【90分で古事記⑨】日向三代 海幸彦と山幸彦 神武天皇の誕生 あらすじ内容を解説!

 
90分で古事記 9/9回目(最終回)(約5200字)
古事記上巻のあらすじ内容を9回でご紹介!
日向三代 海幸彦と山幸彦 ウガヤフキアエズ カムヤマトイワレビコの誕生
 
オオクニヌシが完成させた葦原中国(日本)は高天の原の統治を受け入れます。そして地上の統治のためアマテラスの孫のニニギが地上に降り立ちました。  オオヤマツミの娘を娶ることにより 山の神の強力な影響力を得ることができましたが、ニニギの残念な行いによりにより、 永遠の命を失ってしまいました。
 
今回の主役はニニギの子ホオリになります。 恋の相手は海の神の娘。 神様たちは外見重視な恋愛が多いのですが、実は婚姻を通じた「地上の統治者」としての準備も着々と進められています。その辺りも意識して読んでみてください。
 
お話としては、オオクニヌシが根之型州国(ねのかたすくに)へ行き、力を授かって帰り、兄たちを退治するくだりと同じパターンと考えていただいていいかもしれません。
 
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海幸彦(ホデリ)と山幸彦(ホオリ)

 
主な登場神様
ホオリ(ニニギの三男、山幸彦)
ホデリ(ニニギの長男、海幸彦)
オオワタツミ(海の神で国津神の有力な神様 イザナギの子)
トヨタマヒメ(ワタツミの娘)
シオツチ(製塩の神、海の案内役の神)
赤字の神様はとても重要。オレンジの神様はちょっと重要です。
 
※ 少し割愛していますが、 原文に沿ったあらすじを載せてあります。
 
 
ニニギの子が成長すると、ホデリは海で漁をすることから海幸彦(ウミサチビコ:兄)、ホオリは山で狩りをすることから山幸彦(ヤマサチビコ:弟)と呼ばれるようになります。
(この先なぜか真ん中のホスセリが一切登場しません。)
 
 
ある日弟のホオリは、兄のホデリに対し「 お互いの獲物を取る動道具を交換してみよう」と申し出ます。
 
 
ホオリはホデリの釣り道具を使いましたが、魚は一匹も取れず、 おまけに釣り針を海で失くしてしまいました。
 
 
交換した道具を元に戻そうとする兄ホデリに対し、ホオリは答えます。「 魚は取れず、あなたの釣り針を海で失くしました。
 
 
しかし兄は返すよう強く攻め立てます。
 
 
これに対し弟は、自分の十拳剣(とつかのつるぎ)を砕いて、釣り針を500個作って弁償しますが、受け取ってもらえません。
 
 
1000個作ると言っても、受け取ってもらえません。
 
 
兄はあくまで「 貸した釣り針を返せ」 と言います。
 
 
弟のホオリが海で泣いていると、シオツチの神が来て聞きます。「 なぜ泣いているのですか?」
(物知りで親切な海の案内役の神様です。)
 
 
ホオリが答えます。「 兄と道具を交換しましたが、 兄の釣り針をなくしてしまいました。 多くの針を作っても受け取ってもらえません。 貸した針を返せと兄は言います。 それゆえ困って泣いています。」
 
 
シオツチは「 あなたに良い案を授けましょう。」と言い、 竹で小舟を作りホオリをのせて言いました。「 この海流に乗っていけばワタツミの宮殿にたどり着きます 。門に着いたら 泉近くの神聖な桂(かつら)の木の上で待ちなさい。海神の娘が 案内をしてくれるはずです。
 

〈ワタツミの宮殿とは〉

ワタツミの宮殿は、ここでは地上世界のように描かれていますが、竜宮城のような海底の世界を想定しているようです。 高天の原(たかまのはら)や根之型州国(ねのかたすくに)のように、葦原中国(地上世界)とは 別次元の世界と思って頂いていいと思います。オオクニヌシ編同様に、 ここで力を授かって兄を退治する展開になります。

 
 
シオツチの言う通り海流にのってワタツミの宮殿にたどり着き、泉近くの桂の木の上で待つと、海神の娘の従者の案内によりトヨタマヒメと出会います。
出典:ウィキペディア(青木繁『わだつみのいろこの宮』 山幸彦と豊玉毘売命の出会い)
 
 
するとトヨタマヒメはホオリに一目惚れし、父の海神に「 門に麗しい男性がいます。」 と報告しました。
(神様たちの恋愛は一目惚れが多いです。)
 
 
ホオリを見た海神は「 この人は天津神の御子である。」と言い、 すぐに宮殿に招き入れて贈り物とごちそうでもてなし、トヨタマヒメと結婚させます。
(神様の格は天津神(高天の原の神様)>国津神(葦原中国の神様)。天津神の子孫は国津神の憧れの存在です。)
 
 
ホオリはそのまま3年間その国に住みました
(3年という数字が何度か出ますが、あまり厳密に考えないほうがいいのかもしれません。)
 
 
ある日ホオリは、兄ホデリの釣り針をなくしてここへ来たことを思い出し、ため息をします。
 
 
それを見たトヨタマヒメが父海神に相談し、海神ホオリに尋ねます。「 なぜため息をしているのですか? そもそもここへ来た理由は何だったのですか?
(3年間1度もその質問をしなかったということになります。 少し話に無理がありますよね…)
 
 
ホオリ海神に、 兄の釣り針を失くし返せと責められている事情を語りました。
 
 
海神は海の全ての魚を集め「この釣り針を取ったものはいるか?」と尋ねました。
 
 
魚たちは「赤い鯛が喉に針が刺さってものが食べられずに困っていました。」と答えます。
(3年間刺さり続けていたことになりますね…)
 
 
その赤い鯛の喉を探すと針があり、ワタツミが取り出して洗いホオリに返し、呪いの呪文を教えます。「 この針を返す時に兄に「このちは、おぼち、すすち、まぢち、うるち」と言い、後ろ手で渡しなさい。」
(この針を受け取ると、憂鬱で貧しく愚かになる、といった呪いのようです。)
 
 
さらにワタツミは教えます。「 兄が高いところに田を作ったのであれば、あなたは低いところに田を作りなさい。 兄が低いところ田を作ったのであれば、あなたは高い所に田を作りなさい。 私は水を操れるので3年後には 兄は必ず水で苦しみ貧しくなるでしょうもしそれを理由に 恨んで攻めてきたのであれば、潮満珠(シオミツタマ)を出して溺れさせなさい。 もし許しを請うのであれば、 塩乾珠(シオフルタマ)を出して助けてあげなさい。 そうやって苦しめてしまいなさい。」 
(原文通りに受け取ると、兄が貧しくなるまで3年ほどかかることになるようです。)
 
 
そう言うと潮満珠塩乾珠ホオリに渡し、 一尋和邇(ヒトヒロワニ)命じます。「 ホオリを一日で上の世界へ送りなさい。 海中を通る時怖い思いをさせるなよ。
(一尋=約1.5メートル程の大きさのサメになると思います。 この文章を読む限りワタツミの宮殿は海底にあるようですね。)
 
 
約束通りワニに1日で送ってもらうと、ホオリ海神の教えた通りの呪文を唱えて釣り針を返しました。
 
 
その後ホデリは徐々に貧しくなり、心が荒れ果ててホオリの元へ攻めてきました。
 
 
ホオリは塩満珠(シオミツタマ)を出してホデリを溺れさせ、苦しみ助けを求めてきたところで、塩乾珠(シオフルタマ)を出して兄を救いました。
 
 
ホデリは「 私はこれからあなたの守り人になって使えます。」と言ってホオリに仕えました。
 
 
● 海幸彦と山幸彦の動画がありましたのでご紹介します。
NetKamishibaiさん みやざきネット紙芝居「海幸彦と山幸彦」 9分8秒
あくまで「紙芝居」なのですが、原文に割と忠実に作られています。 少し長いのでお時間のある時にゆっくりどうぞ。
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鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)

 
ホオリの子の妊娠した豊玉毘売は、出産のため海の宮殿からホオリの元を訪れます。トヨタマビメは出産の様子を決して見るなと言うが、ホオリはこっそり覗いてしまいます…
 
登場神様
ホオリ(ニニギの三男)
トヨタマヒメ(ワタツミの娘)
ウガヤフキアエズ(ホオリとトヨタマヒメの子)
タマヨリヒメ(トヨタマヒメの妹)
カムヤマトイワレビコ(ウカヤフキアエズの四男:初代神武天皇)
 
 
海神の娘トヨタマヒメがホオリの元へやって来て言いました。「 私は妊娠しており、今出産の時期を迎えています。 天津神(あまつかみ)の御子を海原で産むわけにはいかないのでやってまいりました。
(ホオリが海神の神殿を去ってから3年ほど経過しているはずなので、 本来であればホオリが疑ってもおかしくないです……)
 
 
すぐに海辺に鵜の羽で葺草(フキグサ)にして産屋を作りました。
 
 
その産屋を葺き合えぬ内に陣痛が起こり、産屋に入りました。
 
 
トヨタマヒメがホオリに言います。「 異国の人は産む時に、本来の姿で産むものです。 それ故、私は本来の姿で産みます。 お願いだから私を見ないでください。
(イザナミと同じパターンですね。)
 
 
ホオリが不思議に思って出産の姿を覗いてみると、八尋和邇(ヤヒロワニ=大きなサメの意味)に化けて、這い回っていました。
 
 
ホオリは驚き恐れて逃げました。
 
 
豊玉姫は覗かれたことを知って恥ずかしく思い、「 私は海の道を通おうと思っていましたが、本来の姿を覗かれて恥ずかしいです。」 と言い、生まれた御子を置いて海神の元へ帰ってしまいました。
(海神の宮殿まで 1日ほどで往来できるようなので、 通って養育するつもりだったみたいです。)
 
 
この御子は、鵜の葺草(フキグサ)を葺き合える前に生まれたため、 鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)と名付けられました。
 
 
トヨタマヒメは覗いたホオリを恨んでいましたが、 恋しい心に耐えきれず、その御子の養育のため妹タマヨリヒメを送りました。
 
 
ホオリは高千穂で580年過ごしました。
(古事記では寿命はニニギ以降徐々に短くなっていったと言いたいようです。)
 
 
このウガヤフキアエズノミコトが成人すると、叔母であり養育を担当したタマヨリビメを娶り、 四人の子供を設けます。
 
長男 五瀬命(イツセノミコト) ナガスネヒコとの戦いで命を落とす
次男 稲氷命(イナヒノミコト) 母の国である海原に入る
三男 御毛沼命(ミケヌノノミコト) 常世国へ渡る
四男 神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト) 後の初代神武天皇
 
このカムヤマトイワレビコの誕生までが、上巻のお話になります。
 

〈アマテラスの子孫が地上に降りた後、すぐに東征しなかったのはなぜ?〉

アマテラスニニギに対し、「葦原中国(あしはらのなかつくに)の統治のために地上に降りなさい 」と命じています。ところが、高千穂(たかちほ)に降臨した「ニニギ」は、宮殿を建てて住んだだけで、 地上の統治をしたとは書いてありません。子の「ホオリ」も、「ウガヤフキアエズ」も、 葦原中国(日本)統治のための具体的な行動を、何一つ起こそうとしません。 「面食い」「認知拒否」「兄弟喧嘩」「覗き」など、ちょっと残念なエピソードばかりが続きます。
「平安に天下を統治できる土地を探すため東へ向かおう。」と 具体的な行動に移るのは 「カムヤマトイワレビコ」です(中巻の最初)。これはどうしてなのでしょうか。
 
すでに簡単に説明しましたが、ここで改めておさらいしておきます。アマテラスからカムヤマトイワレビコ(神武天皇)までの系図をじっくり 眺めてみてください。 なんとなく理由が見えてくると思います。
 
アマテラスから神武天皇の系譜
赤字の神様はとても重要。オレンジの神様はちょっと重要です。オオヤマツミオオワタツミは、イザナキイザナミの共同での神生みによって誕生した神様。イザナギカミムスヒには親となる神様はいません。 
 
まず「ニニギ」は、アマテラスの子である天之忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)の子にあたりますが、母神である 万幡豊秋津師比売命(ヨロズハタトヨアキツシヒメ)というのは、 天つ神(高天の原の神々のこと)の中でも最初期に誕生した特別な神様「タカミムスヒ」の子にあたります。 これにより天地初発の神「宇宙そのもの」の強い影響力を受け継いだと考えられます。
また、ニニギの妻となったサクヤビメの父はオオヤマツミ(山の神)ホオリやウガヤフキアエズの妻となったトヨタマビメとタマヨリビメの父はオオワタツミ(海の神)つまりこの結婚により、山と海の強い影響力を手に入れたことになります。
このようにして見てみると、「カムヤマトイワレビコ(神武天皇)」は、日の神、初発の神、山と海の神、の霊力を余すことなく受け継いだ、 考えられうる最高の神の血筋と言うことができます。
 
地上に降りた後、何世代も動かなかったのは、この完璧な血筋を作るためだったのかもしれません。日本の神様の系譜には深い意味が隠されているのですね。
 
 
 
ここでは紹介できませんでしたが、中巻ではカムヤマトイワレビコが兵を率いて東征し、 大和を平定して初代神武天皇に即位します。 そして第15代応神天皇までの歴史が語られます。下巻では第33代推古天皇までの歴史が語られます。 これまで主役だった神様たちは、ほとんど登場しなくなり、話の内容も神話から歴史へと変化していきます。
 
 
ここまで読んでくださってありがとうございました。 またご一緒できたら嬉しいです。
 
 
それでは…
 

 

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