桜と言えば「ソメイヨシノ」。
 
 
 
毎年春になると日本中が薄ピンクに染まります。
 
 
 
日本の春の「一瞬の美」ですよね!
 
 
 
心躍ります^^
 
 
 
 
 
しかしこの「ソメイヨシノ」、寿命が60年しかないという話を聞いたことはありませんか?
 
 
 
実は日本中の「ソメイヨシノ」は、「接ぎ木」という特殊な栽培方法がとられているため、
 
 
 
植えてから60年もすると、倒れてしまう木が多いと言われています。
 
 
 
 
 
しかし「植物細胞」には、寿命がないということをご存知でしょうか。
 
 
 
実は「動物細胞」とは違って、「植物細胞」は「老化」をすることがなく、永遠に細胞分裂を繰り返すことが可能なんです。
 
 
 
それではなぜ植物に、「寿命」といったものが生まれてしまうのでしょうか?
 
 
 
今回は「ソメイヨシノ」とはそもそもどんな植物で、なぜ寿命が短いのか?そもそも植物の寿命とは何なのか?延命は可能なのか?細胞レベルの話まで掘り下げて考えてみたいと思います。
 
 
 
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ソメイヨシノの由来

桜はバラ科、スモモ属、サクラ亜属に分類される落葉広葉樹で、現在600種もの品種が確認されています。
 
 
 
「ソメイヨシノ」は江戸時代末期に出現します。
 
 
 
遺伝子解析の結果によると、ソメイヨシノ」は「エドヒガンザクラ」と「オオシマザクラの交配」によって、生まれたものであることがわかっています。
 
 
もともとは「染井」(現在の東京都豊島区)の植木屋が、「吉野」の名前で売り出したものとされていますが、
 
 
 
奈良の吉野山の山桜と間違いやすいので、1900年に「ソメイヨシノ」に改められました。
 
 
 
短期間ではありますが、木全体が淡紅白色に染まる圧倒的な美しさが人気となり、明治以降日本各地に一気に広まりました。
 
 
 
まだ生まれてから200年にも満たない、比較的新しい品種の桜になります。
 
 
 
 
 
 

接ぎ木は2種類の植物を組み合わせる特殊な育て方

 
ソメイヨシノは「接ぎ木(つぎき)」という特殊な育て方をします。
 
 
 
これは雄しべと雌しべが受粉して新たな種子を作るという、自然界の通常の繁殖方法とは異なります。
 
 
 
接ぎ木」というのは、2個以上の植物を人為的に作った切断面で接着して、1つの個体を作る方法になります。
 
 
 
ソメイヨシノの場合、アオハダザクラやオオシマザクラなどの台木に切れ込みを入れ、そこにソメイヨシノの枝先を挿入して固定することにより、1つの植物として育てます。
 
 
 
つまり土台となる根っこと木本体が、まったく異なる遺伝子を持つ、別の植物から構成されることになります。
 
 
 
植物には「動物細胞」の持つ複雑な免疫システムがなく、拒絶反応を起こす事は基本的にありません。
 
 
 
木本体の構成が似ており、水や養分の伝達さえできれば、遺伝情報が異なっていても普通に生きてことが可能になります。
 
 
 
 
 
 
動物の体では基本的にこのようなことができません。
 
 
 
遺伝情報が相当近い親族の臓器などであれば、例外的に他人の臓器を移植することも可能な場合もありますが、
 
 
 
その場合であっても免疫の激しい拒絶反応が起こり、かなり制約のある生活を強いられることになります。
 
 
 
植物の体って便利ですね!
 
 
 
 
 
なお、誤解が結構多いのですが、「ソメイヨシノ」は交配ができない、というわけではないんですよ。
 
 
 
全く同じ遺伝子を持つソメイヨシノ同士では受粉して種子を作ることはできませんが、他の種類の桜とであれば、交配して種子を残すことも可能なんです。
 
 
 
ただ、その桜はソメイヨシノ独特の圧倒的な美しさを持つ可能性は低く、「ソメイヨシノ」とも呼ばれなくなってしまいます。
 
 
 
 
 
 
 

接ぎ木のクローン問題

この接ぎ木(つぎき)という植物の増やし方は、一見するとすごく便利に見えますが、自然の法則に逆らった、かなり不自然な育て方です。
 
 
 
よく考えてみると一切受粉・交配をしていないため、すべての株が全く同じ遺伝情報を持った「クローン」ということになります。
 
 
 
現在の全国の「ソメイヨシノ」は、1本の木から増やした全く同じ遺伝子を持つ植物(クローン)です。
 
 
 
全く同じ遺伝子を持つという事は、同じ環境の変化に弱く、また同じ病気にもかかりやすいことになります。
 
 
 
特に「ソメイヨシノ」の場合、他の桜よりも「てんぐ巣病(てんぐすびょう)」にかかりやすいことがわかっています。
 
 
 
「てんぐ巣病」はカビの1種が原因の伝染病で、この病気にかかると、枝はたくさんの小枝を生やしながら大きなかたまりを作ります。
 
 
 
花は咲なくなり、そのうち枯れてしまいます。
 
 
 
またクビアカツヤカミキリなどの害虫による食害にも弱いとされています。
 
 
 
これらの理由で「ソメイヨシノ」は比較的早く木の内部が不朽・空洞化して、倒木する可能性が高いとされています。
 
 
 
 
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ソメイヨシノ寿命60年説

 
「ソメイヨシノ」の寿命は60年程とも言われています。
 
 
 
これには上で説明したように、特定の病気に弱く内部が腐りやすい、と言った理由の他、次のような理由もあるようです。
 
 
 
植物にとっては環境の悪い街路樹として多用されているため、排気ガスなので痛むことが多い。
 
 
 
公園など踏みしめられやすい場所に植樹されている場合が多く、花見客に枝をおられる被害も受けやすい。
 
 
 
 
 
確かに「ソメイヨシノ」はエドヒガンなどの野生種に比べて、高齢の木が少ないと言われています。
 
 
 
しかし「ソメイヨシノ」が生まれてまだ200年も経っておらず、きちんとしたデータも揃っていません。
 
 
 
寿命60年と決定するには、まだ早いかもしれませんね。
 
 
 
 
 
 
 

ソメイヨシノ寿命60年説の否定

 
 
青森県弘前市の弘前公園にある1882年に植樹された「ソメイヨシノ」が、「現存する最古のソメイヨシノ」と言われ、樹齢は130年以上になります。
 
 
 
広前市では殺虫剤の使い方や肥料の与え方、土の入れ替えなどの管理方法に工夫を凝らした結果、「ソメイヨシノ」の樹勢回復に成功しました。
 
 
 
現在弘前市の広前城には、樹齢100年を超える「ソメイヨシノ」が300本以上も存在しています。
 
 
 
このように「ソメイヨシノ」の寿命60年説を、否定する取り組みや結果も出てきています。
 
 
 
「ソメイヨシノ」の寿命が60年というのは、「何も管理をしなかった場合」、と言えるかもしれませんね。
 
 
 
 
 
 
 

そもそも「植物細胞」には寿命がない!

 
ここで「動物細胞」と「植物細胞」の決定的な違いを少しお話しします。
 

「動物細胞」

私たちを構成する「動物細胞」には細胞自体に「寿命」があります。
 
 
 
人間の場合、生まれたての赤ちゃんでは、細胞分裂が活発に行われています。
 
 
 
しかし歳をとるとともに細胞分裂のスピードが落ち、100歳を迎える頃にはほとんど細胞分裂は行われなくなります。
 
 
 
これが人間誰しも避けることができない「老化」ですよね。
 
 
 
 
 
 

「植物細胞」

 
ところが「植物細胞」の場合、全く原理が異なります。
 
 
 
生まれたての赤ちゃんの苗木であっても、樹齢500年の大木であっても、全く同じように細胞分裂が行われます。
 
 
 
そして春には、樹齢1年の木と同じように鮮やかな新芽を出すことができます。
 
 
 
言ってみれば「植物細胞」には寿命がありません。
 
 
 
条件さえ整えてあげれば、受粉や交配をしなくても、永久に細胞分裂を繰り返すことが可能になります。
 
 
※この原理を使って接ぎ木・クローンのソメイヨシノを作っています。
 
 
 
 
 
 
 

木の寿命とは?

それではなぜ植物に「寿命」ができてしまうのでしょうか。
 
 
 
実はこういったことになります。
 
 
 
育ちすぎて体がでかくなってしまい、支えきれずに根元から折れてしまう。
 
 
 
その結果ねっこから水分や養分を吸い上げることができなくなり、全体が腐ってしまう。
 
 
 
これが木の「寿命」になります。
 
 
 
逆にいうと、根本から倒れることさえなければ、半永久的に育ち続けることも可能といえます。
 
 
 
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屋久杉の寿命の話

 
こちらは屋久島の縄文杉
 
 
屋久島に樹齢3000年の縄文杉があると、聞いたことありませんか?
 
 
 
しかし屋久杉というのは、特別「長寿遺伝子」を持っているわけではありません。
 
 
 
本州に生えている杉と、基本的に構造は同じです。
 
 
 
その屋久杉が、なぜ何千年も生き続けることができるのでしょうか。
 
 
 
なぜだかわかりますか?
 
ちょっと考えてみて下さい。
 
ヒントは台風です。
 
 
 
 
 
 
…実はこういったカラクリがあります。
 
 
 
屋久島には毎年といっていいほど、強力な台風が接近します。
 
 
 
その結果屋久島の杉は、完全に育ちきる前に、暴風によって木の上部だけがへし折られてしまいます。
 
 
 
しかし根本から倒れているわけではないので、だ生き続けます。
 
 
 
しばらくしてまた高く育つと、同じように暴風で、上層部だけがへし折られます。
 
 
 
これを繰り返すことにより、いつまでも完全に死ぬことなく、杉が生き続けることが可能になります。
 
 
 
その結果ごくまれに、幹ばかりがやたらと太くて背が低い、樹齢何千年の大木が生き残ることになります。(この縄文杉も何千年も生きていながら、たった25mの高さしかありませんよね。)
 
 
 
 
要するに木というのは、根本から折られさえしなければ、半永久的に生き続けることが可能だということになります。
 
 
 
 
 
 
 

理論上はソメイヨシノも同じ!

これは「ソメイヨシノ」にも同じことが言えます。
 
 
 
内部が腐って根本から折れるようなことがなければ、「ソメイヨシノ」だって半永久的に育ち続けることが可能です。
 
 
 
病気や害虫に侵されることなく、周囲からのストレスもなければ、理論上は何百年も生き続けることが可能になります。
 
 
 
その環境を整えてあげることができれば」の話ではありますが…
 
 
 
実際にヤマザクラでは樹齢800年、エドヒガンでは樹齢2000年とも言われる老木も確認されています。
 
 
 
 
 
 

一斉寿命の問題  植え替えか?管理か?

 
理論上の木の寿命は無限になりますが、現実の「ソメイヨシノ」は(何もしなければ)、60年前後で倒れることが多いそうです。
 
 
 
これは先ほども説明した通り、特定の病気や環境変化に弱く、育成環境も良くない、といったことが原因として挙げられています。
 
 
 
 
 
最近特に問題とされているのが、戦後に大量に植えられた「ソメイヨシノ」が、一斉に寿命を迎え倒れてしまうのではないか、といった問題になります。
 
 
 
「ソメイヨシノ」は、ある程度の世代交代や植え替えが必要だと見られています。
 
 
 
しかし一方で、弘前市が示したように、手間ひまをかけて管理をしてあげることにより、寿命が伸ばしてあげることもどうやら可能なようです。
 
 
 
 
 
 

まとめ

1年に1度、ほんの一瞬ではありますが、私たち日本人の心を本当に和ませてくれる「ソメイヨシノ」です。
 
 
 
その恩返しに、一年を通じてもう少し愛情注いであげても良いのではないでしょうか。
 
 
 
半永久的に育ち続けることができるという、植物本来の生命力を活かし、天寿をまっとうできるか否かは、私たちの努力次第です。
 
 
 
植えっぱなし、ほったらかしにするのではなく、地域の人を中心とした愛情が、「ソメイヨシノ」を延命させてくれることになると思います。
 
 
 
数百年後の私たちの子孫が、樹齢500年の「ソメイヨシノ」に囲まれて、500年前の日本人と同じ感動を共有することができたらステキですね^^
 
 
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