんだよね。3,4箇所撃っただろうか。すぐに口の中がしびれ始めて、一気に体が緊張状態になる。お腹の上で組んだ指先に自然と力が入る。

1,2分後、「痛かったら右手あげてください。」という言葉とともに手術が始まる。時計を見ると9時32分。まずは左側奥の親知らずの上の肉をブツッと豪快に切り裂き、硬い何かが当たるはずのない親知らずに当たるのがわかる。…痛くはない。でも気持ちが悪い。背筋に一気に緊張が走る。そして銀色の金属が口の中に入る。たぶん親知らずの上の肉をめくって横にどかしているのだろう。想像すると気持ち悪いし、器具が視界に入ると恐ろしいのでこの時点で目をつぶった。

ドリルのようなものが口の中に入って親知らずを削り始める。(…ちょっと痛い。まだ麻酔が効いてないのかな…)そして何かが口の中に飛び散って、その何かを女医さんが丁寧に吸い取る。ある程度削ると道具を持ち替えて親知らずにすごい圧力をかけてくる。どうやらへし折ろうとしているみたい。これが痛い…というよりむしろ怖い…。(そんなに力入れてもしも滑ったら、のどに刺さって大変な事故になるんじゃないの……)でも何かが折れたり抜けたりする感覚はない。(うまくいかないのかな?)またドリルのようなものに持ち替えて激しく削り出す。そしてまた何かに持ち替えて奥歯に圧力をかける。…やっぱりうまくいかない。…どうやら先生が直前に言っていたように、今回は難しいみたい。(長期戦になるのかな…これだけ口内の組織を痛めつけているとなると、腫れも痛みも大きくなるかもしれない。ちょっと覚悟しておく必要がありそうだ…)そんな考えが頭をよぎる。

何度か削っては圧迫を繰り返しているうち、少しずつ親知らずが切断・除去されていくのを感じる。でも肝心の大きいやつが奥深く根付いてなかなか取れないみたい。

前回(10分ほど)よりも明らかに長い。目を開けて時計を見ると9時45分を少し過ぎている。口の奥に唾液(血?)が溜まって苦しい。ずっと緊張状態で体力の消耗が激しい。(ちょっと休憩したいけど、この程度のことで右手を上げて作業を止めたくもない。第一それは恥ずかしい…男は黙って我慢なのだ……。)苦しいのを察してくれたのか、「少し口閉じていいですよ。」と言ってくれた。口を閉じて溜まった唾液を少し飲んだら少し楽になった。味はわからなかった。

そして作業再開。今日は前回よりも明らかに痛くて辛い。目頭に涙が溜まってくるのを感じた。何度かドリルとへし折りを繰り返して体力的にちょっと厳しいと感じ始めた頃、突然「ガキッ」という音とともに激痛が走り「イッ!」と叫んでしまった。下唇にビリッと電気が流れた感触があった。「痛かったですか?」という先生の問に、僕は右手の親指と人差し指を近づけて「ちょっと痛かった(本当はめちゃくちゃ痛かったけどやせ我慢ね(^^;))」をアピール。「取れましたよ。縫いますね。」と言って先生は黒い糸で口の奥を縫い始める。そして縫い終わるとまたガーゼの束を噛ませられる(止血のため)。

時計を見ると10時52分約20分かかった。前回は10分程だったので、約2倍時間がかかったことになる。手は汗で濡れて少し震えていた。足も少しガクガクする。緊張状態が続いたので体力をかなり消耗したみたい。今回はかなり手強かった…。麻酔があまり効いていなかったみたい。それでも改めて思う。麻酔のある時代に生まれてよかった……。なかったら地獄絵図だからね…。

「取った歯見てみますか?」と女医さんが声をかけててくれたので、カメラを撮るジェスチャーをして写真を撮らせてもらった。

前回よりも歯が長いような気がする。
抜けた自分の乳歯を手のひらに乗せて眺める幼い時のなつかしい記憶が、なぜか突然よみがえってきた。そして思わず口元が緩む……はずだったのだが麻酔で既に緩みっぱなしだった。
「なぜこんなに時間がかかったのですか?深かったのですか?」と聞いてみると、どうやら横向きに生えていた上に、歯根が太くて骨に引っかかったことが原因らしい。手前の歯が邪魔で真っすぐ抜けないし。

「ありがとうございました。」と一礼して退出するが、明らかに前回よりも既に痛い。長年心配の種だった親知らずを、ようやく全て取り去ることができた、と安堵する一方で、後遺症大丈夫かな、という心配が頭をよぎる

計算センターでお会計を済ましてみると今回は3010円(コロナ検査費用込み)。前回は5190円(コロナ検査費用なし)。親知らずの生え方によって抜歯の費用は変わるとは聞いたことがあったけど、この違いは一体何なんだろう。今回の方が大変だったはずなんだけど…。

近くの薬局で処方箋を出してもらう。痛み止め(ロキソプロフェン)と化膿止め(アモキシリン)で490円合計3500円。指示通りすぐに飲んだ。

飲み薬の痛み止めで果たしてどこまで痛みが軽減できるだろうか?と正直半信半疑だったのですが、結構効果が大きいと感じます。痛み止めが切れると鈍い痛みで何も手に付かないのですが、薬が効いている限りは手術当日であっても痛みはそれほど気にならない感じでした。

なお、口腔外科での抜歯(親知らずを抜く作業)後は、紹介状を書いてくれた近所の歯医者で翌日に消毒、一週間後に抜糸(縫合した糸を取る作業)をすることになっています。

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抜歯後 後遺症・三叉(さんさ)神経麻痺が発生!

ここからは、抜歯後の状態を1日ごとに記載しておきます。珍しいケースなのですが、痺れが残り続ける後遺症が残ってしまいました。

今日(1月19日)は早めに家に帰る。家に帰って鏡を見てみると、既に左側が腫れている。前回よりも痛みそうだ。
夕食後、痛み止め(ロキソプロフェン)と化膿止め(アモキシリン)を飲み、さらにプロテインとマルチビタミンミネラルそしてグルタミンのサプリメントを摂る。普段からトレーニングをしているのでプロテインとマルチビタミンミネラルはいつも摂取しているのですが、傷ついた組織を再生するための材料(タンパク質)とその代謝に関わるもの(ビタミン・ミネラル)を多めに摂取することで、回復を早めることを狙ってます。なおグルタミンは免疫力強化が狙いです。化膿しないように。…で早めに就寝。

次の日、下唇に変な違和感が残っている。手術の最後、でかいのが取れる瞬間に痛みと電気が走ったところだ。麻酔が切れているはずなのにまだ痺れた感覚があって、油断すると勝手にピクピク動く。(もしかしたら神経を傷つけちゃったのかな?)
そして近所の歯医者で消毒してもらう。170円。

2日後、痛み止めを飲んでいる限りそんなに痛くはない。でも薬が切れるとまだ痛い。痺れはまだ残っている感じ。それからアザもなく思ったほど腫れてはいない。腫れは前回と同じぐらいだろうか。20分間もひっかきまわしたから相当腫れるんじゃないかと思ったけど…意外と穏やか。

3日後、外見上確かに左側がまだ腫れているが、注意してみないとわからないレベル。でもまだ痺れがある。左側の唇から顎にかけてが自分の肌ではないみたいな感触。食べ物は全て右側経由で流し込むのだが、右下の奥歯の後ろには2週間前に抜歯した親知らず跡の大きな穴がまだ開いており、食事のたびに必ずその穴を食べかすが埋め立てていく。そのたびに右側だけブクブクうがいをして埋め立てたゴミを掘り起こしていくのだが、これがうっとうしい(左側は傷が治っていないためうがいができない)。なおこの穴は、時間が経てばいつかは消えていくそうです。

4日後、腫れは引いてきた。しかし相変わらず左側の唇から顎にかけてしびれている。もしかしたら長期間残るタイプかもしれない。初診時の口腔外科の先生の「低確率ながら後遺症が残る可能性があります。」という言葉が頭をよぎり不安になる。

5日後、痛み止めは飲まなかった。たまに痛みが、薬はなくても問題ないレベル。腫れは引いたが、痺れが引かない。普通に喋れるのだが、下唇が若干動かしづらい。傷が塞がってきたのか、口周りを動かせるようになってきた。鏡の前で笑ってみると、少し左下に引きつっている気がする。

6日後、腫れと痛みはもうないが、痺れは引かない。麻酔がかかり続けてる感じで、触った感触が他の肌と明らかに違う。でも動かす分には、ちょっと動かしづらいけど普通に動く。絶対おかしいと思ってネットで調べてみると、抜歯時に神経を損傷する「下歯槽(かしそう)神経麻痺」(オトガイ神経麻痺とも言うらしい)という症状かもしれないことが判明。なんでも親知らずの抜歯時にたまに起こる事故みたいなもので、発生確率は1%未満とか……(マジで?えらい貧乏くじ引き当てたなぁ……。)損傷の度合いにもよるが、通常数週間から数ヶ月で症状がなくなるらしい。ただし神経が断裂していなければ。今度歯医者さんで詳しいこと聞いてみよ。

7日後、痛みと腫れはないが、痺れたまま。髭を剃ると、左唇から顎にかけてが他の人のヒゲを剃っているような不思議な感覚。

8日後、近所の歯医者さんで抜糸(170円)。痺れが取れない旨を伝えると、口腔外科へ行ってくれと言われる。

9日後、再び口腔外科へ行く。本当はもっと早く行くべきだったけれども、遠くて面倒くさかったのだ。先生の話によると抜歯時に神経を傷つけることによって起こる三叉(さんさ)神経麻痺という症状らしい。

三叉(さんさ)神経とは触った感覚・冷たさや熱さ・痛みの感覚を感じ取る脳神経の1つで、①目や鼻の周辺に分布する眼(がん)神経、②上顎全体に分布する上顎(じょうがく)神経、③下顎全体に分布する下顎(かがく)神経の三つに分かれていることに由来する。
この三叉神経が、歯の治療や抜歯などにより損傷した状態を三叉神経麻痺と言うらしい。歯科で最も多いのが③下顎神経で、この神経の損傷により下唇や口角部などに痺れや麻痺を生ずるのが下歯槽(かしそう)神経麻痺(またはオトガイ神経麻痺)。
原因も親知らずの抜歯によるものが半数程を占めるそうで(他にはインプラント治療や美容整形など)、親不知の根元が神経に近い場合、親知らずが横を向いて生えている場合、親知らずの根が神経をまたいでいる場合や深く生えている場合に、この症状が起こりやすいそうです。歯科医師の技量とは関係なく低確率ながらどうしても起こってしまい、神経損傷が避けられないケースもあると言われています。(確率は低いそうです)
数週間から数ヶ月程で自然に回復することが多いそうですが、損傷の度合いによっては麻痺が残って治らないこともあるみたいです。そのため早めに受診して治療を受けることが推奨されています。

「神経が切れていないか心配なのですが…」
と口腔外科の先生に聞いてみると、
「親知らずの抜歯で切れることはまずないですから、心配しなくていいですよ。もし切れていたら大量出血も伴うはずです。」
とおっしゃいました。ひとまず安心です。

「とりあえずお薬3ヶ月分出しておきますので経過を見ましょう。」
と言われて処方されたのが、メチコバール(メコバラミン)というビタミンB12を主成分とする薬。神経の核酸・蛋白合成を促進することにより、傷ついた末梢神経を修復してしびれ、痛みなどを改善してくれるそうです。安全で気軽に服用できる薬らしいですが、強い薬理作用があるわけではないため、劇的な効果も期待しにくいと言われています。
1日3錠×90日で180錠。近くの処方箋薬局で購入すると1080円。3ヶ月分でこのお値段。思ったより安い。そして診察代が440円

今回僕は、不運にも後遺症が残っててしまいましたが、今のところ日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。普通に喋れるし味覚にも異常はない。お話ししていて相手の人が違和感を感じることもない。ただちょっと自分の肌とは思えない不思議な感覚が残るだけ。
僕は事前に後遺症が残る可能性があるという説明は受けていましたが、後遺症が出たらすぐ来てくださいと言われた記憶がなかったので再び口腔外科へ来るのに一週間以上かかってしまいました。ですが麻痺が残って治らなくなってしまうこともあるそうなので、もしも異常を感じたら早めに口腔外科へ行ってください。

一か月後追記。薬は朝夕の2回だけ飲んでいる。麻痺の感覚はまだ残っているが、症状は軽くなってきている。日常生活に支障をきたすことがほとんどない。

 

ニヶ月後追記。薬は1日2回だけ一応飲んでいる。まだ微かに違和感のようなものが残っている気がするが、痺れはほぼ無い。ほぼ完治してると言っていいと思う。

 

三ヶ月後追記。痛みもしびれもなく、違和感は完全に消えた。僕の場合完治に3ヶ月ほどかかりました。本当に後遺症が消えるのか半信半疑でしたが、なんとか静まりました。本当に長かったです。

 

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親知らず抜歯費用(下2本)のまとめ

今回の口腔外科での親知らず(下2本)の抜歯費用をまとめると次のとおり。

近所の歯医者さんからの紹介料750円(自分でいきなり口腔外科へ行くと、初期費用に5000円かかるらしい)
初回の診察代とレントゲン代2790円
1回目の抜歯費用5190円
コロナ検査費用(1回目)980円
1回目の薬代(痛み止めと化膿止め)490円
近所の歯医者さんでの消毒代(170円)と抜歯代(170円)の合計340円
2回目の抜歯費用3010円(2回目のコロナ検査費用込み)
2回目の薬代(痛み止めと化膿止め)490円
近所の歯医者さんでの消毒代(170円)と抜歯代(170円)の合計340円
抜歯2本トータルで14380円(全て3割負担)

後遺症(三叉神経麻痺)の治療費
診察代440円。薬代1080円。合計1520円。

今回はコロナ検査という本来必要ない検査を2度行っているため、通常よりも若干高くなっったようです。また紹介状を書いてくれた歯医者さんでのレントゲンが不鮮明だったため、初診時に撮り直すことになったのですが、場合によってはこの費用も節約できそうです。
それからなぜ2回目の抜歯費用が安くなるのかよくわからないのですが、親知らずは連続で抜いた方がお得なのかもしれませんね。レントゲンも一回ですみますし。総費用は抜歯1本だと10540円ですが、2本になると14380円
なお、自分でいきなり大病院の口腔外科へ行くと、初期費用に5000円ほどかかるみたいなので、行きつけの歯医者さんに紹介状を書いてもらってください。

それから痛い時は素直に手をあげましょう。麻酔を追加してくれることがあるそうです。男は黙って我慢なのだ……では解決しません(^^;)。目頭に涙がたまって同情されるのがオチです。……なによりせっかく麻酔のある時代に生まれたのだから

それでは。

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